やっぱり黒幕は
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![]() | ま た 学 園 長 か ! ! | |
| ま っ た く だ に ゃ ! ! | ![]() | |
| ──ジョージから聞いた話によれば、ギブミーチョコレー党はダンケルが結成したらしい。 | ||
![]() | 人の恋路を邪魔して、何が楽しいのよあの人は……! | |
| ──少し照れながら頬を膨らすリンカは、手にしたチョコの箱を弄びながら言う。 | ||
| ──この世界に来たことや、今まで巻き込まれていた事件も……、 | ||
| ──おそらくはダンケルの仕業に違いない。否、おそらくではなく、確実に。 | ||
![]() | 最初っからギブミーチョコレー党の首領を探せばよかったのに……、 | |
![]() | なんで気づかなかったんだ? | |
![]() | さぁ……どうせ何か変な仕掛けでもあるんでしょ。 | |
![]() | 思い返せば、サロメ先生もジョージも、様子が少しおかしかったもの。 | |
| ──君はリンカの言葉に、サロメとジョージのことを思い出す。 | ||
![]() うらみはらさでおきべきか。 | ||
![]() キャッキャウフフ滅ぶべし。 | ||
| ──……まあ、よく考えれば正気であの台詞を吐く人間はいないだろう。 | ||
![]() | とにかく、だ! 学園長にひとこと言わないと今回ばかりは気が済まん! | |
![]() | ええ、そうね。一度ヤキを入れ……失礼、一度きついお灸を据えないと。 | |
| そして元の世界に返してもらうにゃ! | ![]() | |
| ──君はウィズの言葉に強くうなずく。 | ||
| ──色んな意味でやる気が満ちた皆を連れて、君たちは学園長室へと足を向けた! | ||
![]() | ||
![]() | ……今年はチョコが沢山もらえたなぁ。しばらくお茶菓子には困らんぞ。 | |
| ──学園長室へとたどり着くと、ダンケルがチョコの山を前にほくそ笑んでいるところだった。 | ||
| ──彼は君たちに気づき、振り返るとにっこりと笑う。 | ||
![]() | おやおや、生徒諸君。今日は大いに楽しんでいただけて── | |
| ない! | ![]() | |
| です!! | ![]() | |
| ──息のピッタリとあった二人の言葉に、思わずダンケルは言葉に詰まる。 | ||
| ──それからコホンと咳払いをして彼は続けた。 | ||
![]() | ところで、MIU☆MIUくんの新曲はどうだったかね? | |
| 『片恋☆ラプソディ』……だっけ。あれが何だって言うんだ? | ![]() | |
| ──イツキの疑問に、ダンケルはなぜか自慢気に言う。 | ||
![]() | 気付いているだろうが、あの曲にはちょっとした魔法をかけてある。 | |
![]() | 片恋……要するに『片思い』している皆の日常を面白おかしくする魔法がな。 | |
![]() | ちなみに作詞作曲は私だ。アイドルプロデュースもなかなか面白いぞ! | |
![]() | それとそこの魔法使いくん、君たちを呼んでしまったのはちょっとした実験の産物でね。 | |
| 実験の産物? どういうことだにゃ? | ![]() | |
![]() | 平たく言えば事故だ。 | |
| えええ……。 | ![]() | |
| ──驚愕の事実に君はウィズと一緒に膝から崩れ落ちる。本当になんて一日だろう……! | ||
| ──ふと、君はイツキとリンカを見る。何故か二人は何のリアクションも取っていなかった。 | ||
| ……どうしたにゃ、イツキ、リンカ……? | ![]() | |
| ということはつまり、今日の騒ぎは……。 | ![]() | |
| すべて学園長が作った曲と……ギブミーチョコレー党とかいう妙な組織のせいだと……。 | ![]() | |
| そういうことですね? | ![]() | |
| ──深い、深い怒りの色に染まった瞳で、イツキとリンカはダンケルを睨みつけている……! | ||
| ──ダンケルは二人の視線を受け止めると、くくっ、と低く笑いこう言った。 | ||
![]() | うむ。 | |
![]() うおおおおおお!! はああああああ!! | ||
| ──二人の魔力は爆発的に膨れ上がり、校舎を揺らす! | ||
![]() | ……えっ、ちょっ、ちょっと待ちたまえ二人とも。そんな怒ることなのそれ。 | |
| 問 答 無 用 ! ! | ![]() | |
| 天 誅 必 罰 ! ! | ![]() | |
| ──うろたえるダンケルに対し二人が飛び掛かると、最後の戦いが始まった! | ||
| (戦闘終了後) | ||
![]() | 調子に乗りました。 | |
| まったくです!! | ![]() | |
| ほんとですよ!! | ![]() | |
| ──二人の前で正座をしているダンケルは、いつもの威厳というものを全く感じられない。 | ||
![]() | いや……君たち生徒諸君が青春を謳歌できるようにとイベントを。 | |
| そういったイベントは生徒主体で企画します。何のための生徒会なんですか。 | ![]() | |
![]() | だ、だってほら、それだと私達教員が関われないじゃないか。 | |
| 学園の主役は我々生徒のはずでは? それを蔑ろにするのは筋違いです。 | ![]() | |
![]() | う、うむ……確かに……。 | |
| ──ぐうの音も出ないほどに論破され、ダンケルは考え込みながら黙ってしまう。 | ||
| ──少し不憫に感じたのか、ウィズはダンケルに優しく話しかけた。 | ||
| ダンケルも生徒と一緒に今日という日を楽しみたかっただけにゃ? | ![]() | |
![]() | いや、足掻いている生徒達を見て美味いチョコを食べたかっただけだが。 | |
| ああそう……。 | ![]() | |
| ──一件落着、というには若干締まりのない終わり方だが……。 | ||
| ──君はなんとか今回もクロム・マグナ魔道学園を救うことができたようだ。 | ||
| ──だが。 | ||
![]() | あ、あの……会長。怪我とかしてませんか? | |
![]() | えっ、あー……うん。大丈夫、平気。 | |
| ──妙によそよそしい二人の会話。当然だろう、今日一日で色々とわかってしまったのだから。 | ||
| ──クロム・マグナ学園の恋模様は、まだまだこれからも複雑怪奇になりそうで……。 | ||
| ──君とウィズは、顔を見合わせて笑った。 | ||
| ──願わくば、彼らに幸多くあらんことを……と願いながら。 | ||
![]() | ところで、帰る時にダンケルからお土産をもらったにゃ。 | |
| ──おみやげ? と君がオウム返しに聞くと……、 | ||
| ──ウィズは小さな箱をくわえて、君の前へとそっと置いた。 | ||
| ──綺麗な紙で包装され、リボンのついたそれは、間違いなくチョコレート。 | ||
![]() | さっそく食べるかにゃ? | |
| ──もちろん、と君は言い、リボンを解こうと手を伸ばして……、 | ||
| ──やめた。 | ||
| ──理由は当然……。 | ||
![]() | ダンケルからのお土産だものにゃ……何が入ってるかわからないにゃ。 | |
![]() | ……よし、このチョコはバロンにあげるにゃ! きっと喜ぶにゃ! | |
| ──いいのかなぁ、と君は苦笑し、チョコの箱を手に取る。 | ||
| ──君はイツキとリンカの恋路がどうなるか、少し楽しみにしながら……、 | ||
| ──いつものように、ギルドへと足を向けた。 | ||
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