必中乙女の矢のゆくえ
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にゃ! 予選の何倍も増えてるにゃ! みんな神様にゃ? | ![]() | |
君とウィズはその光景に圧倒されるばかりだ。 | ||
![]() | 八百万の神様、全員集まってますからね! 試しに数えてみましょうか! | |
……ミコト、八百万というのは、数が多いという例えだ。実際に800万いるわけではない……。 | ![]() | |
大体お前、数えきれるわけねぇだろうが。 | ![]() | |
![]() | もうっ。ふたりとも冗談が通じないなぁ。ちょっとはしゃいでみただけじゃん! | |
いや、ミコトならやりかねない。本気で。 | ![]() | |
……同感。 | ![]() | |
![]() | えーっ。信用ないなぁ。ホント。 | |
三人はもうすっかり打ち解けた様子だ。 | ||
そうだ! ウィズ様、あれが神輿ですよ! | ![]() | |
祭りの雰囲気に当てられたのか、ミコトは興奮気味に中央に置かれた2つのやぐらを指す。 | ||
あれに乗って戦うにゃ? なんかドキドキするにゃ! | ![]() | |
神輿と呼ばれるそれの高さと大きさに、君とウィズはため息をつく。 | ||
戦う時はあれがせり上がって、みんながそれを観戦すんだよ。な、ミコト……ってあれ? | ![]() | |
気づくと、ミコトの姿が消えている。 | ||
……あそこだ。 | ![]() | |
セイが呆れ顔でミコトのいる方を示す。 | ||
きゃートミ……じゃなかった! ジョゼフィーヌちゃーん! マトイちゃーん。 | ![]() | |
知り合いを見つけたらしく、ミコトはふたりの神を連れてこちらに戻ってくる。 | ||
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私の友人を紹介します! こちら、商いの神様をされているトミ・コトブキちゃ──! | ![]() | |
と、ミコトの紹介を遮って、トミと呼ばれた神は怒りを露わにして彼女にくってかかる! | ||
![]() | ですから、その名前で呼ばないでと言っているでしょう?! まったくもう! | |
もう、ごめんごめん。トミ……じゃなかった。ジョゼフィーヌさんです。ちなみに……。 | ![]() | |
とミコトは声を落として君の耳元で囁く。 | ||
舶来物に憧れるジョゼフィーヌちゃんは、本名で呼ばれるのが大嫌いなのでご注意を……。 | ![]() | |
![]() | ごきげんよう、皆さん。ジョゼフィーヌですわ。 | |
ジョゼフィーヌちゃん、予選はどうだった? | ![]() | |
![]() | 貴女、私を誰だと思ってますの? 当然楽勝でしたわ。 | |
![]() | 南蛮から「てぃーむめいと」を呼びましたのよ。馬力が違いますわね、舶来の神は。 | |
![]() | あんな貧乏神なんて、ちょちょいのちょいでしたわ! | |
商いの神様だけあって、ゴージャスにゃぁ。 | ![]() | |
![]() | おーほっほほほほ。そうでしょう? そうでしょう? | |
こちらはマトイちゃんです。「必中の神様」で、博徒や恋する乙女に絶大な人気があるんですよ。 | ![]() | |
![]() | まさかお前が本戦に残るとは……。 | |
え!? と、ということはマトイちゃん……もしかして……。 | ![]() | |
![]() | ……ああ。でも、それで良い。 | |
![]() | 全くもったいないですわ。実力でしたらマトイさんの方が数段上でしたのに……。 | |
も、もしやそのお相手とは……。 | ![]() | |
![]() | ええ。マトイの「すとらいくぞおん」ど真ん中の優男でしたわ……。 | |
ああ……やっぱり……。 | ![]() | |
トミの言葉にミコトは頭を抱える。 | ||
にゃにゃ? どういうことにゃ? | ![]() | |
マトイちゃんはご覧のとおり、普段は凛として涼やかな神様なのですが……。 | ![]() | |
惚れやすいのが玉に瑕で、いっつも痛い目にあっているんです。 | ![]() | |
![]() | 全く、「必中の神様」が聞いて呆れますわ。 | |
![]() | うるさい! 私は勝ちを譲ったのだ! それに、あの方は約束してくれた……。 | |
マトイは遠い目をしながら続ける。 | ||
![]() | 優勝し、神輿座に着いた暁には、私とふたりで絢爛豪華に諸国を旅して回ることを願う、と……。 | |
え!? ホントに! マトイちゃん、ようやく恋が実ったんだね? おめでとう! | ![]() | |
![]() | おめでたいのは貴女がたの方ですわ! そんな安い口約束を信じて……。少なくとも書面に──。 | |
![]() | うるさい! お前のような金の亡者に私の気持ちはわかるまい! | |
そうだよ。万が一ってこともあるじゃん! | ![]() | |
フォ、フォローになってないにゃ……。 | ![]() | |
![]() | ご来場の神様方! 大変長らくお待たせいたしました。 | |
![]() | 間もなく「喧嘩神輿とうなめんと」本戦が開始されます。出場者は速やかに移動をお願いします。 | |
にゃにゃ! ついに始まるにゃ! | ![]() | |
ウィズの言葉に頷いて、君たちは会場中央に設置された神輿へと向かう! | ||
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![]() | お初にお目にかかります。私、初戦でお相手させて頂きます、アツマと申します。 | |
喧嘩だったら神輿の上で相手になるぜ。 | ![]() | |
![]() | いやいや。あまりに美しい猫神様のお姿に、声を掛けずにはいられなくなったものですから……。 | |
言いながら、アツマはウィズにパチリとウィンクを決める。 | ||
にゃ……。ど、どうもにゃ……。 | ![]() | |
![]() | 絹の様につややかな毛並み、お家柄が透けて見えるような、輝かしい瞳……。 | |
![]() | 私の心はもう貴方様のものでございます……。 | |
アツマはうっとりする様な目つきでウィズの瞳をじっと見つめ始める。 | ||
にゃぁ。一体何にゃ? この神様……。 | ![]() | |
ウィズは、助けを求める様に君に視線を送るが、 | ||
![]() | 猫神様、私の目をじっと見てください……。 | |
と、アツマはウィズの顔に手を添えて、視線を自分の瞳に合わせる。 | ||
……ああ。何だかすごく素敵な気持ちになってきたにゃ……。 | ![]() | |
と、いつの間にかウィズはうっとりした目つきでアツマを見つめている。 | ||
……もしやコイツ……何か妖術を……。おいっ。猫神どの。お気を確かに! | ![]() | |
……。 | ![]() | |
セイの声が届かないのか、ウィズはぼうっとした目つきのまま、アツマに魅入られている。 | ||
![]() | 猫神様……くだらぬ喧嘩神輿など忘れましょう。それよりも私とふたりで恋の逃避行に……。 | |
おい、このテメェ! | ![]() | |
と、アツマに詰め寄るスオウ。 | ||
抑えろスオウ! 神輿外での喧嘩はご法度だ! | ![]() | |
……でもよう。このままじゃ。 | ![]() | |
その時だった。 | ||
![]() | キャー。アツマ様ー! こっち向いてー! | |
![]() | やや! これはなんとも黄色い声! | |
突然の歓声に、思わずアツマが振り向いた。 | ||
マ、マトイちゃん! | ![]() | |
にゃにゃ! 私は何をしていたにゃ! | ![]() | |
視線の外れたウィズはハッと我に返る。 | ||
![]() | チッ! 誰かと思えば、先ほどの必中女子ではないか……。全くつまらん。 | |
![]() | ……そんな。あの時の約束は……? あの時の微笑みは……瞳は……全部、全部嘘だったの……? | |
客席のマトイはその場にへたり込む。 | ||
……ということは。 | ![]() | |
コイツがマトイちゃんの……。 | ![]() | |
そういうことになるな……。 | ![]() | |
まったくつまらん野郎に引っかかる神様だぜ。 | ![]() | |
じゃぁ一つ、ド派手にやっつけてやりましょう! | ![]() | |
(戦闘終了後) | ||
![]() | 勝負アリー! | |
マトイちゃん! 仇、とったよ! | ![]() | |
と、ミコトは観客席のマトイに手を降るが……。 | ||
あれ? | ![]() | |
そこにマトイの姿はない。 | ||
あ! あそこにいるぜ……。 | ![]() | |
神輿から身を乗り出してスオウが見下ろす先にはアツマに向かっていくマトイの姿がある。 | ||
![]() くぉーのぉーやぁーろぉー! | ||
![]() | あ、これは先程のヒッチュウァバッフア! | |
マトイはアツマの顎に、手にした銃の柄を叩き込む! | ||
![]() | 貴様、よくも純情な乙女心を踏みにじってくれたな! | |
![]() | ま、まって。話せば……話せば分かルバブッ! | |
![]() | あいにく、貴様と交わす言葉など持ちあわせておらん。乙女の恨み、思い知れ! 変態狐め! | |
マ、マトイちゃん……。 | ![]() | |
……必中の神、己の恋の矢は決して当たらず……か。 | ![]() | |
だな。因果なもんだぜ。 | ![]() | |
マトイちゃん……また失恋しちゃったね……。 | ![]() | |
ミコトはそう言うと、ふっと目を閉じて和歌を詠み始める。 | ||
君の矢が、中らぬのならその的は、中てる価値すらなきハズレなり……。 | ![]() | |
……いつか会えるといいね、いい人。 | ![]() | |
お、誤字無し! | ![]() | |
えっへん! 誤字は書く時に生まれるのです! | ![]() | |
胸張って言うことでもないだろ……。 | ![]() | |
全くにゃ……。 | ![]() | |
![]() | ショーブあり! | |
オレたちの他に、決着がついたとこがあるみたいだな。 | ![]() | |
![]() | 商いの神、トミ……じゃなくて……ジョゼフィーヌ様、場外により失格! | |
![]() | よって、戦神四十七柱、カタバ様ご一行の勝利となります。 | |
……やはりカタバか……。 | ![]() | |
トミちゃん……大丈夫かなぁ。 | ![]() | |
「20ご利益ぽいんと」のへっぽこ神じゃあるまいし、心配いらねぇよ。 | ![]() | |
ちょっとスウちゃん! それどういう意味よ? | ![]() | |
あ、わりわり。ここにいたな、へっぽこ神がよ。 | ![]() | |
もう! ……でもやっぱちょっと心配だな……。 | ![]() | |
![]() | また、今回の「喧嘩神輿とうなめんと」ですが多数の参加辞退者がございました。 | |
![]() | よって次戦が決勝となります! 決勝までの間、皆様どうぞごゆるりと祭りをお楽しみ下さい。 | |
![]() | ……そういえば、猫神様に驚いて、ほとんどみんな受付すらしてなかったですもんね……。 | |
理由はどうあれ、次が本当の勝負だ。気ィ引き締めろよ。 | ![]() | |
![]() | ……とはいいつつ、まだ時間もあるし、気分転換も重要かと……。 | |
ここの祭りには、食べ物の出店もあるにゃ? | ![]() | |
![]() | 当然、です! | |
スオウ! ミコトの言う通りにゃ! 気分転換は重要にゃ! | ![]() | |
……勝手にしろ! | ![]() | |
俺たちはここにいるから、決勝までには戻ってこいよ。 | ![]() | |
君たちは決勝までの間、しばしの休息を楽しむ事にした。 |
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