夢の印刷技術
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通りを歩いている最中、ふとリフィルが、道端の少年の手から紙束を受け取った。 | ||
少年に硬貨を投げてから、ざっと紙束に目を通し、柳眉をひそめる。 | ||
![]() 「事件の真相は、〈ロストメア〉の仕業に見せかけた犯行だった」……か。世も末ね。 ま、この都市ならではの事件って感じよね。 | ||
君は、その紙束はなんなのか、尋ねてみた。文字や図柄で埋め尽くされているようだが……。 | ||
![]() | ああ……知らない? 新聞よ。日々、いろんな記事を載せたものが発行されているの。 | |
こんなのを、毎日作ってるにゃ? | ![]() | |
しかも、それを貨幣1枚の値段で売っている。君とウィズは、驚きに顔を見合わせた。 | ||
こんなものを大量に作るとなれば、かなりのコストがかかるはずだ。あの値段で出回るとは信じがたい。 | ||
![]() | ひょっとして、あなたたちの世界って、印刷機がないの? | |
印刷機? ここではそういうのを使ってるにゃ? | ![]() | |
![]() | 少なくとも、新聞に関してはね。 | |
印刷機を使えば、同じ書面を大量生産することができるのだ、と、ルリアゲハは説明してくれた。 | ||
![]() | 安く大量に刷り上げられるから、こうして硬貨1枚で新聞を買うことができる、ってわけ。 | |
![]() | 今は、確か蒸気機関を利用した印刷機を使っているんだったわね。 | |
ということは……ひょっとして本も? 本も安く買えるのかにゃ!? | ![]() | |
![]() | 大衆小説あんてものがあるくらいだし、あなたたちの感覚に比べたら安いでしょうね。 | |
![]() | それこそ硬貨1枚で買える本もあるしね。さすがにかなり薄めのやつだけど。 | |
ふたりは当たり前のことのように話しているが、君からすれば、驚きの技術だ。 | ||
君の肩の上では、ウィズがヒゲを震わせ、感動に目をうるませていた。 | ||
![]() おお……おおお……! 革命にゃ……。魔道書文化の革命の光が見えるにゃ……! | ||
ふたりの話を聞いて、ウィズは、パッと君に振り向いた。 | ||
キミ! なんとしても、その印刷機とやらを手に入れて、クエス=アリアスに持ち帰るにゃ! | ![]() | |
ああ。猫になっても師匠は師匠。クエス=アリアス筆頭魔道士〈四聖賢〉がひとり。そのウィズの魔道士魂がこんなにも燃えている! | ||
偉大な師を持った誇らしさに、君も、胸がじんと熱くなるのを感じずにはいられなかった……。 | ||
![]() | ……どうしちゃったの、猫ちゃん。なんか、すんごく燃えてるっぽいけど。 | |
![]() | 本を読むのが好きなのかしらね。猫なのに。 | |
その後しばらくウィズは燃えていたが、印刷機の値段(市民では手が出せない)を知り、早々にしょぼくれたのだった。 | ||
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