いざ、理事長室へ
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イツキの後を追った君たちは生徒会室までやってきた。 | ||
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……イツキ、生徒会室に何か用でもあるのかにゃ? | ![]() | |
![]() | ……リンカのヤツ、そんな思いは生徒会室に置いてきた、なんて言ってたけど……。 | |
ウィズの問いかけに答えることなく、イツキは、机の上に置かれた生徒会の日誌を開く。 | ||
そこには、楽しかった生徒会の仲間たちとの日々が綴られている。 | ||
しかし、互いに戦うという今の状況下で、それはもはや過去の話になってしまった気がする。 | ||
![]() | ずっと仲良くやって来たんだ。オレは、みんなを信じてる……。 | |
そう言いながら、イツキは日誌のページをめくっていく。 | ||
![]() | ダンケル学園長がいなくなって、理事長が来てから、何かがおかしくなったんだ。 | |
そして日誌の最後のページをめくると……。 | ||
![]() | ……ん? 今日の日付!? | |
と、イツキはそこに書かれたことを読み上げる。 | ||
![]() | ダンケル特別捜索隊結成。生徒会長の名においてイツキ・マスグレイヴを隊長に任命……。 | |
![]() | きっとリンカはオレにこれを見せたかったんだ。でも特別捜索隊って……なんだよこれ? | |
と、首をかしげるイツキの後ろで、突然生徒会室の扉が開いた。 | ||
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![]() | どうもこうもないわ、隊長さん。 | |
そこに立っているのはイグニーマの担任教師であるサロメだった。 | ||
サロメ先生……? | ![]() | |
![]() | さ、みんなも入りなさい。 | |
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![]() | 待ってましたよ、イツキ先輩! | |
![]() | よろしくな、イツキ隊長! | |
![]() | センパイとご一緒できるなんて光栄ですっ! | |
彼女たちの突然の登場に、君たちは言葉を失う。 | ||
ちょっとマジで意味がわからないんでもう少し説明を……。 | ![]() | |
![]() | はいっ! 先輩、前にダンケル先生が会ったっていう「謎の男」の話、覚えてます? | |
ああ、確かあの後からだったよな。学園長に変な力が備わったのは。 | ![]() | |
![]() | そうですっ。それでわたし、学園長に頼まれてその力の根源を調べる装置を作ったんです。 | |
と、シャーリーは巨大なドリルのような装置をドカッと床においた。 | ||
![]() | この「インパクター改」は、力の根源の調査だけでなく、力を引きずり出すことも可能なんです。 | |
引きずりだすって、もしかしてこれを学園長に……? | ![]() | |
![]() | はいっ! カエデ先輩とノアちゃんの魔力を込めてズブッと一突きに! | |
ってことはお前らが学園長を……!? | ![]() | |
![]() | ちょちょちょ! センパイ、何か勘違いしてません? | |
![]() | ダンケル学園長はバッチリ無事でした。でも取り逃がしちゃったんです。 | |
とシャーリーはうつむく。 | ||
取り逃したって……学園長の中から何を引きずり出したんだよ? | ![]() | |
![]() | 学園長は「闇の力」ともいうべき邪悪な存在に取り憑かれていたの。 | |
シャーリーに代わってサロメが説明を続ける。 | ||
![]() | 私たちは、それが新しい宿主に取り憑く前に見つけようと、捜索を開始した。 | |
![]() | そんな矢先、学園長は失踪したの。そして現れたあの女理事長……どうも臭うのよね。 | |
![]() | それで、リンカ先輩のアイデアで、わたしたち独自にダンケル学園長を探す計画を立てたんです。 | |
![]() | 本当はすぐにあの理事長に問いただしたかったんだけど、表立って行動する訳にはいかないし。 | |
![]() | 理事長の登場と同じ時期に転校してきた、あのエマって子も怪しかったしな。 | |
そういえば……と君は考える。 | ||
アーシアが怪我をした時も、イグニーマとエクレアルに待ち伏せされたときも……。 | ||
……エマはその場にいなかった。確かにアイツなら裏で何かすることは出来たはずだ。 | ![]() | |
![]() | それにしてもリンカ先輩の読み、バッチリだったね。 | |
![]() | ですね、イツキセンパイはきっと孤立するから、裏で動く特別捜索隊のリーダーに適任だって。 | |
なんか嬉しくないような、嬉しいような……。 | ![]() | |
そういうイツキの顔は明らかに嬉しそうだった。 | ||
![]() | さぁみんな、理事長室へ向かいましょう。きっと彼女なら何かを知っているはずよ。 | |
ダンケル特別捜索隊の出動ってことですね! | ![]() | |
そして君たちは一路、理事長室のあるマグニフィカト・ケイオスを目指す! | ||
君たちは理事長室のあるマグニフィカト・ケイオスの最奥へとたどり着いた。 | ||
……みんな、用意はいいか? | ![]() | |
みんなが頷くのを待って、イツキが理事長室の扉に手をかけようとした、その時──。 | ||
ノックもなしとはずいぶん失礼ですね……。 | ||
そんなアムベルの声と共に、扉は音もなくひとりでに開いた。 | ||
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![]() | ……まったく、しょうがない生徒さんたちですね。あら、先生もご一緒ですか……。 | |
……ダンケル学園長はどこです? | ![]() | |
![]() | ……どうして私が知っていると思うのですか? | |
こっちは全てお見通しなんだから! あなたが新しい「闇の力」の宿主なんでしょ! | ![]() | |
![]() | ふふっ。サロメ先生は優秀な生徒をお持ちですね? でもダンケルちゃんと私は……。 | |
ダンケルちゃん!? あなた、学園長とどういう関係なの? やっぱり何か知ってるのね! | ![]() | |
サロメは一直線にアムベルへと向かっていく。 | ||
サロメ先生、落ち着いて下さい! | ![]() | |
![]() | 困った人たちですね……。 | |
理事長席に座ったまま不敵な笑みを浮かべるアムベルに、君たちは戦いを挑む! | ||
(戦闘終了後) | ||
![]() | あなたたちはなにか勘違いをしているようですね。すこし落ち着いて、私の話を聞きなさい。 | |
戦いを終えてなお、アムベルは涼し気な笑みを浮かべて、君たちに優しく語りかける。 | ||
どういうことです? | ![]() | |
![]() | つまりですね……。 | |
と、アムベルが言いかけた時、突然理事長席の背後にある壁がくるりと回転し──。 | ||
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![]() | 諸君、こう言うことだよ。 | |
そこからダンケルが現れた。 | ||
![]() | あら、ダメじゃないのダンケルちゃん。ちゃんと隠れてないと。 | |
学園長……無事だったんですね……? | ![]() | |
![]() | ああ。しかし全く君には困ったもんだ。まぁ、心配してくれるのは嬉しかったがね。 | |
学園長、ちゃんと説明して下さいよ。あなたと理事長は、一体どういう関係なんです……? | ![]() | |
![]() | よろしい。では、まず彼女について説明しよう。実は彼女はこの学園の理事長ではないのだ。 | |
と、ダンケルはおもむろに口を開いた。 | ||
![]() | 彼女は争いの絶えないこの世界において、その均衡を保つ最上位組織、「管理者」のひとりだ。 | |
最上位組織? | ![]() | |
![]() | そんな仰々しい組織ではないですよ。実際に、今でも世界中で国同士の戦争は起こっていますし。 | |
![]() | 確かに、国家間の戦争は彼女たちの活動対象ではない。 | |
![]() | 彼女たち「管理者」の活動対象は、この世界全体を根底から揺るがす様な脅威なのだ。 | |
そんな人が、どうしてここに? | ![]() | |
![]() | 私は以前から「謎の男」に関する調査を、管理者に依頼していたのだ。 | |
![]() | 依頼を見たら幼なじみのダンケルちゃんの名前があったものですから、びっくりしましたわ。 | |
つまり、学園長にとり憑いていた「闇の力」ってのはそれだけヤバいもの、ってことですか? | ![]() | |
![]() | はい。それは言わば「人格なき悪意」……。人の持つ負の感情の集合体です。 | |
![]() | それがもたらすものは、そこに正義も戦う理由も介在しない、純粋な破壊衝動なのです。 | |
![]() | そんなものが野に放たれれば、人々の戦いはもはや戦争とすら呼べないものになってしまう。 | |
![]() | 私たちは、その宿主を炙り出すために、皆さんを戦わせ、学園を負の感情で満たしました。 | |
それで……誰にとり憑いたんですか? | ![]() | |
![]() | エマさん、こちらへ……。 | |
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振り返ると、いつの間にかそこにはエマの姿がある。 | ||
![]() | ……みなさんは疑っていたようですが、彼女は私の助手です。 | |
![]() | ……みんな、ごめんね。だますような真似して。でもお陰で、宿主を絞ることが出来ました。 | |
![]() | 「人格なき悪意」にとり憑かれた宿主は、攻撃的になり、戦闘に積極的に参加しようとします。 | |
君はイツキと顔を見合わせる。彼女の言葉を聞いて思い当たる人物はひとりしかいない。 | ||
……ユキヤか? | ![]() | |
![]() | いいえ、確かに最初は私も彼を疑ってましたけど──。 | |
その時だった。 | ||
窓の外で激しい爆発が起こる。 | ||
慌てて窓に駆け寄ると、イグニーマとエクレアルが競技場で激しい戦闘を繰り広げている。 | ||
![]() | ……やっぱりニコラちゃんだわ。 | |
まさか……ニコラが!? | ![]() | |
![]() | ええ。ニコラちゃんは、ずっと自分の衝動によって戦闘してきました。 | |
確かにニコラ先輩、何かずっと怖かったです……。 | ![]() | |
戦火は瞬く間に広がり、学園の至るところから火の手が上がり始める。 | ||
アクアシアが壊滅状態となっている今、イグニーマとエクレアルの総力戦が始まったようだ。 | ||
![]() | これはさすがにやり過ぎだな……。 | |
![]() | そうですね。すぐに呼びかけて戦いを止めさせましょう。 | |
![]() | ではダンケル特別捜索隊の諸君、あとは頼むぞ! | |
え? 一緒に戦ってくれないのかにゃ? | ![]() | |
![]() | ……ここ何日か狭いところに押し込められていたのでな……足がしびれて動かんのだよ。 | |
…………。 | ||
その理由のあまりの情けなさに、君をはじめ室内の誰もが言葉を失い辺りは沈黙に包まれる。 | ||
![]() | ……ダンケルちゃんは私に任せて下さい。 | |
そしてまるで頼りにならない学園長と理事長をその場に残し、君たちは理事長室を後にした。 |
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