ドルキマス軍への合流
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![]() 遅い! 全く遅すぎる! 貴様、軍規というものを知らないのか! | ||
![]() | いいか、貴様。ドルキマス国シャルルリエ軍に身をおくのなら、軍の規定は必ず守れ! | |
![]() | ガライド連合王国という大国を、ベルク元帥率いる軍が滅ぼして以降の我々は── | |
![]() | 隣国にも、大陸奥にいた強国にも、ドルキマスは危険だと知らしめたのだ。 | |
![]() | 軍に所属する人間がその体たらくでは、強者であることを示せないではないか! | |
![]() | たとえ貴様が弱かろうと、強者であると誇示し続けなければ、国は守れな── | |
![]() | 中将閣下。もうそこらへんにしときましょう。この方は、俺らの救世主かもしれないんだ。 | |
![]() | む……オルゲン大尉。貴様、どこにいっていたのだ。 | |
![]() あんたが噂の魔法使い殿か。俺はヴィラム・オルゲン。 | ||
![]() | あー、ドルキマス国シャルルリエ軍整備担当……だったんだが。 | |
整備士……やっぱり船にはそういう人がいるんだにゃ。 | ![]() | |
だけど、だった……というのは? 君は疑問を投げかけた。 | ||
![]() | ……ま、言うまでもなく死に体だからなァ、うちの国は。見ての通り、子守も必要だ。 | |
ヴィラムは君に近づき、そっと耳打ちをする。 | ||
子守…… | ||
![]() | 子守!? 貴様、上官を侮辱するのか! | |
![]() | あづッ! ちょっ、蹴らないでくださいよ、中将閣下。何もあんたのことを言ってるわけじゃ── | |
![]() | う、うちの軍は、ほら、荒くれもんが多いから、そいつらを指して──ああ、痛いッ! | |
![]() | ……どうしてこう、我が軍には上官を敬わない連中ばかりが集まるんだ。 | |
クラリアの嘆息とともに、カツン、と小気味よい音が船内に響き渡った。 | ||
君とウィズは、知らず背筋を伸ばしてしまう。 | ||
無論、その音の正体は──。 | ||
![]() 中将閣下と打ち解けられたようで何よりです。 | ||
そう見えるのだとしたら、ローヴィはどうかしてるにゃ。 | ![]() | |
君はウィズのぼやきを慌てて止める。 | ||
![]() | 元帥閣下がお見えになられました。 | |
……おやおや、元帥殿がこんな寂れた戦艦においでになられるとは。 | ![]() | |
ば、馬鹿者……ベルク元帥に何たる無礼を。 | ![]() | |
![]() オルゲン大尉、そう警戒せずともよい。なにすぐに去る。 | ||
下の人間の軽口を軽くいなして、ディートリヒは君に目を向けた。 | ||
……君はこの目が苦手だった。 | ||
ローヴィに銃口を向けられていたほうがマシだと思えるほどに。 | ||
![]() | シャルルリエ中将。 | |
はっ。 | ![]() | |
あのクラリアが委縮し畏まっている。 | ||
![]() | ……この軍は、〈イグノビリウム〉最前線にあたる。 | |
俺らは尖兵ってところですね。まあ、わかっちゃいましたが。 | ![]() | |
![]() | 当然だ。ただし、貴君らには、果たさなければならない責務がある。 | |
ヴィラムの言葉を肯定したディートリヒは、表情を崩すことなく続ける。 | ||
![]() | 〈イグノビリウム〉を潰すため必要な4つの拠点を、貴君らで落としてもらう。 | |
他国ですらあっさり飲み込まれたほどの物量に、俺らだけで? | ![]() | |
言っておきますがね、元帥閣下。俺らの戦力は、今日までにおよそ3割は削られてる。 | ![]() | |
戦争において軍の3割程度も削られたら、敗戦を認め、撤退するのが常だ。 | ![]() | |
![]() | 言うまでもなかろう。だから貴君らを当てる。頭がある限り軍は死なない。 | |
![]() | ふふ、それに何も理由なき戦いを命じているわけではない。 | |
![]() | まずあの拠点には資源がある。そこを押さえることで、不必要な部分を切り捨てることができる。 | |
国の不必要な部分、という意味だとクラリアが教えてくれる。 | ||
![]() | 最善となるのは、空を飛ぶ必要がなくなる、ということ。この意味がわかるか? | |
……ええ、痛いほどに。 | ![]() | |
戦争による爆撃の影響か、元々の地形のせいか、大陸は歩くには困難な地が多い。 | ||
君はそんな話を思い出した。 | ||
![]() | 拠点をおさえた先、山を乗り越えたところには、かつて最大の造船国であった地がある。 | |
![]() | 偵察隊によれば、〈イグニビリウム〉に使われているものの、人がいるとのことだ。 | |
そこを解放すれば、人を取り込むことができる。 | ||
小国……ドルキマスだけでは限界であった戦艦の増強ができる……ということだろうか。 | ||
![]() | 船があり、人がいれば"どうとでも"なる。 | |
……では我々は、軍を指揮し、その拠点を叩いていけばいいのですね? | ![]() | |
![]() | 貴君が最も得意とするところであろう? | |
ふふ、お任せください、元帥閣下! わたしがあんな軍など必要ない、と示してみせましょう! | ![]() | |
あんな軍……それはきっと〈ファーブラ〉や〈ウォラレアル〉のことだろう、と君は察する。 | ||
![]() | 貴君らには期待している。 | |
ディートリヒが背を向けたのを見て、君は胸を撫で下ろす。 | ||
![]() | つまりそういうことだ、わかったな? | |
……全くわからないにゃ。 | ![]() | |
君も同調し、わからなかった、と口にする。 | ||
![]() | 要するに拠点となる地を落とせばいいってこと。 | |
だけど〈イグノビリウム〉には、攻撃がきかない、というような話を聞いた、と君は言う。 | ||
![]() | 奴らの戦艦は、我々の火力だけじゃどうしようもない。 | |
![]() | だからぶつけてやるのさ。 | |
にゃ!? | ![]() | |
ヴィラムが拳を握り、ぶつけあう。 | ||
![]() | 圧倒的な物量、圧倒的な攻撃を切り崩すためのひとつ。 | |
![]() | 戦艦と戦艦をぶつけて乗り込んでしまえば、アレらはわたしたち同様、生身だ。 | |
![]() | 太刀打ちはできる。 | |
クラリアの瞳が静かに、しかし強く燃えている。 | ||
![]() いくぞ。我々の力を、かの敵に見せつけてやるんだ! |
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