王様ふたたび
(0コメント)![]() ゆうびんデシ、ゆうびんデーシ!! | ||
グリコロイヤルシップで行くお菓子の世界クルーズも、そろそろ佳境という頃。 | ||
君のもとに、差出人不明の手紙が届いた。 | ||
![]() | 誰から来たのかわからないんだよね? | |
そうにゃ。でも、この文面からして……。 | ![]() | |
「拝啓 魔法使い様。元気ですか、僕は元気です」 「あの時の僕は、かたくなで、頑固で、融通の利かない石頭ならぬ冷凍頭でした」 「なので、力の抜けた僕の本気をお見せしたいのです」 「つきましては、先日僕とお話した場所で、もう一度お話しましょう」 | ||
相手はペンプッチン王にゃ。 | ![]() | |
君とウィズは苦笑しながら、リコに向かって笑いかける。 | ||
![]() | ふふっ、そうみたいだね♪ それに、そろそろ旅もおしまいでしょ? | |
リコの言葉に君はうなずく。 | ||
ペンプッチンと戦った後も、だいぶ長い間この世界に居たが、そろそろ戻らなければいけない。 | ||
![]() | それじゃあ、この旅の締めくくりに、もう一度カップスイーツ国に行こう。 | |
![]() | それじゃあ、改めて……今回最後の冒険に、しゅっぱーつ!! | |
![]() ようこそおいでくださいました。ささ、こちらへこちらへ。 | ||
果たし状みたいなものを送りつけておいて、やたらフレンドリーにゃ……。 | ![]() | |
![]() | そんな細かいことを気にして、怒りでぷるぷるしてしまってはもったいないですよ? | |
![]() | ゆるふわに行きましょうよ、ゆるふわに。 | |
あくまでニッコリと微笑みかけるペンプッチン、以前の頑固さがウソのようだ。 | ||
なぁんだ、王様って前見た感じだとちょっと厳しい人かと思ったけど、意外と話せるね! | ![]() | |
うん、砕けた感じで話してくれるし、厳格さがなくて気分が楽だよ。 | ![]() | |
小声でリコとグリが君にそう話しかける。 | ||
……だが、君は警戒していた。 | ||
長年の経験から、こういう可愛いっぽい輩こそ、なんやかんや腹黒いのだと君は知っている。 | ||
もしかして、このペンプッチンも……? そんな疑念が、君の中でうずを巻いていた。 | ||
……そして、その思いが彼に伝わったのか、ペンプッチンはピタリと動きを止める。 | ||
![]() | おや、魔法使い殿はお茶に手を出されていないようですね。 | |
![]() | ……なにか、私が警戒させるような素振り、いたしましたか? | |
君とペンプッチンの間に、見えない火花が散り始める。 | ||
じっと睨んだ視線の先にある、黄色のプルプルボディ……何か裏があるようには見えない。 | ||
だが、油断するわけにはいかない。君は目でペンプッチンに訴えかけた! | ||
「早く本題に入れ」と……! | ||
![]() | ……仕方ない。そこの魔法使いさんは、どうしても僕の本気を見たいようですね。 | |
えっ? | ![]() | |
んっ!? | ![]() | |
![]() | 良いでしょう。本気の私がいかにぷるぷるで、いかにカラメルが輝いているか…… | |
![]() とくと、その目に焼き付けてくださいね……。 | ||
え……お、王様が、黄金に!? | ![]() | |
黄金色に輝くペンプッチン。そのボディから放たれる光は、癒し、そのもの……! | ||
ぬあぁ……戦う意欲がゆるふわに負けていくにゃ……!! | ![]() | |
足から力が抜け、とんでもないゆるふわオーラに君は膝を屈しそうになる……! | ||
だが、ペンプッチンは待ってはくれない。 | ||
輝くカラメルとぷるぷるのオーラを纏い、君に向かって一歩ずつ近づいてくる……! | ||
![]() | さあ、はじめましょう……! | |
そして正真正銘、この冒険で最後の戦いが始まった!! | ||
(戦闘終了後) | ||
大の字で床に転がった状態で、君は肩で大きな息をしていた。 | ||
![]() | ふふふ、初めてですよ、この僕にここまで本気を出させたのは……。 | |
![]() | ふふふふ……僕も膝がガクガクですよ……ふふふふふ……。 | |
余裕しゃくしゃくといった様子だと思ったら、ペンプッチンも限界ギリギリだったようだ。 | ||
……そもそも彼の膝がどの場所なのか、という疑問は横に置いておいて。 | ||
![]() | 見応えある戦いだったよー! 最後の魔法はすごかったし! | |
![]() | 本当にすごい戦いだったよ、君たちだけは敵に回したくないなぁ。 | |
君はそう言ってくれるリコやグリに対して笑顔を返す。 | ||
……そして、それが元の世界へと帰る合図になった。君の体は少しずつだが、薄れ始めていく。 | ||
![]() | ウィズちゃん、今回の旅は満足できた? | |
今回はお菓子もたらふく食べられたし、おおむね満足にゃ! | ![]() | |
![]() | それは良かった! 僕らも呼んだ甲斐があったよ。次は僕らの先生でも紹介するからさ。 | |
楽しみにしてるにゃ! | ![]() | |
![]() それじゃ、まったね~! また何かあれば呼ぶから、期待しててよ! | ||
二人に手を振りながら、その声に背中を押されるようにして…… | ||
君は元の世界……クエス=アリアスへと戻ってきていた。 | ||
──お菓子の世界から戻ってきて、数日。 | ||
![]() | ふふん、ここのカフェのお菓子はなかなか美味しいにゃ。とはいえ、あの世界には負けるにゃ♪ | |
と、ウィズはずっとこんな調子だ。 | ||
確かにあの世界のお菓子はとんでもなく美味しかった。 | ||
ただ、そのせいで君は少しだけ運動不足に悩まされていたりもする。 | ||
足の早いウィズに翻弄され、君は座り込んで荒い息を吐いた。 | ||
![]() | 最近、キミ、ちょっとタルんできてるみたいにゃ……? | |
![]() | 次、リコやグリたちの先生と会うのに、だらしない弟子は見せられないにゃ! | |
![]() | これから鍛えなおしてやるにゃ! 覚悟するにゃ! | |
勘弁してよ~、と言いながら、キミはウィズと一緒に走りだす。 | ||
また皆に会ったら、話したいことがいっぱいある。 | ||
きっと、お菓子を囲んでお茶でも飲めば、話したいことはもっともっと増えていくだろう。 | ||
![]() | にゃはは♪ 今度あっちの世界にいくのが楽しみにゃ♪ | |
そうすれば、世界はもっともっと、おいしくなるんだから。 | ||
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