王様ふたたび
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ゆうびんデシ、ゆうびんデーシ!! | ||
グリコロイヤルシップで行くお菓子の世界クルーズも、そろそろ佳境という頃。 | ||
君のもとに、差出人不明の手紙が届いた。 | ||
誰から来たのかわからないんだよね? | ||
そうにゃ。でも、この文面からして……。 | ||
「拝啓 魔法使い様。元気ですか、僕は元気です」 「あの時の僕は、かたくなで、頑固で、融通の利かない石頭ならぬ冷凍頭でした」 「なので、力の抜けた僕の本気をお見せしたいのです」 「つきましては、先日僕とお話した場所で、もう一度お話しましょう」 | ||
相手はペンプッチン王にゃ。 | ||
君とウィズは苦笑しながら、リコに向かって笑いかける。 | ||
ふふっ、そうみたいだね♪ それに、そろそろ旅もおしまいでしょ? | ||
リコの言葉に君はうなずく。 | ||
ペンプッチンと戦った後も、だいぶ長い間この世界に居たが、そろそろ戻らなければいけない。 | ||
それじゃあ、この旅の締めくくりに、もう一度カップスイーツ国に行こう。 | ||
それじゃあ、改めて……今回最後の冒険に、しゅっぱーつ!! | ||
ようこそおいでくださいました。ささ、こちらへこちらへ。 | ||
果たし状みたいなものを送りつけておいて、やたらフレンドリーにゃ……。 | ||
そんな細かいことを気にして、怒りでぷるぷるしてしまってはもったいないですよ? | ||
ゆるふわに行きましょうよ、ゆるふわに。 | ||
あくまでニッコリと微笑みかけるペンプッチン、以前の頑固さがウソのようだ。 | ||
なぁんだ、王様って前見た感じだとちょっと厳しい人かと思ったけど、意外と話せるね! | ||
うん、砕けた感じで話してくれるし、厳格さがなくて気分が楽だよ。 | ||
小声でリコとグリが君にそう話しかける。 | ||
……だが、君は警戒していた。 | ||
長年の経験から、こういう可愛いっぽい輩こそ、なんやかんや腹黒いのだと君は知っている。 | ||
もしかして、このペンプッチンも……? そんな疑念が、君の中でうずを巻いていた。 | ||
……そして、その思いが彼に伝わったのか、ペンプッチンはピタリと動きを止める。 | ||
おや、魔法使い殿はお茶に手を出されていないようですね。 | ||
……なにか、私が警戒させるような素振り、いたしましたか? | ||
君とペンプッチンの間に、見えない火花が散り始める。 | ||
じっと睨んだ視線の先にある、黄色のプルプルボディ……何か裏があるようには見えない。 | ||
だが、油断するわけにはいかない。君は目でペンプッチンに訴えかけた! | ||
「早く本題に入れ」と……! | ||
……仕方ない。そこの魔法使いさんは、どうしても僕の本気を見たいようですね。 | ||
えっ? | ||
んっ!? | ||
良いでしょう。本気の私がいかにぷるぷるで、いかにカラメルが輝いているか…… | ||
とくと、その目に焼き付けてくださいね……。 | ||
え……お、王様が、黄金に!? | ||
黄金色に輝くペンプッチン。そのボディから放たれる光は、癒し、そのもの……! | ||
ぬあぁ……戦う意欲がゆるふわに負けていくにゃ……!! | ||
足から力が抜け、とんでもないゆるふわオーラに君は膝を屈しそうになる……! | ||
だが、ペンプッチンは待ってはくれない。 | ||
輝くカラメルとぷるぷるのオーラを纏い、君に向かって一歩ずつ近づいてくる……! | ||
さあ、はじめましょう……! | ||
そして正真正銘、この冒険で最後の戦いが始まった!! | ||
(戦闘終了後) | ||
大の字で床に転がった状態で、君は肩で大きな息をしていた。 | ||
ふふふ、初めてですよ、この僕にここまで本気を出させたのは……。 | ||
ふふふふ……僕も膝がガクガクですよ……ふふふふふ……。 | ||
余裕しゃくしゃくといった様子だと思ったら、ペンプッチンも限界ギリギリだったようだ。 | ||
……そもそも彼の膝がどの場所なのか、という疑問は横に置いておいて。 | ||
見応えある戦いだったよー! 最後の魔法はすごかったし! | ||
本当にすごい戦いだったよ、君たちだけは敵に回したくないなぁ。 | ||
君はそう言ってくれるリコやグリに対して笑顔を返す。 | ||
……そして、それが元の世界へと帰る合図になった。君の体は少しずつだが、薄れ始めていく。 | ||
ウィズちゃん、今回の旅は満足できた? | ||
今回はお菓子もたらふく食べられたし、おおむね満足にゃ! | ||
それは良かった! 僕らも呼んだ甲斐があったよ。次は僕らの先生でも紹介するからさ。 | ||
楽しみにしてるにゃ! | ||
それじゃ、まったね~! また何かあれば呼ぶから、期待しててよ! | ||
二人に手を振りながら、その声に背中を押されるようにして…… | ||
君は元の世界……クエス=アリアスへと戻ってきていた。 | ||
──お菓子の世界から戻ってきて、数日。 | ||
ふふん、ここのカフェのお菓子はなかなか美味しいにゃ。とはいえ、あの世界には負けるにゃ♪ | ||
と、ウィズはずっとこんな調子だ。 | ||
確かにあの世界のお菓子はとんでもなく美味しかった。 | ||
ただ、そのせいで君は少しだけ運動不足に悩まされていたりもする。 | ||
足の早いウィズに翻弄され、君は座り込んで荒い息を吐いた。 | ||
最近、キミ、ちょっとタルんできてるみたいにゃ……? | ||
次、リコやグリたちの先生と会うのに、だらしない弟子は見せられないにゃ! | ||
これから鍛えなおしてやるにゃ! 覚悟するにゃ! | ||
勘弁してよ~、と言いながら、キミはウィズと一緒に走りだす。 | ||
また皆に会ったら、話したいことがいっぱいある。 | ||
きっと、お菓子を囲んでお茶でも飲めば、話したいことはもっともっと増えていくだろう。 | ||
にゃはは♪ 今度あっちの世界にいくのが楽しみにゃ♪ | ||
そうすれば、世界はもっともっと、おいしくなるんだから。 | ||
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