アイ

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最終更新日時:

金色のアイ

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(A)魔道義体 コードネーム:AI(A)無心の少女 コードネーム:AI(A+)魔力を宿す羽 コードネーム:AI
ASパージ・エクステンションパージ・エクステンションパージ・エクステンション
SSボウエイコウドウカイシモクヒョウヲシシュセヨアナタヲ、マモリタイ
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(S)魔道機械少女 アイ(SS)芽生えた悲しみのココロ アイ(L)鼓動するココロのままに アイ
ASカイホウモード”センメツ”モードコワシタクナイ!
SSアナタヲ、マモリタイヒトリニ、シナイデ……!モウ......ひとりじゃナイ......!
登場時期:2013/10/15 900万DL記念 限定ガチャ 2014/12/24 SS化 2015/07/31 L化 

バレンタインver

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(S)淡い想いを抱く機械少女 アイ(SS)恋い慕う機巧の少女 アイ(L)そっと絡まる機械の指先 アイ
ASトキハナツ”カンジョウ”セツナイ"コイゴコロ"アト、ホンノスコシダケ
SSツタエタイオモイアマイオモイデユメミタヒトトキ
登場時期:2014/02/01 2014バレンタイン期間 限定ガチャ 2015/01/31 SS化 2016/02/19 L化 

クリスマスver

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(SS)機械の心に咲いた花の名は アイ(L)機械の心が求めた光は アイ
AS想い芽生える最果て芽生えた想いの望む空
SS私だけの『アイ』願わくば、『アイ』を
登場時期:2014/12/16 2014クリスマス期間 限定ガチャ 2015/12/25 L化 

銀色のアイ

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(SS)魔道機械 PLB-279-T(SS+)滅私の機械少女 PLB-279-T(L)求めたのは本当の「自分」 アイ
ASパーティクルソードパーティクルソードウイングドレイザーギア
SSオートセンシティビティギアーズオブハートギアーズオブハート
登場時期:2015/04/16 限定ガチャ 

アイ&アイ

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(SS)機械の乙女たち アイ&アイ(L)双星、芽生えたココロ アイ&アイ
AS教えてほしい、この気持ちをもっといっぱい世界を知りたいの
SS大丈夫、アイはひとりじゃナイさあ、行こウ、美しいモノを見に
登場時期:2015/07/31 3500万DL記念 限定ガチャ 

アイ&テレーゼ

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(SS)心に潤いを アイ&テレーゼ(SS+)果実と奏でる アイ&テレーゼ(L)綺麗を求めて アイ&テレーゼ
AS心に響く「魂のメロディ」ふたりは奏でる「響けハーモニー」ふたりは奏でる「響けハーモニー」
SSリトルウイングセレナーデリトルウイングセレナーデギアーズオブアンサンブル
登場時期:2016/01/29 ハッピースイーツカーニバル 限定ガチャ

共通情報

名前アイCV伊藤 かな恵種族物質
登場-
世界魔道を追及し、魔道を極める異界
所属-
特徴ワードふたつの『アイ』の物語
関連キャラリツェーレ
セリフ1「いっぱい、この世界のことを知りたい。」
セリフ2「ねぇ アイ わたしたちの手 きっと あたたかいよね。」
セリフ3「アイ 行こう?」「うん。行こう。アイ」
補足情報[金色のアイ]
魔道工学の粋を集め一生をかけて造られた人造の少女。
事故で半身を亡くした魔法少女が素体となっている。
人を見つめ、世界を見つめ、様々な土地を巡っている。
[銀色のアイ]
リツェーレの手によって生み出された、最高傑作の人造の少女。
ただ作り出されたその過程への絶望から、彼女は創造主に見放される事になる。

パーソナルストーリー


バックストーリー

――亡き愛娘を蘇らせる。

それが”深い悲しみに囚われた妻”に対し、夫として……
魔道工学者として自分が出来る唯一のことだと当時の私は信じて疑わなかった。

”魔法”を動力として動く人造の存在。
それからの私は己の人生の全てを……心血を注ぎ
「愛娘の姿を模した機械仕掛けの少女」の制作に没頭した。

姿形は真似ることは比較的に簡単だったが問題は心。
亡き愛娘の名前「アイ」と名付けたソレには心が宿らなかった……。




――あれから一体どのくらいの月日が流れたのか。

娘の魂を宿らせた「魂魄石」に魔力を送り込み、
もはや何度目なのかも分からない起動実験を開始する。

亡き愛娘を蘇らせる。

その目的で作り上げた「魔道工学の結晶」である『アイ』に
心を宿らせる為、私は人生の半数以上を費やした。
すでに数年前に妻は先立ち、そして恐らく私も……数日以内が限度だろう……。

『アイ』に「人工的な知能」を持たせることは数年前に成功はしている。
しかし、私のことを「マスター」と呼び、命令を待つ
「娘の姿」をした”ソレ”は私の心を酷く苛立たせた。

私の身の回りを甲斐甲斐しく世話する『アイ』と、
それを嫌悪し「娘の心」を宿らせようと、躍起になって研究にのめり込む私。
『アイ』と『私』の歪な日々は続いた。

――結局、最後の実験でも『アイ』に心を……
「愛娘」の心を宿らせることはついに叶わなかった。

今際の際で、最期の眠りにつこうとする私。
その横に立つ『アイ』。
彼女の瞳からは「涙」が流れていた。

「ワタシ ヲ ヒトリ 二 シナイデクダサイ。」

……私は「娘の魂」を宿らせることはついに叶わなかったが、
「彼女自身の心」を芽生えさせることには成功していたのかもしれない。

※話の最初に戻る

バックストーリー

父は魔道工学の第一人者。
娘は父が創造した人造の機械少女。

娘は自身を創造した造物主を「父」と呼び、
不器用ながらも精一杯の想いを込めて慕った。

父は自身が創造した機械少女を「娘」と呼び、
彼女が見せる不器用な愛情表現を優しく受け止め、
創造主としてでは無く、父として愛情を注いだ。

暖炉の火を囲み、仲睦まじく寄り添う父娘の姿。
――それは「機械少女」が夢見た光景。

もしも彼女が、創造主を「父」と呼べたなら。
もしも彼が、亡き愛娘に「固執」をしなければ。

あとほんの少しだけ、互いにその手を伸ばし合えたなら……。
これは、あったかもしれない「父」と「娘」の物語。

※話の最初に戻る

バックストーリー

アイにとって、世界は輝きに満ちていた。

住み慣れた場所を一歩出たそこは、アイの目を惹きつけて止まない奇跡の世界で、
昼の太陽は暖かく、夜は不思議に満ちていた。

どこまでも続く草原や、
城や砦よりも高く大きな樹が茂る森、
激しい雨と雷が降り続く荒れ地や、
おおよそ人が作ったとは信じがたい巨大な橋……

目も眩むような景色を
歩き、見て、知った。

そういった景色をひとつひとつ覚えていきながら、
ゆっくりと過ぎていく自分の時間の中で、
彼女は様々な人々と出会い、彼女なりの認識を育てていった。

優しさとはなにか、
時間がなぜ過ぎていくのか、
美しいものとはなにか、
人同士の関係性、
命とは何なのか……
様々な人に出会いながら、様々なことを、
彼女は彼女なりに考えていった。

足を向けた場所は数知れない。
不幸なことに、彼女の足跡を追う、薄汚れた思いを持つ集団が居たためだった。
その集団から逃れるため、彼女は様々な場所へ行った。
世界で最も高いとされる山の頂上や、氷が支配する北の海、
灼熱の溶岩が生み出され続ける南の島や、裏返ってしまった洞窟……
歩けば歩くほどに、彼女は不思議に思うことがあった。

マスターは、私が生まれた頃は優しかったけれど、
段々辛くあたるようになっていった。
旅の途中で出会った人たちも、優しい人はたくさん居た。
でも、そうじゃない人も居る。
どこまでも意地悪な人や、悲しいくらいに酷いことをしようとする人もいた。
ずっとアイを追いかけてくる人達も、どちらかといえば後者にあたる人々が多い。

(ヒトハ、優シイノ? 意地悪ナノ? ドッチガ、本当?)

疑問は尽きなかった。
表と裏の表情のある『人』という生き物のことが、
考えれば考えるほどにわからなかったのだ。
有り余る時間を費やしながら、彼女は何年も何年も、
輝く草原や荒れ果てた山脈を歩き続け、その正体を探り続けた。

……そして、数百年後。
アイの生まれた場所――荒れ果て尽くした魔道研究所に再び戻ってきた時に、
彼女はある考えに思い至る。

空に表も裏もない。
海にも、表も裏もない。
風にも、空気にも……表とか裏とか、そんなものは存在しない。
見ている自分が、表も裏も、全部決めているだけ。

――それなら人もきっと、表も裏も無いと。
その上で、自分は人をどう思うのか。

(マスター……)

考え、ひたすらに考え、考えに考えぬいた時……
彼女の意識に浮かんだのは、初めて会った頃に見た、マスターの笑顔だった。

(会イタイ……マスター……)

自分が最初に生まれたその時のように、
誰かに――否、マスターに抱きしめてもらいたい。

(マスターに、会いたい……!)

強く強く、彼女はそう思う。
あまりに長い時間をかけて、彼女に芽生えた最後の感情は、
奇しくも彼女の名前と同じ『愛』だった。

酷いことをされようと、口汚く罵られようと――
人という生き物を、彼女はどうしようもなく愛していたと、
今ここで彼女は気づいたのだ。


ふと、雪が降り始める。
アイは人々の間では聖夜と呼ばれる時間が来ていたことを思い出した。
雪の上を、機械と人間の足跡を残しながら、
彼女は初めて、自分の意志で歩いて行く。


自分が心から愛せる誰かを探すために、

そして、

願わくば誰かに愛されるために。

※話の最初に戻る

ウィズセレクションストーリーズ ~ アイ編



……ふふっ。

暖かな暖炉の前で手紙を読みながら、その少女は嬉しそうに笑った。
手紙を持つ手は機械のそれ……とはいえ、その動きは人間と遜色はない。
あまりに自然な動きで、少女は手紙の続きをめくる。
傍にいる老人が、誰からの手紙だい、と優しく低い声で聞いた。
少女は少しだけ、昔を懐かしむように目を伏せると、暖炉の炎を見てもう一度微笑む。
……私に歩く理由を与えてくれた「ヒト」です。
少しだけ、昔話をしてもいいですか?
彼女はそう言うと、手紙に一度目を落とす。
それは、昔々、人間の命じるままに戦うことしか知らなかった……。
……とある「人形」の、お話です。


人形は、とある国で、人に害なすものを討つために造られました。
その日は、街道に出没する魔獣の群れを駆除しろとの命令を受け……。
その足で、付近に広がる森へと足を伸ばしていました。
…………。
人形は、なにも感じず、なにも考えずに、ただただ任務をこなしていきます。
冷酷で冷血な存在──人形は、人々にそう認識されていました。
でも、人形には心がありました。
人間の心を理解し、人間の痛みを察し、人間を傷つけることのないように……。
そう考えられて与えられた心は、人形自身の心を傷つけ、苛んでいたのです。
(──もう、疲れたな……)
最後の一匹を目にして、人形はそう思います。
(殺したくない……)
しかし、命じられた任務はこなさなければなりません。
人形は、怯える獣を見下ろすと、掌に力を集め始めました。

(戦闘終了後)

戦いを終えて、人形は動かなくなった獣からすぐに目を逸らしました。
なにも考えないように、なにも感じないように……。
(帰ろう……)
そう思い、人形が踵を返した時でした。
(……これは、鳴き声?)
……小さな、小さな鳴き声が聞こえてきたのです。
……嘘。
森の奥、草むらの陰に隠れるように作られた魔獣の巣。
嘘だ……はは……。
そこから、複数の仔獣が這い出してきたのです。
人形は、その時全てを察しました。
魔獣は、子供を守るために、巣に近寄る人間を追い払っていただけだということに。
魔獣は人間に害を為す存在──そう思い込もうとしていた人形の心は……。
その時、完全に壊れてしまったのです。
(こんなの、こんなの……ひどすぎる)
(どうして私にこんなひどいことをさせるの? どうして……)
悲しみに染まった瞳で、人形は空を見つめます。
(こんな事をさせる人間たちも、こんな事を平気でやる私自身も……)
(全て、消えてしまえばいい……!!)
破壊の力を自分自身の体に集めながら、人形は涙を流しました。
ふとその時、人形は思い返します。
自分自身で決めた事なんて、今までなに一つなかったな、と。
(それなら……せめて、最後は……)
最後くらいは、自分の手で幕を引こう。
……そう思いながら、人形は心の中で最後の引き金に指をかけます。
……けれど、その時でした。
──泣かないで。
いつの間に現れたのか、人形の目の前に、少女が立っていました。
暴れまわる破壊の光の中で、その少女は──。
否、少女に似せて作られた人形は、悲しみに沈む人形の手をそっと握ります。
人間と見紛うほどに、柔らかな笑顔を浮かべて。
…………。
……止めないで。もう、いいの。
誰かの言いなりになって、ひどいことをするのは、もう嫌。
ひどいことをしろって命令する人も、それに逆らえない自分も……大嫌い……!
だから、もう──悲しい世界も辛い気持ちも、光に溶けて消えてしまえばいい……!
悲しみに沈んだ人形は、顔を覆って涙を流しました。
でも、少女に似せて作られた人形は、それを見てニッコリと笑ったのです。
……あなた、名前は?
私に、名前なんて無い。ずっと、ずっと……!!
人形の体に、強い光が集まり始めます。もう、終わりはすぐそこにありました。
さよなら、とつぶやいて、悲しみに沈む人形は終わりを受け入れようと、目を閉じます。
きっと、終わりは冷たい暗闇。それなら何も感じず、何も考えなくて済む。
なら、私はそれを喜んで受け入れよう。悲しいのも、辛いのも……もうたくさん。
……悲しみに沈んだ人形は、そう思いました。
──でも。
え……?
──彼女を包み込んだのは、果てしなく優しい、暖かな熱だったのです。
まるで、「お母さん」のように、暖かな──。
……じゃア、アナタに私の名前をあげる。
「アイ」……アナタは今日カラ、アイよ。
アナタは誰かの「もの」じゃナイ。今日、あなたは新しく生まれタの。
誕生日おめでとう、銀色のアイ。
…………!!
悲しみに沈んだ人形は──アイは、驚きました。
おめでとう、なんて言われたのは、初めてだったから。
自分を嫌いになんテ、ならナイで。
あなたの髪、とっても綺麗なんだカラ。
金色のアイは、銀色のアイの髪を触りながら、もう一度ニッコリと笑いました。
……!
うう……あああ……!
あふれる涙を拭いもせず、銀色のアイは、声を上げて泣きました。
まるで、生まれたての赤ん坊のように。
いつの間にか、体に集まった破壊の光は、暖かなものに変わっています。
そして、二人は──。


……話の途中で、アイは言葉を止める。
暖炉の前、いつの間にか、ソファに身を沈めるようにして、老人は眠ってしまっていた。
……風邪ひきますよ、マスター。
微笑みながら、アイは老人に毛布をかける。
──その表情は、人間と見紛うほどに、柔らかな笑顔だった。

※話の最初に戻る

①銀色のはじまり



おはようございます、マスター。

無機質な声で、機械人形は創造主である魔道工学者にあいさつをしました。
リツェーレという名前の魔道工学者は、それを見てがっくりと肩を落とします。
…………。
彼には、目標がありました。
それは、彼が幼少期に一度目にした、美しい金色の髪を持つ機械人形を自分の手で再現すること。
彼は、その目標を果たすために、異端や外道と呼ばれながら……。
つまづき、行き詰まり、色々な問題にぶつかり、時に人の道に反し、時のその手を汚して……。
やっと、その目標を達成したのです。
ですが……。
……マスター?
機械人形の呼びかけが聞こえないかのように……。
リツェーレはその声を無視して、その場を離れようとしました。
マスター……どこへ……。
あ……。
リツェーレは、機械人形の差し出した手を、強く払いのけます。
どうして……?
…………。
彼は、汚いものを見るような目で機械人形を一瞥すると、そのまま屋敷の外へと向かいました。
どうして……マスター……。
リツェーレは、絶望していたのです。
自分が憧れたあの人形が、こうした汚れた手段で作られたと分かった時から。
自立した機械人形を作るという、類稀な才能を持っていたからこそ、辿り着いた絶望……。
達成した「偉業」は、彼の目にはただの「異形」にしか写っていなかったのです。


……マスター、どこに……?
おぼつかない足取りで、機械人形は屋敷の中を歩き回ります。
彼女はここで生まれたとはいえ、この場所のことをなにひとつ知りません。
知っていることといえば、自分の型番名と、自分を作った人間の顔。
父親の名前すら、彼女は知りませんでした。
マスター……どこに、いらっしゃるんですか……?
そして、その父親である男──リツェーレは……。
非凡という言葉すら、生ぬるいほどの技術と知識、そして才能を持っていました。
一度見ただけの金色の機械人形を、独自の技術で模倣してしまうほどに。
ぐす……マスター、ここは、怖いです……不安です、どこに……。
どこに、いらっしゃるんですか……?
その技術と情熱は、幸か不幸か、彼女に感情と心を与えていました。
マスター……。
けれど、もうここにリツェーレは居ません。彼は既に彼女の元から去ってしまっていたのです。
さらに運の悪いことに、主を失った屋敷の結界が解け、実験用の魔物が逃げ出してしまいました。
嫌……来ないでください……。
来ないで……。
既に正気を失っている怪物は、機械人形にその腕をゆっくりと伸ばしました。

(戦闘終了後)

嫌……!!
──こんなところで、終わりたくない。
機械人形がそう思った時、彼女の腕の中に奇妙な感覚が走ります。
胸に沸き起こった強烈な恐怖が、形を成して、腕の中を突き抜けていく……そんな感覚。
そして、それと同時に……。
その感覚は、破壊の光となって、魔物ごと壁を突き破りました。
彼女が生み出した光の矢は、強烈に輝きながら、夜の空へと昇っていきます。
何が……起きたの……。
それが、自分の体から発せられたものだと気づいた時……。
機械人形は、意識を失いました。
翌日、彼女は光の矢を目撃した街の人々によって、屋敷から運び出されます。
そして人々に疎まれ、恐れられながら、街を守る役目を与えられるのです。
……彼女が金色の機械人形と出会う、数年前のことでした。

※話の最初に戻る
②金色のみた光

ありがトう、教えてくれテ。
アイはそう言うと、話をしてくれた老人に別れを告げ、ここから西へ進むことを決めました。
老人の話によれば、数年前、その方角から「とてつもなく大きな光」が飛んできたとのことです。
そして、その頃から、西の森で時折その光を見ることがある、とも。
ここは魔道を追及し、魔道を極める世界。
故に、この世界では、そういった不思議な出来事には事欠きません。
ですが、アイはその話に、何か心惹かれるものがありました。
……見て、みタいな。
老人の話によれば、その光はとても美しく、どこか物悲しい輝きを放っていたそうです。
アイには、「美しさ」というものが、まだよくわかりません。
特に、綺麗なもの、美しいものという概念について……。
彼女の中には、まだ確固たる指標というものがありませんでした。
自然の景色ヲ……ヒトは、絵に残シたりして、綺麗ダ……って言うヨね。
それに、壊れやすくテ、ものいものを……ヒトは、美しいと呼ぶことが、多いケレド……。
自然は移ろいゆくもの。刻々と姿を変えて、形を変えていくもの。
そして、壊れやすいものも、ふとした変化でその形を失ってしまいます。
つまり、ヒトは「変わっていくもの」を、「美しい」と感じているのでは……?
アイは歩きながら、そんなことを考えます。
それなラ、私は……?
アイは、その定義が正しいとするのならば、自分を美しいとは思えませんでした。
何年も、何百年も、何一つ変わらない自分という存在は、きっと美しくないのだと。
……見に行ケば、何か……何かわかル、かな。
光の正体を確かめたい、という好奇心。
そして、自分の奥底にある疑問を解消したいという探究心。
その2つの感情に突き動かされ、アイは一歩ずつ前へと進み始めました。


……みつケた!
森の木々の間にチカリと何かが光ったのを、アイは見逃しませんでした。
太陽の反射や、自然現象ではない、魔道の光。
それを鋭敏に感じ取り、アイはその方向へと足を向けようとします。
……? いっタい、何の……?
ですが、アイは首をかしげ、ふと足を止めます。
なぜなら、チカ、チカ……と、断続的に見える光とともに、魔物の声が聞こえたからです。
そして、その光は魔物の声に合わせ、何度も何度も木々の向こうで輝きを増すのです。
アイには、その魔道の光に、様々な苦しみが混じっているように感じました。
いかナきゃ……。
いかなきゃ、私が。あの光を……。
「あの子」を、止めてあげないと……。
なぜ自分の口から、「あの子」という言葉が出たのか、アイにはわかりません。
けれど、急がないと……急がないと、何か取り返しの付かないことが起きてしまう──!
そんな焦りにも似た気持ちに、アイは支配されていました。
けれど、運の悪いことに、彼女の前に光から逃げてきた魔物が立ちはだかります。
牙を剥き、恐怖の色に瞳を染めた魔物が……。

(戦闘終了後)

大人シく……しててネ。
簡易的な眠りの魔法を魔物にかけて、アイは光の方向へと進んでいきます。
すると、そこには……。
……嘘。
森の奥、草むらの陰に隠れるように作られた魔物の巣。
嘘だ……はは……。
そこから、這い出してきた複数の魔物の子供を見て、銀色の髪の少女は──。
否、銀色の髪を持った機械人形は、がっくりと膝を折り、力なく空を見つめました。
……そして。
(……ッ? 何ヲ……!)
自分の掌から、自分に向けて……。
大きな魔道の光を、放とうとしはじめたのです。
……!
大きく大きく輝く光の中に、少しずつ飲み込まれていく、機械人形。
その目に光った涙を見た時、アイの中にとある思いが生まれました。
「あの子を、失いたくない」。
(コのまま、あの子ヲ、光の向こうに行かせタら、ダメ……!)
強いその思いに背中を押され、アイは銀色の髪の機械人形に駆け寄ります。
そして、彼女たちは運命の出会いを果たすのです。
アイはこの時、銀色の髪の機械人形に、自分が最も美しいと思う言葉……。
「お父様」から貰った「自分の名前」を、機械人形へと贈りました。
なぜ、彼女が「自分の名前」を美しいと思ったのかは……。
──次の、お話で。

※話の最初に戻る
③空の色、輝きはふたつ

……それで、どういうものが美しいのか、っていうのはわかったの?
まダ……はっきりとは解らナいケド……少しだケ。
ふぅん。アイってさ、いろんなことを一つ一つ、ずいぶん丁寧に考えるんだね。
ふふっ。そのセイで、ときどき足が止まっちゃウの。
私はアイよりもお姉サンなのに……おかしいね。
金色のアイは、言いながら小さく苦笑いを浮かべました。
それを見て、銀色のアイは慌てた様子で顔の前で手を振ります。
おかしくなんてないよ、ステキなことだと思うよ。私にはできないもの。
……ソウ? あなタがそう言ウなら……ソウなのかも。ありがとう、アイ。
あ、うん、どういたしまして……。
少し照れた様子で、銀色のアイは背中で手を組んだ。人間と遜色ない仕草や表情、言葉遣い……。
金色のアイは、自分の持っていないそれを持っている彼女が、少しだけうらやましいと感じました。
そして同時に、自分の持っていないその仕草や表情を、とても愛おしく感じたのです。


二人のアイは、星空の下、薄暗い道を、ゆっくりと歩いていきます。
彼女たちの目は、星の光だけで昼間のように夜道を見ることができますが……。
今夜の彼女たちは、あえてそうせずに、暗いままの視界で夜道を歩いていました。
……ねえ、アイ。どうして? 暗視で歩いた方が安全なのに。
星が見えナイから……ねえ、見テ。あの星同士ヲつなぐと、大きな鳥のスガタになるの。
……? よくわからないよ、鳥はあんな形してないよ。
そう言うと、銀色のアイは手のひらの上に立体の映像を浮かばせます。
手のひらよりも少し大きな白鳥は、音もなくその場で羽ばたいてみせました。
ね、鳥はこういう形だよ。
……アイは、正しいコトが、好き?
金色のアイは、笑顔を崩さずに聞きます。聞かれた銀色のアイは、それに笑顔でうなずきました。
好き……っていうか、正確なのは良いことだと思うけど。
フフ、まだまだ、アイは子供ね。きっとコレから、色々悩ムと思うよ。
えー、なにそれ? アイは意地悪だなぁ。
二人はそう言って笑い合います。
そんな二人の雰囲気を察してか、いたずら好きの魔物が集まってきました。
とはいえ、少しその魔物は大きめのようです。
これはじゃれつかれたら大変だなぁ……眠らせた方がいいよね?
ウン、そっとネ。優しくしないとダメだよ。
星空の下、銀色のアイはうなずき、興味深げに彼女たちを見ている魔物に向き直りました。

(戦闘終了後)

魔物を傷つけることなく眠らせた後、アイたちは再び歩き始めます。
空には、相変わらず一面の星。
……そういえば、目的地はどこ?
決めてナイよ。ただ、歩いテるだけ。
金色のアイは、にっこりと笑いながら、驚いた表情の銀色のアイに言いました。
目的が無くテも、大丈夫。不安かもシれないけど、もう少しダケ待って。
うん……。
銀色のアイは、不満を少しだけはらんだ表情を浮かべます。
ですが、彼女がその後、ふと顔を上げた時でした。
……!
空に浮かぶ薄い雲を、眼前に広がる草原を、遠くに横たわる山々を……。
白く輝く朝日が、透明な光を連れて照らし始めたのです。
わあ……!
……きっとネ、美しいッテいうのは、こういうコトなんダと思う。
そう言いながら、金色のアイは、銀色のアイの手をそっと握りました。
互いに熱を持つはずのない体は、朝日に照らされたせいか、仄かな温かさを互いに伝えます。
このママ、この景色を見続けていタい。
この景色ヲ、忘れタくない……「失いたくない」。
そう思っテ、何かを見タり、聞イたり、作ッたり……。
それはすべて、「美しい」こと……なんジゃなイかな、と思う。
……金色のアイは、自分が何故作られたのかを思い返していました。
亡くしたはずの最愛の娘を「失いたくない」
そう考え、「お父様」は金色のアイを作り、娘の名前を彼女に与えました。
だからこそ、金色のアイは「自分の名前」を、もっとも美しいと感じていたのです。
……ねえ、アイ。これからもっといろんなことを教えてくれないかな。
私ね、いっぱい、この世界のことを知りたい。
……それは、銀色のアイがこれまでにないほど、強く感じた気持ちでした。
……もちろん。私の知っテることなら、いくらデも。
金色のアイは、そう言ってもう一度にっこりと笑顔を浮かべます。
二人のアイの旅は、まだ始まったばかり。
白く透き通る朝日に照らされながら、彼女たちは一歩ずつ、前へ進んでいくことでしょう。
ふたつの、小さな足跡を残しながら。

※話の最初に戻る
コメント(3)

コメント

  • Love@精霊名 No.93610686 2016/02/12 (金) 00:59 通報
    コラボということで白猫から見に来ました。
    悲しいけれど、とても良い話ですね…。
    このストーリーに惹かれ、更に欲しくなりました。
    引けると良いなぁ…。
    返信数 (1)
    9
    • × KAGA No.93642233 2016/02/12 (金) 23:49 通報
      白猫キャラも可愛い子多いですよね! コラボつながりで見に来て下さってありがとうございます。
      キャラを好きになるきっかけとなったなら、これほど嬉しい事はありません。
      アイは私も黒猫の中でかなり好きな精霊です。
      6
  • KAGA No.90395445 2015/11/12 (木) 18:32 通報
    銀アイが「アイ」と名づけられる前の名前、
    「PLB-279-T」PLB(魂から無尽蔵の魔力を生む手法の頭文字)、279(実験に失敗した、銀アイが生まれるまでに犠牲になった妹ともいえる魂の数)、T(トノラ、リツェーレの名字)
    哀しい名前ですね。編集していて改めて認識しました。黒ウィズ精霊の中で最も切なく、はかないストーリーの一つではないでしょうか。
    限定ガチャのみに登場しながら、その後も出続けており、始めてストーリーに表情差分が出てきた精霊(と思われます。)ということで
    運営スタッフの思い入れを感じますね。
    10

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