謎の遺跡への侵入
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ドルキマス国シャルルリエ軍団は、他国との争いに打ち勝ち、 | ||
〈イグノビリウム〉の侵略をおさえていた、いわば国内最大の戦力であった。 | ||
軍内において"不死身"と、他国からは"戦争狂"と揶揄されるクラリア・シャルルリエ。 | ||
〈イグノビリウム〉が大陸に降り立って以降、彼らと幾度も相まみえることがあったものの、 | ||
その全てで一度の撤退もないドルキマスの武力が今、最大の窮地に立たされていた。 | ||
ちぃッ……! ……こいつはまずいですよ、中将。 | ||
〈イグノビリウム〉は、視界に入った敵を攻撃する、特別な策を練らないもの。 | ||
まっすぐに進み、邪魔者を踏み潰すだけのもの。 | ||
君はそのようなことを聞いていた。 | ||
だから向かってくるものを排除しに動く、いわゆる── | ||
こいつら"ゴリ押し"するだけの連中じゃなかったのか!? | ||
……学習するようですな。 | ||
なにを呑気なことを言っているんだ! コレを見ていないのか!? | ||
前方から無数に押し寄せてくるだけと──もしかすると、侮っていたのかもしれない。 | ||
囲み込むように現れた〈イグノビリウム〉が、君たちを撃つタイミングを見計らっている。 | ||
見ても見なくても変わらんでしょう。 | ||
……撤退するほかありませんね。 | ||
"撤退"だと!? 馬鹿を言うな! "どこから"、"どう"退くというんだ! | ||
しかし、このままでは壊滅的な打撃を受けてしまいます。 | ||
……参ったな。まさかアレに学習能力が備わってるなんて。 | ||
うむ。これはどうしようもない。 | ||
クラリアの、よもやあっけらかんとした声音に、君は驚きを禁じ得ない。 | ||
おい、魔法使い。貴様はローヴィを連れて魔道艇で抜けだせ。道は我々が開く。 | ||
君は必死に言葉を探し、そんなことはできない! と叫んだ。 | ||
みすみす仲間を見殺しになんて──君にはできなかった。 | ||
幸い、後方は空いている。我々が魔道艇の前に立ち、盾となろう。いいか。死に物狂いで逃げろ。 | ||
仕方ありませんな。本体──元帥閣下と合流してください。魔法使い殿。 | ||
中将閣下のご命令です。撤退してください。我々は魔道艇を守らなければなりません。 | ||
それは受け入れがたい命令だ。 | ||
自分も仲間も助ける、君はそう誓った。 | ||
……それはたとえ銃を突きつけられても、敵の群れに囲まれても、 | ||
決して曲げてはいけない──そう思った。 | ||
何をしているのです? | ||
君は、「前へ進む」ことを伝える。 | ||
下がって敵に背を向けたところを、狙い撃たれる可能性だってある。 | ||
魔道艇は君の魔力に反応するが、魔力がどうあれ、速度には限界がある。 | ||
むしろ今こそ──"魔道艇"が囮になる必要があるのではないだろうか。 | ||
君は、それを伝えた。 | ||
確かにそれは一理あるが、魔法使い殿の負担が大きすぎるな。 | ||
そもそもこうした行動に出るようになった〈イグノビリウム〉が、魔道艇だけを狙うとも限らない。 | ||
キミ、ずいぶんな賭けに出たにゃ……。 | ||
貴官のそれは、無謀とも言えます。 | ||
無謀でも、決して無策ではない。 | ||
魔道艇は、〈イグノビリウム〉が持つ戦艦の攻撃に十分耐えうる。 | ||
それが1度だけなのか、2度なのかはわからないが、通常の戦艦が喰らうよりはマシだろう。 | ||
"最も重要な"戦力である魔道艇を、よもやそのように使うというのですか!? | ||
後頭部に銃を"突きつけられる"感じがあった。 | ||
だけど君は、かぶりを振る。 | ||
"最も重要な戦力だからこそ、最も重要な今この局面で使うのだ" | ||
ちっ……どうしてこう、我が軍には"上官を敬わない連中"ばかりが集まるんだ。 | ||
作戦変更だ。いいか魔法使い、必ず道を開け。それとひとつ勘違いはするな。 | ||
撤退ではない。"道を開くんだ"──戦うために。奴らに負けないために! |
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