レム

私達には、たくさんの限界があるよね。
例えば、一日の時間は決まっていて、
どんなに頑張ってもその限界を超えられないでしょ？

私は妖精だから人間よりは寿命が長いけれど、
何百年か経てば私も大人になって、おばあちゃんになって……。

それはきっとあなたも同じでね……なんて言えばいいんだろう、
ようするに、私達は死ぬまでしか生きられなくって、
いつかきっと終わってしまうんだろうと思う。


それでね、私、時々すごく長い夢を見るの。
何度も何度も夢の中で楽しい日々を過ごして、
現実の世界じゃ出来ないようなこともたくさん出来て……
すごく楽しいのよ、夢の中って。

でも、やっぱり夢の中の出来事って、すぐに忘れちゃうから。
書き留めて残しておこう、っていっつも思うんだけど、
ペンを手にした時には、思い出はもう遠くに行っちゃってて……
手の中にあった楽しい気持ちが消えていくのが、すごく寂しくて。

それにね、いつも楽しい夢ばかりじゃないの。
例えば怖い夢を見たり、悲しい夢を見たり
――そんな夢はもちろん楽しくないし、
いくら目を覚ました世界が限界だらけでつまらなくても、
起きなきゃ、目覚めなきゃ、って思っちゃう。

だからね、私思ったの。
起きている時の世界も、眠っている時の世界も、もうたくさん、って。
あなたも、そう思うよね？

ふふっ、だからね……私、あなたをここに連れてきたの。
あなたと私が限界に押しつぶされて、
簡単に終わってしまうなんて、きっと楽しくないし。
それに悲しい夢も、怖い夢も嫌い。
自由に出来ない夢なんて、見る価値ないもの。

ここはね、現実と夢の狭間。
朝日に照らされた夜空に満ちてる、明るい薄闇に染められた世界。
私とあなただけの、何にも縛られない、自由な牢獄。

ねえ、ここでなら……ここでなら、私と一緒にいてくれる？
もうどちらかを選ぶ必要なんてないの。
さよならなんて、もう言わなくていいんだから。

ずっと一緒に居ようね。
ずっと、ずっと。

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