偶然の再会
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君たち一行は、船に乗ってスィー島から少し外れたアイスのお城に辿り着いた。 | ||
アイとテレーゼは、別行動──というより、ふたりは観光を楽しむつもりらしかった。 | ||
素敵なもの。美しいものをちゃんと見ておきたいから。 | ||
とは、アイの言葉だ。テレーゼもまたそれに同調した。 | ||
出会った記念に、とラヴリが渡したお菓子に感謝の気持ちを述べたふたりは、 | ||
別の場所へと進んでいった。 | ||
アイスのお城よ。 | ||
君たちは、恐る恐る足を踏み入れる。 | ||
ラヴリが言ったように床も柱も天井も、全てがアイスで出来ているお城だった。 | ||
これ全部、アイスにゃ? キミ、ちょっと置いてあるアイスを食べてみるにゃ。 | ||
食べても大丈夫ですよ♪ | ||
興味を惹かれるまま、君は近くにあるアイスを手に取り、口にした。 | ||
甘い。 | ||
ちゃんとアイスの味がする。 | ||
凄いにゃ。こんな建物、今まで見たことないにゃ! | ||
君は、また一口アイスを舐めてみた。 | ||
冷たい甘さが、口に広がっていく。 | ||
思わず虜になってしまいそうな味だ。 | ||
キミ、食べすぎはよくないにゃ。お腹を壊しても知らないにゃ。 | ||
ウィズに言われて、これ以上アイスを舐めるのを自重する。 | ||
さすがに、ここにデザートンはいないか……。 | ||
こんなわかりやすいところにいるわけないわよね。 | ||
その時── | ||
ワン! ワン! | ||
キャンキャン! | ||
犬の鳴き声? | ||
行ってみましょう。 | ||
君たちは、鳴き声が聞こえた方に向かうことにした。 | ||
ワンワン! キャンキャン! | ||
二匹の犬が、君たちの前で楽しそうにじゃれ合っている。 | ||
クロ、よかったな。友達ができて。 タロー楽しそう。やっぱり、キワムにーにに付いて来てよかった。 | ||
小さい女の子を、ほったらかしにしておくわけにはいかないだろ。 | ||
ここに来たときは、誰もいなくて……凄く寂しかったけど……。 | ||
キワムにーにに会えたからよかった! 一緒に帰る方法を考えようね! | ||
ああ……早くみんなのところに帰らないと……。 | ||
でも、戻るったって、どうしたらいいんだろうな……。 | ||
……にしても、ここは一体どういう場所なんだ? 全部アイスでできた城って……ん? | ||
君たちの存在に、キワムが気づいたようだ。 | ||
キワムだにゃ? まさか、こんなところで会えるなんて、奇遇にゃ! | ||
おー! ウィズと魔法使いじゃないか! お前たちこそ、どうしてここにいるんだ? | ||
ワン! ワン! | ||
クロが勢いよく、ウィズの元に駆け寄ってくる。 | ||
やっぱりクロだったにゃ? どこかで聞いたことのある鳴き声だと思ったにゃ。 | ||
ワン! | ||
嬉しそうに、ウィズにじゃれつくクロ。 | ||
キャン! キャン! | ||
クロに続いて、もう一匹の犬がウィズの元に近付いてくる。 | ||
もう一匹いたのかにゃ? 見たことない犬にゃ。 | ||
タロー待って、あう……。 | ||
コヨミは、君を見て身をすくませる。 | ||
そして、素早くキワムの背中に隠れた。 | ||
コヨミ、心配ないよ。この人は、俺の知り合いだ。 | ||
昔世話になったことがあるんだ。いい人だから、怖がらなくていいよ。 | ||
コヨミは、キワムの背中に隠れながら、恐る恐る君たちを覗いていた。 | ||
いきなり噛みついたりしないにゃ。 | ||
喋る……猫さん……? | ||
名前は、ウィズにゃ。コヨミちゃん、よろしくにゃ。 | ||
よ……よろしくお願いします。 | ||
コヨミは、怖々と手を差し出す。 | ||
ウィズは、握手の代わりに自分の頭をコヨミの手にこすりつけた。 | ||
ウィズねーね、アイスの香りがする。 | ||
この城は、全部アイスにゃ。アイスの香りがするのは、当然にゃ。 | ||
あ、それもそうだね。じゃあ、コヨミもアイスの香りするかも。くんくんっ。 | ||
面白い子にゃ。 | ||
[美しいメロディ] << 目次 >> [迷子の子羊?] |
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