父との再会
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〈回廊〉をしばらく進むと、妙な声が聞こえた。 | ||
聖王イザークよ。弟だからと言って、私は手加減せんぞ! 姉さん。この戦いが愚かなものだと思わないのか。 黙れ。……いや、私がお前を黙らせてやる。 | ||
ミカエラ様の声。でも少し、怖い。 | ![]() | |
![]() | たぶん、今のミカエラとイザークの立場が違う〈可能性〉だろうね。 | |
そうした、可能性も……あったのですね。 | ![]() | |
ミカエラは自分とイザークが、まだ何者でもなかった頃を思い出した。 | ||
聖王でも、魔王でもなかった自分たち。 | ||
そして、その場にいつもいた者、父イアデルの事を。 | ||
双方の力が同じであれば、秤が傾くことはない。 | ||
この声は……! | ![]() | |
次代聖王は……ミカエラとする。 | ||
![]() | 聞き覚えがあるようだね。そろそろ近づいてきたのかもね。 | |
イザークよ……。なぜ我がお前を選ばぬか、分かるか。 | ||
お父様……。私にはまだ、分かりません。 | ![]() | |
ミカエラの目の前に、ぼんやりとした像が浮かび上がる。 | ||
![]() 誰だ? | ||
ミカエラにはその男が何者であるか、すぐにわかった。 | ||
自分が知っている姿とは違ったが、その声、その眼、その匂い。 | ||
ミカエラには、すぐわかった。 | ||
お父様。 | ![]() | |
![]() | お前に、お父様と呼ばれる筋合いはない。だが、ここはなんでもありらしい。 | |
![]() | そういうこともあるのかもな。 | |
私は……正しい道を進んでいるのでしょうか。 | ![]() | |
![]() | 道は……自分で作れ。そうすれば、正しいか、正しくないか、気にする必要もなくなる。 | |
![]() | まあ、つまり……強くなれってことだな。 | |
そして、イアデルはすさまじい覇気をミカエラに向けた。 | ||
……わかりました。参ります。 | ![]() | |
(戦闘終了後) | ||
![]() | ……チィ。これじゃあもう戦えないか。 | |
……はあ……はあ。 | ![]() | |
激しい戦いは、ミカエラの勝利で終わった。 | ||
イアデルの〈可能性〉は消耗からか、実体を保てなくなりつつあった。 | ||
![]() | やれば、できるじゃないか。さすが俺の娘だ。 | |
![]() | お前はもう充分強い。そろそろ自信を持て。道を切り開いてゆけ。 | |
![]() お父様……。さようなら。 顔が見られて、よかったよ。 | ||
その言葉を最後に、イアデルの〈可能性〉は歪な空間の中に消えていった。 | ||
![]() | ミカエラ様……。勝ちましたね。それがあなたの力です。自信をお持ちください。 | |
ありがとう。でも、これは私の力ではありません。 | ![]() | |
貴方とイザークが私の背中を押してくれました。 | ![]() | |
私だけの、力ではありません。ですが、それが私という聖王の道なのかもしれませんね。 | ![]() | |
クリネア、これからも私を助けてください。 | ![]() | |
![]() | はい! | |
![]() | 上手くいったようだね。 | |
![]() | じゃあ、そろそろ帰ろうぜ! | |
はい。……帰りましょう。 | ![]() |
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