めくるめく激戦の章
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偽リエンを造り出した"象恨呪"。その使い手に、ダムザは心当たりがあった。 | ||
事の真偽を確かめるべく、三人は、さる商業都市へと足を運ぶのであった……。 | ||
では、わしは知り合いに会うてくる。そのあとで、飯でも食うとしよう。良い店を知っておるのでな。 | ||
ダムザが立ち去ったあと、リエンは目立たぬよう、物陰に隠れながら歩き出した。 | ||
こそ……こそこそ……こそこそこそ……。 | ||
リエンさん見てくださいおやつ売ってますよリエンさんほらほらフゥーーーー!! | ||
わざとかこらー!! | ||
……いい、ガトリン? ぞば? | ||
あの偽物のせいで、あたしの評判、激ヤバなの。 | ||
ぞばぞば。 | ||
だからね。こういう人の多いトコだと、なるっべく目立たないようにしなきゃなの! | ||
ぞばばばーん。 | ||
だから、下手に名前呼んだりしないで。いいわね? | ||
ぞばー! | ||
よし。さて、それじゃあ、ダムザが帰ってくるまで服屋にでも寄ってましょうか。 | ||
わっかりました! ドゥルル─ッッッルゥィエンさん! | ||
返事だけいいヤツか!! | ||
?? ちゃんと上手に呼びましたよ? | ||
ズレた路線でマジメなヤツか!!! | ||
さる魔道士の館にて──その主を前に、ダムザは深々とうなずいている。 | ||
では……あやつは、やはり。 | ||
そうか……今はそこに。かたじけない。感謝する。 | ||
待たせたな、ふたりとも。 | ||
ごはん~。ごはんごはんごはん~~。 | ||
わかった、わかった。約束どおり、良い店を紹介するゆえ、許せ。 | ||
腹ごしらえをしたら──改めて、世を騒がす術の使い手を問いただしにゆくとしよう。 | ||
街から離れた、奥深い山のなか。そこに、一軒のみすぼらしい小屋が建っている。 | ||
三人が近づいてゆくと、小屋のなかから、ひとりの魔道士が悠然と姿を現した……。 | ||
ほう……兄者が我があばら家を訪うてくれるとは。知っておったなら、饗応の準備もしたものを。 | ||
あにじゃあー!? | ||
弟さん、お顔が真っ赤ですよ! お熱ですか!? お熱ですよね! もうぞばるっきゃないですよ!! | ||
我が流派に伝わる肉体強化の法だ。わしも、かつて同種の魔力法衣をまとっておったことがある。 | ||
……あんたらのそれ、肉襦袢みたいなもんなの? | ||
さて。弟よ。"象恨呪"を以って、これなる娘の似非者を造り人を襲わせたは、汝の仕業なりや? | ||
ふ……はははははははは! いかにも、然なり。さすがは兄者。慧眼よなあ……。 | ||
かの秘呪を成し上げたるは見事と言おう。だが、なぜだ。なにゆえ、人を襲わせたのだ! | ||
決まっておる。修練のためよ。 | ||
修練? あれが!? | ||
わしは、兄者とは違う。魔道と武道、その両道を極め、以って最強ならんと求道する!! | ||
戦えば戦うほど"象恨呪"の武は極まる。それをまとわば、我こそ最強の魔道士にして武術家なり! | ||
あっきれた! 自分で修練するんじゃなくて、偽物に学ばせて楽しようってこと!? | ||
求道を志す者、"堕" "無"" 邪"の三道の誘惑あるを知り、以って己を戒むべし……。 | ||
弟よ。おぬしは求道の理を忘れ、ただ己の欲のみを欲する外道に堕した、皮相浅薄の愚物なり!! | ||
自ら培い、自ら競い、自ら磨いてこその武の極み! それを楽して目指そうなんて、考えが浅いっての! | ||
ぞ……ぞばー! ぞばぞばー! だめぞばー! たぶん! | ||
ふん。弱者の群れがいくら吼えようと、もはや、気にも障らぬわ! | ||
秘呪の学びし武は、すでに我がたなごころの中よ。魔道と武道の融合、括目して受けるがいい!! | ||
血涙啜る禍桜、穢業の果てに狂い咲け! ぃやぁぁあああぁああああッ!! | ||
ダムザの魔術とリエンの武術──嵐めくその猛威を受けてなお、弟は傲然と笑い続ける。 | ||
武と魔と……ぬしらに一日の長あるは、真なり。だが、両道相合わさば、その力数倍に達せり!! | ||
もはや見るべきものは見尽くしたり。技芸の披露、大義であった。褒章に、安らけき死を遣わさん!! | ||
弟よ……兄は、ひとつ、おぬしに教えておかねばならぬことがある。 | ||
なんだ? 命乞いの作法かぁ!? | ||
高笑いで返す弟に──ダムザは小さく苦笑した。 | ||
”世界は広い”、ということだ。 | ||
イマジネイティブ☆ロックオン! ガトリン・チァンバー、スタンバーイ! | ||
ガトリンの携えた武器から、謎めいた液体が怒濤の勢いで射出され、ダムザの弟を直撃した! | ||
ごはあ! なんだ!? いきなり気分がッ……! というかなんなのだその武器というか攻撃方法は! | ||
薬室満タン! ガトリン・チャンバー、ヘルファイアー! | ||
ぬぉおおおお!? 避けても避けても追ってくる! なぜだ!? どういう理屈なのだ!? | ||
袖振り合うもデスティニー、ってことですよ……。 | ||
わからん! ぎゃああああー!! | ||
謎薬の謎直撃を受けた弟は、謎まだら色になって謎ぐったりと倒れ伏した。 | ||
あー……タイトルをつけるなら、あれね。「世間知らずの儚い末路」 | ||
魔道と武道のみを極めたところで、この世界で最強を名乗ることはできぬわな。 | ||
倒れた弟に歩み寄るダムザ。すると弟が、弱々しく震えながら声を上げた。 | ||
すまなかった……兄者。 | ||
え? | ||
なぜか、急速に心が洗われてきた……。 | ||
ココロアライソウの効果が出てきたみたいですね……。 | ||
無視。 | ||
兄者、伝えておかねばならないことが……。実は、俺にこの方法を教えたのは黒ずくめの謎の男……。 | ||
何!? そんな怪しい奴が!? | ||
その男は……7人の異能者からなる組織に属し、各地の術者を外道に招いているという……。 | ||
むう、なんと……。 | ||
また、その組織はある大国の援助を受けており、その大国はひとりの少女に支配されている……。 | ||
……はい? | ||
そしてさらに、その少女の傍らには数百年の長きに渡って生きてきた謎の老人がいるとされ── | ||
……あの? 待って待って? 話でかすぎない? どこまで行っちゃうわけよ? ねえ? | ||
奴らすべてを倒さぬ限り、この悲劇の連鎖は終わらな……ガクッ。 | ||
弟!? 弟よ! しっかりしろ!! | ||
…………おや? 兄者? どうしてここに? 心配されずとも、修練は毎日続けておりますぞ。 | ||
おぬし、まさか記憶が……? いったいなぜ── | ||
ココロアライソウの効果が出てきたみたいですね……。 | ||
やっぱあんたかー!! | ||
こうしてひとつの戦いが終わった……。 だが、まだ黒幕の黒幕の黒幕の黒幕が残っている。その企みをすべて砕くまで、戦いは終わらない! 進め、〈魔轟三鉄傑〉! 戦え、〈魔轟三鉄傑〉! ざっくりときめく勝利のために!! | ||
ちょ、なんかコレあたしも行く流れになってない? 行かないし! いや、行かないし! | ||
行ぃぃいかなぁぁいしぃぃぃぃぃいー……!! < ぞっばー♪ ぞっばー♪ ぞっばぞばー♪ |
コメント(1)
コメント
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時間かけて編集しておいてなんですが、この全3話はゲームか、動画で見る事をお勧めします。
その方が確実に楽しめます。0
削除すると元に戻すことは出来ません。
よろしいですか?
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