神秘的な空域の突破
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どうやら魔道艇は使えるものらしい。 はい。間違いありません。〈イグノビリウム〉の戦艦を落とせるのは、魔道艇だけです。 | ||
現状、ドルキマス軍の損害はどれほどだ? | ||
シャルルリエ軍団の損害が最も激しく、既に3割程度削られています。 | ||
他軍から回すほどの戦略的余裕はなく、何より撤退戦など、あの中将が認めるはずもありません。 | ||
そんなに損耗が激しいだなんて……。 | ||
君は、2、3割も削られたら撤退を視野にいれる、とヴィラムが言っていたのを思い出した。 | ||
結構だ。何ひとつ問題ない。 | ||
問題だらけにゃ。壊滅したらどうするつもりにゃ。 | ||
先遣隊としては、これ以上にない戦果を上げているといえるでしょう。 | ||
あれほどの軍団を送り込んでもなお、〈イグノビリウム〉は健在。……全くどうして面白い。 | ||
シャルルリエ中将は、やはり"うまい"やり方を知っています。彼女でなければここまでは。 | ||
無論だ。クラリア・シャルルリエという頭があるかぎり、この軍団に敗走はない。 | ||
何日ぐらい戦ったのか、君にはこの"戦争"が、無限に続くように思えた。 | ||
必至に〈イグノビリウム〉に対抗しているのに、そんなに損害が出ていることもショックだった。 | ||
貴君を守り、貴君を生きて戻らせるための、"投資"だ。気にすることはない。 | ||
投資……そうだ。君は守られていた。 | ||
〈イグノビリウム〉は魔道艇を狙い、魔道艇に向かってくる。 | ||
その数がひとつ、ふたつ程度なら問題なかったかもしれないが、 | ||
無数の戦艦が攻めてくる以上、魔道艇が"ひとつ"だけではどうしようもない。 | ||
……君は、それはディートリヒの命令なの? と訊いた。 | ||
いや、私は何も言っておらんよ。全てシャルルリエ中将の判断だ。 | ||
それならばなおさら、君は"守られて"戦うべきではない、と考えた。 | ||
仲間……と呼べるかはわからないが、君を守るため傷つく人を見たくない。 | ||
貴君が何を考えているかは知らないが、彼らの名誉を穢してくれるなよ。 | ||
……元帥閣下はこれからどのように? | ||
私は、ここに残る。なに、どうせすぐ"空けること"になるがね。 | ||
ディートリヒの言葉を理解できず、君はローヴィを見た。 | ||
では参りましょう。中将がお待ちです。 | ||
だが、そんなこと知ったことではない、とばかりに彼女は歩き出した。 |
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