ドルキマス軍への合流

 
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遅い! 全く遅すぎる! 貴様、軍規というものを知らないのか!

いいか、貴様。ドルキマス国シャルルリエ軍に身をおくのなら、軍の規定は必ず守れ!
ガライド連合王国という大国を、ベルク元帥率いる軍が滅ぼして以降の我々は──
隣国にも、大陸奥にいた強国にも、ドルキマスは危険だと知らしめたのだ。
軍に所属する人間がその体たらくでは、強者であることを示せないではないか!
たとえ貴様が弱かろうと、強者であると誇示し続けなければ、国は守れな──
中将閣下。もうそこらへんにしときましょう。この方は、俺らの救世主かもしれないんだ。
む……オルゲン大尉。貴様、どこにいっていたのだ。


あんたが噂の魔法使い殿か。俺はヴィラム・オルゲン。

あー、ドルキマス国シャルルリエ軍整備担当……だったんだが。
整備士……やっぱり船にはそういう人がいるんだにゃ。
だけど、だった……というのは? 君は疑問を投げかけた。
……ま、言うまでもなく死に体だからなァ、うちの国は。見ての通り、子守も必要だ。
ヴィラムは君に近づき、そっと耳打ちをする。
子守……
子守!? 貴様、上官を侮辱するのか!
あづッ! ちょっ、蹴らないでくださいよ、中将閣下。何もあんたのことを言ってるわけじゃ──
う、うちの軍は、ほら、荒くれもんが多いから、そいつらを指して──ああ、痛いッ!
……どうしてこう、我が軍には上官を敬わない連中ばかりが集まるんだ。
クラリアの嘆息とともに、カツン、と小気味よい音が船内に響き渡った。
君とウィズは、知らず背筋を伸ばしてしまう。
無論、その音の正体は──。


中将閣下と打ち解けられたようで何よりです。

そう見えるのだとしたら、ローヴィはどうかしてるにゃ。
君はウィズのぼやきを慌てて止める。
元帥閣下がお見えになられました。
……おやおや、元帥殿がこんな寂れた戦艦においでになられるとは。
ば、馬鹿者……ベルク元帥に何たる無礼を。


オルゲン大尉、そう警戒せずともよい。なにすぐに去る。

下の人間の軽口を軽くいなして、ディートリヒは君に目を向けた。
……君はこの目が苦手だった。
ローヴィに銃口を向けられていたほうがマシだと思えるほどに。
シャルルリエ中将。
はっ。
あのクラリアが委縮し畏まっている。
……この軍は、〈イグノビリウム〉最前線にあたる。
俺らは尖兵ってところですね。まあ、わかっちゃいましたが。
当然だ。ただし、貴君らには、果たさなければならない責務がある。
ヴィラムの言葉を肯定したディートリヒは、表情を崩すことなく続ける。
〈イグノビリウム〉を潰すため必要な4つの拠点を、貴君らで落としてもらう。
他国ですらあっさり飲み込まれたほどの物量に、俺らだけで?
言っておきますがね、元帥閣下。俺らの戦力は、今日までにおよそ3割は削られてる。
戦争において軍の3割程度も削られたら、敗戦を認め、撤退するのが常だ。
言うまでもなかろう。だから貴君らを当てる。頭がある限り軍は死なない。
ふふ、それに何も理由なき戦いを命じているわけではない。
まずあの拠点には資源がある。そこを押さえることで、不必要な部分を切り捨てることができる。
国の不必要な部分、という意味だとクラリアが教えてくれる。
最善となるのは、空を飛ぶ必要がなくなる、ということ。この意味がわかるか?
……ええ、痛いほどに。
戦争による爆撃の影響か、元々の地形のせいか、大陸は歩くには困難な地が多い。
君はそんな話を思い出した。
拠点をおさえた先、山を乗り越えたところには、かつて最大の造船国であった地がある。
偵察隊によれば、〈イグニビリウム〉に使われているものの、人がいるとのことだ。
そこを解放すれば、人を取り込むことができる。
小国……ドルキマスだけでは限界であった戦艦の増強ができる……ということだろうか。
船があり、人がいれば"どうとでも"なる。
……では我々は、軍を指揮し、その拠点を叩いていけばいいのですね?
貴君が最も得意とするところであろう?
ふふ、お任せください、元帥閣下! わたしがあんな軍など必要ない、と示してみせましょう!
あんな軍……それはきっと〈ファーブラ〉や〈ウォラレアル〉のことだろう、と君は察する。
貴君らには期待している。
ディートリヒが背を向けたのを見て、君は胸を撫で下ろす。
つまりそういうことだ、わかったな?
……全くわからないにゃ。
君も同調し、わからなかった、と口にする。
要するに拠点となる地を落とせばいいってこと。
だけど〈イグノビリウム〉には、攻撃がきかない、というような話を聞いた、と君は言う。
奴らの戦艦は、我々の火力だけじゃどうしようもない。
だからぶつけてやるのさ。
にゃ!?
ヴィラムが拳を握り、ぶつけあう。
圧倒的な物量、圧倒的な攻撃を切り崩すためのひとつ。
戦艦と戦艦をぶつけて乗り込んでしまえば、アレらはわたしたち同様、生身だ。
太刀打ちはできる。
クラリアの瞳が静かに、しかし強く燃えている。


いくぞ。我々の力を、かの敵に見せつけてやるんだ!

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