絆の力
(0コメント)| 決戦の時を告げる鐘が鳴り、君たちは集結した。 | ||
| 目の前には、再び姿を現した「人格なき悪意」の姿。 | ||
| それは巨体を揺らし、マグニフィカト・ケイオスへと向かっている。 | ||
![]() | 諸君、準備はできているかね? | |
| はい。 | ![]() | |
| イツキはそういって、力強く頷く。 | ||
![]() | いい? これが私たちの、最後の戦いよ。 | |
| 絶対勝たなきゃね……。 | ![]() | |
![]() | みんなと一緒だもん……大丈夫だよ。 | |
![]() | ありがとな、シャーリー。オレを生徒会に誘ってくれて。お前のおかげで、みんなに会えた。 | |
| らしくないですよ、ヴォルフ先輩。でも嬉しいです、そう言ってくれて……。 | ![]() | |
| センパイ! しんみりするのは勝ってからにしましょう! | ![]() | |
![]() | そうだぜ生徒会ーズ! 最後の花火だ。パーッと派手に打ち上げようぜ! | |
![]() | 喧嘩祭りの花火だもんな! | |
| ジョージさんと一緒に暴れられる! | ![]() | |
![]() | アイツはオレが生み出しちまった……。だからオレがやらなきゃ……。 | |
| この世界の秩序を保つ為にも、必ず勝ってみせる。 | ![]() | |
![]() | さぁ諸君、もう時間がないぞ! 奴がマグニフィカト・ケイオスに到達する前に倒すのだ! | |
![]() | 上空に渦巻くアムベルの「負の感情」を奴が吸収すれば、君たちの手に負えなくなるぞ。 | |
| 学園長、あれは敵をおびき寄せるための罠なんじゃないんですか? | ![]() | |
![]() | 確かに罠だ、本物のな! | |
| そんな危ない渦、早く引っ込めるにゃ! | ![]() | |
![]() | はっはっは。黒猫君、あれだけ巨大な渦だ。そう簡単に引っ込められるものではないよ。 | |
| そうこうしている間にも、「人格なき悪意」はマグニフィカト・ケイオスへと近づいていく。 | ||
| にゃにゃ! それを早く言うにゃ! | ![]() | |
![]() | みんな、行くわよ! | |
| (戦闘終了後) | ||
| 長い戦いだった。 | ||
| イツキの大剣が、リンカの刀が、ニコラの矢が、ヴォルフの炎剣が、シャーリーの銃弾が──、 | ||
| 少しずつ、少しずつその不吉な闇を剥ぎとっていった。 | ||
| そしてその戦いはようやく終わりを告げる。 | ||
![]() | 諸君! 敵は弱まった! 今こそ生徒会友情バスターを発動させるのだ! | |
| ……学園長、何ですかそれは? | ![]() | |
| その聞き慣れない技の響きに、みな首をかしげる。 | ||
![]() | イツキ君、まずは君が剣に「清め」の魔法を込めるのだ! | |
| わかりました! | ![]() | |
| と、イツキは目を閉じ、蒼覇剣マスグレイヴに魔力を込める。 | ||
![]() | 諸君、思い出すのだ。君たちがこれまでクロム・マグナ魔道学園で過ごした日々を! | |
![]() | 感じるのだ、仲間との絆を、友を思う温かい気持ちを! | |
| ダンケルの言葉に、リンカたちは瞳を閉じ意識を集中させる。すると──。 | ||
| 彼らの着ている制服のエンブレムが、淡い光を放ち始めた。 | ||
| みんなの魔力が共鳴してるにゃ……。私たちも目を閉じるにゃ。 | ![]() | |
![]() | さぁ諸君、皆の心をイツキ君に託すのだ! | |
![]() | イツキ……。 | |
| リンカはイツキの背にそっと手のひらをあてる。他の仲間たちもそれに続くように手を重ねる。 | ||
![]() | イツキ君……。 | |
![]() | イツキ先輩……。 | |
![]() | イツキ……。 | |
![]() | イツキセンパイ……。 | |
![]() | イツキ君……。 | |
| 君も、イツキとの友情を、絆を感じながら、そこに手を重ねた。 | ||
| 制服のエンブレムから発せられていた魔力の光は、イツキの背の上でいっそう強く輝く。 | ||
![]() | ||
| みんなの気持ちが……オレの剣に流れ込んでいく……。なんて凄い魔力だ……。 | ![]() | |
![]() | さぁ、イツキ君、その力で闇を滅するのだ! | |
| わかりました! | ![]() | |
| イツキは光をまとった大剣を振り上げ──。 | ||
| 人々の心に巣食う闇よ。これがオレたち、クロム・マグナの絆だ! | ![]() | |
| 巨大な闇に向かって一気に振りぬいた! | ||
![]() | グァアアアアアア! | |
| そして強烈な光が、目の前の闇を吹き飛ばす。 | ||
| 勝ったのか……オレたち? | ![]() | |
![]() | そうみたいね。 | |
| やったにゃ! | ![]() | |
![]() | よかった……。 | |
| やったね、ヴォルフ先輩! | ![]() | |
![]() | ああ。オレたちみんなで、勝ったんだ。 | |
![]() | 諸君、おめでとう。君たちのような生徒を持てたことを、私は本当に…本当に誇りに思うぞ。 | |
| そう微笑むダンケルの目に、光るものが見える。 | ||
| ダンケル、泣いてるにゃ……? | ![]() | |
| 学園長、涙は卒業式までとっておいて下さいよ! | ![]() | |
| こうして君たちの戦いは終わった。 | ||
![]() | 本来であれば正式に招待状を送付するべきだったのだが、あいにく私は「失踪中」だったのでね。 | |
![]() | 黒猫君、魔法使い君。君たちを呼んだ本当の目的を果たすことが出来る……卒業、おめでとう。 | |
| 卒業式に列席した君たちは、こうして晴れてクロム・マグナ魔道学園の卒業生となった。 | ||
| 全く最後までドタバタした学園生活だったにゃ! | ![]() | |
| 確かに、と君は笑う。そういえば、結局一度も授業に出ることなく卒業してしまった。 | ||
| でも、そんな自分たちを忘れずに卒業式に招待してくれたダンケルに、君は感謝している。 | ||
| もしこの場に呼んでくれなければ、君はもう、彼らと会う機会はなかっただろうから……。 | ||
![]() | 魔法使い! ウィズ、卒業おめでとう! | |
| 卒業式を終えた君たちは早速彼らと合流した。 | ||
![]() | アルティメット黒猫顧問には、本当にお世話になったわね。ありがとう。 | |
| リンカ……だからその呼び方は……。 | ![]() | |
![]() | あーあ、もう卒業かぁ。なんかあっという間だったなぁ。 | |
| そりゃあ、そうだろ? お前は飛び級なんだから。 | ![]() | |
![]() | そういうことじゃないですよ、先輩。何か実感がわかないっていうか……。 | |
![]() | 今日でセンパイたちとお別れかと思うと……あたし、あたし……悲しいです……。 | |
| もうノア、そんなに泣かないで。そりゃ、素敵なニコラ先輩と別れるのはツライだろうけどさ。 | ![]() | |
| ニコラはノアを抱き寄せて、冗談交じりに慰める。 | ||
| 卒業したらそれぞれの国に帰り、いつ敵同士になるかわからない──。 | ||
| そんな過酷な運命を前にした彼らは、君が想像していたよりもずっと明るく楽しげだった。 | ||
| その光景が、かえって君の胸を締め付ける。 | ||
| 彼らはどんな思いで、今この場にいるのだろうか……。 | ||
![]() | どうしたんだよ、魔法使い? 難しそうな顔してさ。 | |
| 君はとっさに笑顔をつくって心中をごまかすが──。 | ||
| イツキたちは、これから自分たちの国に帰るにゃ? そしたらもうみんなとは……。 | ![]() | |
| と、君の心を察したかのように、ウィズはイツキに尋ねる。 | ||
![]() | そうなるな……。今日でオレたちはバラバラになるし、もしかすると敵同士になるかもしれない。 | |
![]() | あれからオレたち、色々考えたんだよ。卒業した後のことをさ。 | |
![]() | 確かに私たちは別々の国に帰るわ。でもそれで仲間じゃなくなるってことにはならないと思うの。 | |
![]() | 住む場所が変わるから、もう仲間じゃねぇ……なんて理屈、馬鹿らしいじゃねぇか。 | |
![]() | そりゃ、戦場でバッタリあって「久しぶりぃ」なんて言えないけど……。 | |
![]() | 実際、この世界では色んな国がずっと戦争を続けてる。でもそれって「今の世界」だろ? | |
![]() | 「これからの世界」を作るオレたちには、色んな国にクロム・マグナの仲間が居るんだ。 | |
![]() | 私たち生徒会の戦いはこれからも続くのよ。学園を守るためじゃなくて──。 | |
![]() | 「これからの世界」を作る為に。どうだ魔法使い、これがオレたちの出した答えだ! | |
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| そういって微笑むイツキは、とても眩しくて、頼もしかった。 | ||
| そして学園中に鳴り響く鐘の音が、唐突に別れの時を告げる。 | ||
| にゃにゃ! キミ、また学生証が光りだしたにゃ! | ![]() | |
| どうやらクエス=アリアスへ戻る時が来たようだ。 | ||
![]() | またどこかで会えるといいな。 | |
![]() | きっと会えるわよ、私たちはずっと仲間なんだから。 | |
| そして学生証から発せられる光が、君たちを包んだ。 | ||
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