Abyss Code

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Abyss Code 01 黒殻の王

<登場キャラ>
カルムウラガーン


災は、遥か遠くから……

誰だ、幸福な眠りから私を目覚めさせたものは……。
それは世界の理に逆らう愚かな行為。
カルム・アルジェンは、目を開き、長い年月を経て乱れきった世の姿を凝視する。
なんとおぞましい……。醜悪な光景なのだ。
カルムの目に映るのは、破壊しつくされた大地──。
ひび割れた地表。撒き散らされた毒によって生じた沼。
淀んだ空気に汚染された大地と、赤く焼けた空が広がっていた。
ここまで破壊し尽くすとは……。
世界は、まさに危機に瀕している。
静寂かつ鎮静に保たれていたはずの世界が、目の前で崩れ去ろうとしている。
カルムが眠りから目覚めたということは、世界が危機を訴えたからだ。
まだ悠久の眠りに入ることは許されぬのか? 私に厄介な役目を押し付けたもの共よ。
カルムは、睨むように天を仰いだ。
その視線には、何者も映っていない。
だが、カルムの目には見えていた──世界を管理するものたちの姿が。
それとも、私をあえて目覚めさせたというのか? 世の理に挑戦するために。
この世界は、善と悪。有と無。創造と破壊が、見事にバランスを保ち、創造された。
そして長い年月によって、積み上げられてきた理が、世界に均衡をもたらしていた。
カルム・アルジェンは、世界の均衡と静寂を保つために存在している。
この世界が、未来永劫、静寂を保ち続けることは、天が決めた理……。
もし、それを乱そうというのならば……いいだろう。私が相手になろう。
カルムは、地面を蹴って飛翔する。
理に挑戦しようとする、不埒なものを誅するために突き進む。
そして、たどり着いた先にいたのは──。
自然に生まれ出たものではない、おぞましきものだった。
人の手により生み出されし、実験動物ウラガーン
醜い容姿。
理性どころか記憶も持たず、あるのはただ漠然とした破壊衝動のみ。
このような歪な存在を生み出してまで、私の眠りを妨げたのか……。
ウラガーンは、カルムの姿をその視界に捉える。
途端にどす黒い感情が、ウラガーンの中に渦巻いた。
どうやら、潜在意識の中にカルムを敵と認識する要素が組み込まれていたらしい。
誰が作り上げたのかは知らん……。
しかし、これだけはわかる。貴様は、生まれてくるべきではなかった。
ウラガーンという名の実験動物は、破壊のために備え付けられた爪や牙をむき出しにする。
さらにその咆哮は、大地を揺るがすほど大きく、聞くに堪えなかった。
私の眠りを妨げるものは、誰であろうと誅滅する。
カルムは、ウラガーンの前に立ちはだかる。
取り戻したいのは、静寂と調和に満ちた世界。
そのためにカルムは剣を抜く。
貴様を世界の敵と認識する。返してもらおうか、私の愛する静寂を。
※話の最初に戻る

Abyss Code 02 盲目の調和

<登場キャラ>
テルミドスビェート

閉鎖された空間の中で

私は、闇の中でつぶやく。
なぜ、私はこの世に生まれ出でたの?
この世に生を受けてから、その疑問に苛まれ続けてきた。
世界には憎しみがはびこり、少しでも他者と違う部分を持つものを排除しようとする。
始めから私の居場所は、どこにもなかった……。だったら、どうして私は生まれてきたの?
いくら考えても、答えは出ない。
だから、私はこの闇に閉じこもることにした。
落ち着く……。
暗闇に体を埋めた。
ここは、私だけの世界。闇に守られ、闇に支配されている……。
自由も、権利も、欲望も捨て去った。
ここに来る代償として、私はなにもかも捨ててきた。
だけど恐れや後悔はない。
この体に、生まれついて宿っている忌まわしき力──。
それを振るわずに済むのは、私にとって幸福だった。
耳をふさげ、口を噤め、瞳を覆え……。
冷たい闇は、私の全てを穏やかに包み込んでくれる。
私にこの世で唯一、安堵を与えてくれるのは、この闇だけなの。
少し、眠ろうかな……。
ここにいれば安全だから。
やすらぎに身を預けて、ただただ闇とひとつになるだけでいい。
え? なに?
しかし、私が闇に埋没するのを妨げようとするものがいる。
差し込む光の一刺しは、私の安寧を妨げる。
闇と一体化した私にとって、光は私の世界を突き刺す楔だ。
闇に包まれた私を、輝ける地へ引きずり出そうとしているの?
やめて……。私は、ここにいたいの……。
光のある場所へ……。引きずり出さないで!
光の帯が、私の体を撫で回すように差し込んできた。
それだけで、全身が切り裂かれたように痛かった。
光は、私の過去を掘り起こす……。
忌まわしき呪いを宿し、生まれてから誰にも顧みられることなく、忌避され続けた私──。
この光は、惨めな私の人生を、もう一度振り返らせようとしている。
顔をあげて、光の先をみつめる。
人の姿をした像が、視線の先にそびえていた。
何者なの?
「それ」は、輝ける像に過ぎなかった。
言葉を発することもなく、意思を宿しているわけでないことは、一目でわかった。
手に持った杖から、全てを照らし出すまばゆい光を放ち続けている。
地上の人間たちは、その光に吸い込まれるように、幽体のように歩いていく。
私には、すぐにわかった。
あれは、不浄なもの……汚れたものだ……。
一見輝かしく見える、あの杖から放たれる光。人々は、そこに希望を見出しているのだろう。
でも、あれはそんな優しいものではない。
人を惑わし、心を狂わせる……。優しげな仮面を被った俗悪なもの。
あれこそ、この世から滅されるべきだろう。
だが、誰もあの光が放つものが「醜い」ものだと気づいていない。
地上に住むか弱きものたちの敵だとは、思っていないのだ。
あのような禍々しいものがこの世にあるなんて……。
え──?
いつの間にか、私の目から熱いものがこぼれ落ちていた。
涙? なぜ、どうして……?
自分が泣いている理由がわからない。
ひょっとして私は、救いを欲しがっていたの……?
──迷えるものよ。光から目を背けることなかれ。
いけない。
私の心が、あの閃光に吸い込まれそうになっている。
私の安息を守るためには、あれを排除しなければ……。
忌まわしき力の使い道は、ここしかないのではないか……。
スビェート──。
名前が、頭の中に入り込んできた。
次の瞬間。足が、体が、感情が……。
「それ」に吸い寄せられるように向かっていた。
私は、やはり救いを欲しがっていたのだ。
もう闇に抱かれることはできない。
体に光が入り込んでしまったのだから。
それでいい……と、誰かの声が私の中に入ってきたような気がした。
それは暖かい、声。
闇と光の境界に立つ私すらも肯定してくれる。
しかし、闇は私の裏切りを許さないだろう。
足を止めろ。まやかしに身を委ねるな……。
あなたの放つ光ほど、醜悪なものはない。
私はスビェートを見上げる。
これは……ただただ、眩く輝く光だ。
果てしなく醜い。
このようなものを目にするぐらいなら……。
私は闇の中で生きることを望む。もし邪魔をするなら排除するのみ。
※話の最初に戻る

Abyss Code 03 生まれ堕つ無

<登場キャラ>
カインバシレイデ

不幸で、不遇な二人

カインがその世界に降り立ったとき、泥の雨が降っていた。
一面、砂と石だけの世界。
所々に塩の彫像が転がっており、酸の沼が砂の漠とした広がりの中に、
不気味な彩りを添えていた。
…………。
その光景を見て、カインはうっすらと笑った。転がり落ちていく自分を笑った。
このまま、どこまでも「卵」と共に、自分は転がり落ちて行くのだろう。下へ下へと。
ここにいるのか、お前は。
どうにも困った奴だな。
これではもう、あの方々に申し開きのしようもないではないか。
カインと「卵」の因縁は、別の異界から続く話である。
カインと「卵」。どちらもその世界を救う英雄となるはずだった。
崩壊へと向かっていた世界を救うため、その世界の神々は、眠り続ける神を生み出そうとした。
世界そのものを、眠り続ける神の夢の中に移植するという歪な方法で、世界を救おうとしたのだ。
新たな神は「卵」と呼ばれ、その誕生を見守る役目に選ばれたのが、カインだった。
ところが、喜ばしき「卵」の誕生の瞬間、カインの運命は下へ下へと転がり落ち始めた。
あろうことか、「卵」は別の異界に生まれ落ちたのだ。
お前はもう、ここで生まれてしまったのだな。
ここは、お前の世界ではないのだ。ここでは、お前の声はあらゆるものを砂に変える。
その双眸は、生き物を塩に変え、一歩踏むごとに地を酸の沼に変える。
その涙すらも、この世界ではただの毒だ。その光景を見て、お前は何を思う。
生まれ落ちる世界を間違えた「卵」は、その世界の毒となった。
世界は体内に取り込んだ異物を吐き出すように、嘔吐を繰り返した。
あらゆるものは、砂と石と化し、毒と酸を生む地を拡大していく。
案外、平然としているのかもしれんな。……ここしか世界を知らんのだから。
同情を滲ませた言葉だった。ともに英雄の座から堕ちてきた同志への。
運のない奴だな、お前は……。
「卵」同様、カインにも帰るべき場所などなかった。英雄の座は二度とは巡って来ない。
それにもう、彼の世界は終わりを迎えているかもしれない。
どちらにしろ、カインに言えるのはひとつだけだった。
知ったことか。その一言だけだ。
俺もお前もここで終わりだ。
カインが踏みしめた酸の沼は、彼の稲妻の鎖に打ち据えられ、一瞬のうちに枯れ果てた。
せいぜい楽しもうじゃないか。心配するな。お前には俺がいる。
ここまで一緒に来た仲だ……。
そして、カインの手は「卵」へと伸びていく。
俺が、お前を終わらせてやる。
※話の最初に戻る

その産声は不浄



────

バシレイデは、目を覚ました時、目の前に広がる世界に息を呑んだ。
無限に広がる空、果てし無く続く大地、そしてそれらを彩る数々の生命──
およそ理解の及ばぬ仕組みがその美しさを成していると知り、産声の代わりに賛嘆の声を上げた。
うわぁ……。
それが、その世界を壊すとも知らずに。

彼の声は空気を揺らし、音が染みるものを全て砂に変えた。

落ちた涙は強烈な毒を生み、草や木を石に変えた。

目の合った生き物は、塩の彫像へと成り変わった。

地に足をつければ、それは酸を吐く土壌と変わり、空を仰げば、雲が淀んで汚泥の雨が降った。



しかし、不思議とバシレイデは悲しまなかった。
そうか……これが、"僕の世界"なんだ。僕が神として総べる世界の、あるべき形……。
自分が世界を総べる神であること──その自覚と責任は、生まれたその瞬間から彼のなかにあった。
だが、他には何も知らなかった。だから、"これが正しい摂理なのだ"と認識してしまった。
毒も汚泥も、腐りゆく大地も、色あせた空も──何も知らぬ彼にとって忌むべきものではなかった。
神が世界にもたらすもの──それはすなわち、祝福に他ならないのだから。
僕が産まれた、僕の世界……。僕が祝福をもたらすべき世界。
この世界を大切にしよう。誰にも渡さないように、誰にも触れられないように……。
時折、彼によく似た姿の生き物が、鋼の刃を振りかざし、魔力を駆使して攻撃を仕掛けてきた。
なんてか弱く、儚い生き物なんだろう。だから、僕の力に怯えてしまっているのかな……。
自らを傷つけようとするその生き物たちに、バシレイデは、そっと優しく声をかけた。
大丈夫、僕がきちんと守ってあげるよ……。
そして、彼はその生き物──"人間"へと、無垢なる手を伸ばした。
神として、"祝福"をもたらすために──
その時だった。
……?
悪い予感が、バシレイデを襲った。
この世界を、バシレイデを侵そうとする敵の気配。神の感覚が、その気配に警鐘を鳴らしていた。
ああっ……!
バシレイデは震えた。自分を破壊しうる力と──何より、"破壊する"という強固な意志の接近に。
こんなものが、来る……僕の世界に──こんな、おそろしいものが……!
させない……僕の世界は、僕が守る! こんな奴に、傷つけさせるものか!
バシレイデは、それを迎え撃つ構えを取った。
あらゆるものを拒絶する"卵"──自分と世界を守るための殻を備えた、強固な形。
壊せないってわかって、諦めてくれればいい。そうしたら、こっちも傷つけずにすむ……。
だけど──もし──それでも、僕の世界を……、この世界に生きる命を壊そうとするのなら……。


壊すしか、あるまい。

絶対不可侵の壁の奥でバシレイデは静かに考えた。世界の敵を完膚なきまでに叩きのめす手段を。

そんなことにならなければいいと──ただただ必死に願いながら。

※話の最初に戻る

Abyss Code 04 焼尽の陽光

<登場キャラ>
ニティアラヒルメ

神と舞う少女

光無く、寒く、貧しい世界があった。
まともな食物などロクにない、誰もが飢えを抱えている世界。
ニティアはその世界に生まれた。笑うのが好きな少女だった。
えへへ。
不思議なことに、彼女がいるだけで、人々の心は和んだ。
ほら、みんなも笑って。
ニティアの前を通りかかると、人々は彼女の笑顔につられて、笑った。
ただそれは、彼女の前でだけの話。その笑顔は、彼女の前を通り過ぎる頃には、消えた。
…………。
だからニティアは舞を覚えた。彼女が舞うと、人々はもう少しだけ長く笑っていられた。
さあ、みんなも踊って、舞って、はしゃいで、騒いで!
この世界にはこんなに楽しいことが残っているんだよ!
彼女は、自らの言葉とは裏腹に、舞えば舞うほど、人を喜ばせば喜ばすほど、
世界には、こんなにも楽しいことが残っていない、と思い知っていった。
さあ、さあ、まだまだお楽しみは始まったばかりだよ。
それでもニティアは笑顔を絶やさなかった。そうするべきだと思ったからだ。
笑い続け、舞い続けた。
すると人々はニティアを疎ましく思い始めた。
この世界の何が楽しいのか。
常に飢え、常に凍え、常に奪い合う。そんな世界の何が楽しいのか。
ぶ厚い夜に支配された世界の彼らには、ニティアの笑顔が眩かった。
眩し過ぎた。そしてニティアは黙殺された。
人々は、彼女の前を素通りするようになっていった。
だが、それでも彼女は舞い続けた。
みんなー。ニティアの舞が始まるよ。踊って、騒げば、嫌な気分も吹き飛ぶよ!
舞い続けながら、こう願った。
どうか神様、この世界に光を下さい。
どうか神様、ここに住む人々の心を温めてください。
すると、神が降りてきた。
踊り続ける彼女の心に、直接神が降りてきた。
神様、あなたは私の願いを叶えてくれますか?
最初の神は言った。
無理だ、私の力では不可能だ、と。
それでもニティアは舞い続けた。
神を自分の心に呼び込み、繋がり続けた。
神様、私の願いを叶えてくれる神様、どうか私の声を聞き届けてください。
何度か神と繋がった後、炎の神ラヒルメの名を教えてくれた神がいた。
ラヒルメ……。その神様なら、この世界に光をもたらしてくれるのですか?
その神は、ラヒルメなら容易いだろうと答えた。加えて、ニティアに問うた。
本当に、この世界に光を与えるのかい? この世界の人々はお前を憎んでいるぞ。それに──。
ラヒルメに繋がろうとして、失敗すればお前の心が焼かれてしまうよ。
それでもラヒルメを呼ぶのかい、と。
でも、この世界に光が生まれるんでしょう? 人の心が温かくなるんでしょう?
それなら、何も迷うことはないです。
ニティアの答えを聞くと、その神は満足そうに、わかったと言い残して、去っていった。
ニティアは暗くぶ厚い常闇の空を見つめた。
さあさあ、ニティアの楽しい踊りが始まるよ。みんな、一緒に踊ろうよ。
踊って、騒いで、愉快に過ごそうよ。仲間に入りたい者は寄っといで。
神様だって、寄っといで。こんなに楽しいことはまたとないんだよ。
さあさあ、神様だって、寄っといで。
※話の最初に戻る

Abyss Code 05 冥世の天蓋

<登場キャラ>
ニレイヌテネブル

果てなき闇に射す光

その異界は善悪や聖邪といった不完全で矮小な概念の遠く及ばぬ彼方に存在する。
あるいは、それ自体を概念とでも表現する方が相応しい場所なのかも知れない。
空はいかなる夜よりも重く深い闇に覆われ、大地は、果てしなく無限に広がっていた。
そこには光が無いのだ。生命が無いのだ。音が、時が、風が、全てが――無いのだ。
それが冥刻の主神、ニレイヌの統べる世界だった。
もっとも、純粋な無の空間において、彼女自身の存在を区別して切り出す事は不可能であり、
その意味においてニレイヌは世界そのものであるといえた。
それほどまでにその異界――ニレイヌは暗く、静かで、果てしなかった。
……美しい。
彼女にとって、闇はどこまでも純粋で、澄み渡る静寂は究極的に美しかった。


そこにある日、ひとつの柩が流れついた。
どこかの異界の大魔道士が封じた魔神の骸だった。
骸の名はテネブル
ある異界において、長らく死の象徴として君臨していた魔神だ。
彼は骸と成り果てた後も、生を強く欲した。
そしてその意志の力は、重く厚い柩の蓋を押し上げた。
その動きが、外の空気を僅かに揺らす。
それはその世界――ニレイヌにとって初めての音となり、彼女の鼓膜を叩いた。
何だ? 今のは?
ニレイヌにとってそれは耐え難い、不快な感覚だった。
……うるさい。
彼女は怒りに身を任せ、その音のした方へと翔んだ。
そして流れついた柩を見つけた。
お前か? 我が世界の静寂を乱すのは……。
そう言って、ニレイヌはその不吉な柩を見下ろした。
私はニレイヌ。この美しき世界を統べる者。我が安息を乱す者よ。早々にここを立ち去るがよい。
その時、テネブルの抱く強烈な生への執着、命に対する渇望が一条の光となり、
わずかに開いた柩と蓋の間から、外の闇を照らした。
それは世界に初めてもたらされた光であり、命だった。
クッ……! 目が、目が開かぬ。
その瑞々しく輝く生命の一筋が、彼女の眼を眩ませた。
そしてようやく開いたニレイヌの瞳の前に、光はその世の全てを晒した。
醜い……なんと醜い……。
それはあまりにも酷い光景だった。朽ちた船、崩れた城、忘れ去られた街……。
ありとあらゆる事物の墓場……闇の中に蠢く死の気配そのものだった。
これが……私の世界……だと……。
唐突に映しだされた現実に、ニレイヌは絶望し、怒った。
そしてその屈辱的な光景を晒した存在を呪い、滅することに決めた。
お前は、我が愛おしき闇を殺した。私はお前を許さない。
ニレイヌの怒りに呼応する様に、テネブルはゆっくりと柩の蓋を押し上げ、その姿を現した。
ほう……。私に向かってくるか?
今、ニレイヌの冷たき眼差しが、静かにテネブルを捉えた。
※話の最初に戻る
コメント(1)

コメント

  • KAGA No.90552513 2015/11/17 (火) 21:27 通報
    AbyssCodeに出てくる精霊はどれも(ニティア以外)”そういう生物”だという前提で考えた方がいいのでしょうね。
    善悪とかは無く”そういうもの”なのかな、と。(第三者から見たら、はた迷惑な大ゲンカだなあとか思ったりしましたが)
    なんとなく勝手な神々と言う事でオリンポス神話なんかを連想しました。ただあっちは大分人間臭いですけどね。
    0

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