新しいカリキュラム
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クロム・マグナ魔道学園に来て二日目、君たちは学園の授業に参加することになった。 | ||
![]() | よう、魔法使い! 昨日はよく眠れたか? | |
イツキの計らいにより、昨晩から君たちは学生寮の空き部屋に滞在している。 | ||
ぐっすりにゃ! ここのベッドは私のよりもふかふかにゃ! | ![]() | |
![]() | そりゃよかった。じゃ、そろそろ行こうか? まずはオレの所属してるグリングラードだ。 | |
にゃにゃ? イツキの制服、昨日着てたのと違うにゃ。 | ![]() | |
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![]() | あれは式典用の礼服だよ。集会があったから。そんで今日のはクラス別の平服なんだ。 | |
つまりイツキが今日着ているのはグリングラードのもの、ということだろうか。 | ||
![]() | そういうこと。ほら、水と炎と雷、3つのエレメントが合わさったエンブレムがついてるだろ? | |
と、イツキは上着についている紋章を見せる。 | ||
クロム・マグナの学生たちは得意とする魔法の属性によってクラス分けされている。 | ||
炎系魔法ならイグニーマ、雷系魔法ならエクレアル、水系魔法ならアクアシアという風に。 | ||
そしてイツキの所属するグリングラードには、それら3クラスの成績優秀者のみが所属している。 | ||
![]() | 生徒会の中でもオレとニコラだけだよ、グリングラード入りしてるのは。 | |
![]() | リンカやヴォルフ、ノアはイグニーマだろ。それから、シャーリーはエクレアルだし。 | |
そういえば、アクアシアの生徒にはまだ会ったことないにゃ。 | ![]() | |
![]() | 確かにそうだな。よし、誰か紹介してやるよ。オレは元アクアシアだったからさ。 | |
と、イツキはアクアシアの知り合いを探しはじめる。 | ||
お、いたいた。おーいユキヤ! | ![]() | |
とイツキは女子生徒とふたりで登校してくる少年に声を掛けた。 | ||
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![]() | イツキか……。グリングラードのエリートが何の用だよ? | |
友達に紹介したくてさ。 | ![]() | |
こいつは元クラスメイトでユキヤっていうんだ。アクアシア所属の優秀な生徒なんだ。 | ![]() | |
君は「よろしく」とユキヤに握手を求めるが、彼はそれを無視する。 | ||
![]() | それ、元首席のお前に言われても嫌味にしか聞こえないぞ……。 | |
……それで隣の子は転校生か? 見ない顔だけど……。 | ![]() | |
![]() | ……ああ。最近アクアシアに入ったんだ。学園に慣れるまで、オレが色々教えてるんだ。 | |
![]() | はじめまして。私、今度アクアシアに転入して来たエマ・ユーイングです。 | |
よろしく。オレは……。 | ![]() | |
![]() | イツキ君でしょ? 知ってますよ、女子がよくあなたの話してるから。 | |
イツキも中々スミにおけないにゃ……。 | ![]() | |
……そ、そんなことねぇよ。 | ![]() | |
イツキは鼻をかいて照れくさそうにする。 | ||
![]() | ……エマ、行くぞ! | |
![]() | あ、うん。じゃあねイツキ君。 | |
と、ふたりはアクアシア校舎へと歩いて行く。 | ||
あのユキヤって子、何か感じ悪いにゃ。 | ![]() | |
んー。昔はいいヤツだったんだけどな……ってオレたちも授業に──。 | ![]() | |
突然の鐘の音が、イツキの声を遮る。 | ||
緊急全校集会を行います。平服で構いません。直ちに講堂へ集まって下さい。 | ||
緊急集会? 悪いな魔法使い。授業は後だ。講堂へ急ごう。 | ![]() | |
講堂に集められた生徒たちを見回してから、檀上のアムベルはおもむろに口を開いた。 | ||
![]() | 昨夜、ダンケル学園長から連絡がありました。 | |
これで学園長に会えるぞ。良かったな、魔法使い。 | ![]() | |
これで帰れるにゃ! | ![]() | |
ウィズと顔を見合わせ、君はホッと胸をなでおろした。 | ||
しかし──。 | ||
![]() | どうやら彼は教育に対する興味を失ったらしく、学園に戻ってくる気は無いようです。 | |
アムベルの言葉に生徒たちはざわつき、場内の空気が変わった。 | ||
![]() | つまり、彼はあなたたちを見捨てたのです。 | |
そんな……。 | ![]() | |
![]() | しかし心配には及びません。本日からは正式に私が学園長を兼任します。そして私は──。 | |
![]() | この学園を本来あるべき姿に戻そうと思います。 | |
……本来あるべき姿? | ![]() | |
![]() | 本校の目的は、それぞれの母国にとって即戦力となる魔道士、戦士を育成することです。 | |
アムベルの言葉は、学生たちに厳しい現実を突きつける。 | ||
![]() | しかし、旧学園長の教育はそうした本学の思想を蔑ろにした実にくだらないものでした。 | |
![]() | 最上級生に残された時間はわずかです。そこで私から新しいカリキュラムを提案させて頂きます。 | |
![]() | ただし、これは授業ではありません。イグニーマ、エクレアル、アクアシアによる実戦です。 | |
![]() | グリングラード及び生徒会に所属する学生には後ほど指揮官服を支給します。 | |
![]() | 指揮官として、自分のクラス──自軍を勝利に導いて下さい。 | |
![]() | いいですか? これは授業でも訓練でもありません。あくまで真剣、実弾を用いた実戦です。 | |
実戦……その言葉に場内は一気に色めき立った。 | ||
![]() | 話は以上です。何か質問はありますか? | |
場内が騒然とする中、イツキがひとり手を上げる。 | ||
![]() | イツキ・マスグレイヴさん……だったかしら? なんでしょうか? | |
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つまり今日から……仲間同士で戦えってことですか? | ![]() | |
![]() | いいえ。今日から「仲間」が「敵」になる、ということです。 | |
仲間が敵になる……。 | ![]() | |
アムベルの言葉をイツキは噛みしめるようにつぶやく。 | ||
そんな突然、敵になれって言われて、戦えるわけないじゃないですか。 | ![]() | |
![]() | では負けなさい。そうすれば、戦わずに済みます。他に質問は? | |
……ありません。 | ![]() | |
![]() | 結構。みなさん、始業の鐘とともに戦闘開始となります。解散して下さい。 | |
その言葉をきっかけに学生たちが一斉に動き始める。 | ||
怯える者、大声を上げて自分を鼓舞する者……場内は騒然とした雰囲気に包まれる。 | ||
仲間同士で戦うって……イツキはリンカやシャーリーと……。 | ![]() | |
……わからない。でもとにかく一度みんなで話したい。 | ![]() | |
イツキはリンカたち生徒会の仲間を探すが、人混みに紛れて見つけることが出来ない。 | ||
生徒会室に行こう。 きっとみんなもオレと同じことを考えてるはすだ。 | ![]() |
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