要塞を制圧しろ
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敵艦への激突──そして、入り乱れての白兵戦。 互いに斬り合い、撃ち合い、時には魔法も飛ぶ乱戦。 | ||
なかなか奴らもやるじゃないか! 負けるな、貴様ら! 攻めろ! 攻め抜くんだ! | ||
クラリアに鼓舞されたドルキマス兵が、勢いを増して突撃していく。 | ||
しっかし、これじゃあ埒が明かないな。 | ||
ようやく来たなァ。待ってたぜ。 | ||
やけに凶悪な武器を携えた男が、ゆっくりと近づいてくる。 | ||
君たちを囲み、おびき寄せ、その隙にドルキマスの拠点を奪った男。 | ||
俺はァ、エクサヴェルってんだ。わかってると思うが、あんたらの敵だ。 | ||
くッ、なんだこの音……。 | ||
〈イグノビリウム〉の兵の言語は、我々には理解できない。 | ||
……みんな、あの男が何を言っているのか、理解していないんだったにゃ。 | ||
君には、男性が──敵意こそあるものの、語りかけてきているだけのように思えた。 | ||
だが要塞を奪ったのは事実。君にとっての敵でもある。 | ||
アンタにしか言葉が通じてないようだが、まァ、ここまできたら理由なんていらねェよなァ! | ||
巨大な兵器を君たちに向けて、エクサヴェルが口元を笑み歪めた。 | ||
俺はなァ! 暴れて、破壊して、奪って、そういうのが楽しくてしょうがねェんだ! | ||
おいおい冗談じゃねえぞ。ただでさえ敵兵に囲まれてるってのに、あんなのどう避けるってんだ! | ||
君はみんなの前に立ち、カードを構える。 | ||
〈イグノビリウム〉に喧嘩売ったのが運の尽きだと思って、悪ィが、このまま逝ってくんなァ! | ||
これ以上、被害を広げないために……必ず、勝たなければいけない。 | ||
(戦闘終了後) | ||
爆発音とともにエクサヴェルが吹き飛んでいく。 | ||
ま、参った参ったァ……あんた、強ぇなァ……。 | ||
強力な魔法を受けてもなお、エクサヴェルは立ち上がろうとしていた。 | ||
とっ捕まえろ。今なら容易だろう。 | ||
なんて奴だ……武器はぶっ壊れたが、体は傷ひとつ負っちゃいねえ。 | ||
頑丈な敵だったにゃ。 | ||
一応、これで抑えたことにはなる……ようだ。 | ||
……弱ったぜェ。あの方になんて言い訳すりゃいいんだ、俺はよォ。 | ||
あの方……君はそれが誰なのか、気になってしまう。 | ||
だが…… | ||
貴官の疲労は窺い知れますが、まだ戦いは終わっていません。 | ||
そう、エクサヴェルを倒したところで、敵兵の動きは止まっていない。 | ||
まずは……この拠点を取り戻すことが先決だ。 | ||
すまないな、魔法使い殿。面倒をかける。 | ||
君は、大丈夫、と微笑むが……この敵の数を前だと、強がりにも聞こえたかもしれない。 | ||
本当に大丈夫ですか? | ||
ローヴィに問いかけられ、君はすぐに答えられない。 | ||
無理はなさらないでください。貴官は健闘しました。あとは我々が…… | ||
ローヴィの言葉を遮るように、要塞の奥から爆音が響き渡る。 | ||
ッ、なんだ? 敵の増援か!? | ||
いや、あれは……ドルキマス国の戦艦です! 中将、俺らの増援がきたようです! | ||
その声を聞き、君はほっと息を吐く。 | ||
轟音が今はとてつもなく心強かった。 | ||
もう一息だけ、頑張るにゃ! | ||
ウィズの言葉に頷いて、君はぐっと体に力を込める。 | ||
これを乗り切り、拠点を取り戻さなければ……! | ||
魔法使い。貴様にはずいぶんと助けられた。 | ||
拠点となる要塞を取り戻した君たちは、敵兵を退け、ようやく一息ついていた。 | ||
まだ〈イグノビリウム〉の一部を倒したに過ぎない。 | ||
それに比べて、ドルキマスの損耗は激しい。 | ||
ファーブラは、我々より早く複数の地を落としたようですな。 | ||
彼らは、〈イグノビリウム〉相手の戦い方を心得ていると見えます。 | ||
効率のいいやり方があるなら、知りたいものだ。 | ||
おい貴様。飲め。 | ||
そういって手渡されたのは、いつだったかの水筒。 | ||
それはどこか甘い香りの、特別なお茶だ。 | ||
我が軍の立て直しが急務ですな、ローヴィ殿。 | ||
援軍が来てくれたのは幸運でした。そこまで連携がとれていなかったこともありますが……。 | ||
ほう。悪くない。 | ||
背後から、あの、低く、それでいて鋭い声が響く。 | ||
貴君ら、期待に背くことなく、十分な戦果を上げているようだ。 | ||
ベ、ベルク閣下……生きておられたのですか。 | ||
ふふ、死んでいてくれたほうがよかった、ということか、シャルルリエ中将。 | ||
首をぶんぶんと横に振って、言葉にならない言葉を上げるクラリア。 | ||
どちらにおられたのですか? 元帥閣下。 | ||
言ったであろう。"空けることになる"と。 | ||
……君は、あのときディートリヒが言った言葉を思い出した。 | ||
"なに、どうせすぐ空けることになるがね" | ||
それはつまり、要塞を手放すという意味だったようだ。 | ||
貴君に声をかけておいたのが功を奏したようだ。 | ||
君を見下ろすディートリヒが、いびつな笑みを見せた。 | ||
しかし言葉の意味がわからず、君は首を傾げる。 | ||
アレらも無能ではない。いずれ頭を使うときが来ることを考え、貴君を利用した。 | ||
アレに囲まれたとき、貴君は前へ出ることを選んだ。それが私の言葉によるものと気づかず。 | ||
あとは──貴君らも知っての通りだ。アレはない頭で考えぬき、ここを落とすことを選んだ。 | ||
深追いした結果、背後に大きな隙ができた。 | ||
そうして〈イグノビリウム〉がここに乗り込んだときには、 | ||
既にディートリヒたちはここにいなかったのだという。 | ||
結果的に被害を出すことなく明け渡すことになったわけだが…… | ||
なにも貴君だけをそうしたのではない。我が軍に隙を作らせ、アレらをここに籠城させたのだ。 | ||
閉じ込めたうえで逆に取り囲み、一気に叩こうという作戦……だったらしい。 | ||
くくっ、面白いように動いてくれたよ、貴君は。 | ||
どうしてそんなことを、どうしてそれを言わなかったのか、 | ||
君はまくしたてるように問いかけた。 | ||
戦争に勝つために、駒を利用するのは当然のことであろう。 | ||
悪びれる様子もなく、それどころか愉快げに笑い、ディートリヒは言う。 | ||
ダメにゃ。全く言葉が通じないにゃ……。 | ||
さあ、次だ。まだ戦争は始まったばかりではないか。 | ||
シャルルリエ中将。貴君に指揮権を与える。最後まで戦い抜いてみせたまえ。 | ||
はっ! | ||
……とんだ元帥閣下だ。欺くにしたって、やり方ってのがあるだろうに。 | ||
大将以下の行方が知れなかった将も、ディートリヒとともに"潜んでいた"らしい。 | ||
いったいどこに、ということを聞いたところで、はぐらかされるのがオチだろう。 | ||
いきましょう。貴君にもまだ働いてもらいます。 | ||
さあ、いくぞ魔法使い。全敵勢力を退けるまで、戦いは終わらない! |
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