シャロン
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シャロン&テオドール
№ | 2724 | 4743 |
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名 | (SS)禁戒の聖域 シャロン&テオドール | (L)聖域に燈る光 シャロン&テオドール |
AS | 空を染める光 | 輝きは蒼空を照らす |
SS | 世界への羨望 | 求め望むことで生成する世界 |
クリスマスver
№ | 3077 | 5374 |
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名 | (SS)永久不滅の絆 シャロン・イェルグ | (L)永久に愛結ぶ絆 シャロン・イェルグ |
AS | 色とりどりの秘めた思い | 霊雪に告げる想い |
SS | その言葉は壁を越えて | その気持は言葉にならない |
皇帝と剣ver
№ | 5360 | 5361 | 5362 |
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名 | (SS)儚き皇帝 シャロン | (SS+)純白に包まれし光 シャロン | (L)いま花開く世界 シャロン・イェルグ |
AS | 願いは深く強く | 願いは深く強く | 果てしなく降りしきる想い |
SS | 皇界の淡き聖域 | 聖域に届く愛という名の光 | 聖域に届く愛という名の光 |
共通情報
名前 | シャロン・イェルグ | CV | 雨宮 天 | 種族 | 天使 |
登場 | その光は淡く碧く | ||||
世界 | 皇界 | ||||
所属 | 皇界の皇帝 | ||||
特徴ワード | 世界の頂点で、世界に想いを馳せる少女 | ||||
関連キャラ | テオドール | ||||
セリフ1 | 「ねぇ、おしえて 「世界」ってなあに…?」 | ||||
セリフ2 | 「あなたと私の世界は、空も、雲も、大地も、過去も、未来も! 私と何も違わない!」 | ||||
セリフ3 | 「だから、その……泣き止んで、ね? どこか痛いの? 大丈夫?」 | ||||
補足情報 | 幼くして「皇界」の皇帝の座につく。 担ぎあげられた傀儡としての玉座で孤独に過ごしていたが、 テオドールとの出会いから周囲の世界への興味を持ち始めた。 | ||||
![]() | <教えて! バロン> 【Q4】シャロンをはじめ何故か種族が天使なのに羽根が生えてない精霊が いくつかいますがこれは何か考えがあるのでしょうか… 特にシャロンの場合これからのバックストーリーに関わってきたりするのでしょうか…!? (*;;´ω`*)ゞンー・・・? 【A4】彼ら種族が天使の精霊たちの翼は力の具現化であるため、出し入れが可能だ。 力の大きさで権威を示さなければならない場合、あるいは単純に翔ぶときに その翼をあらわすそうだぞ。 | ||||
(※2014ねこまつりGP人気投票 コメント) | |||||
![]() | ねえ、私に教えて? 外の世界の景色を あなたの見る、世界を……。 | ||||
![]() | テオはみんなに愛されてるのね。よかった……すごく嬉しい。えへへ。 |
パーソナルストーリー

バックストーリー
遠く、玉座から見下ろすその先に――宮廷に差し込む光の奥に。
そこに「世界」があることすら、シャロンは知らされていなかった。
神界の一つ「皇界」で、幼くして皇帝の座についたシャロン。
世に生を受けた瞬間から神輿としての宿命を背負い、豪華絢爛、
まばゆい宝石の散りばめられた檻の中で彼女は育った。
――右も左もわからぬ少女に、己の価値を計る術などあるはずもなく。
天子、傀儡、貴人、珠玉、象徴、玩具。
「座して居る」こと、ただそれだけがシャロンの価値。
宮廷は、何もかもが用意されていながら、何も与えられることのない孤独な牢獄。
彼女にとって、「世界」は意識の内側にのみ存在する冷たい虚空に過ぎなかった。
――あの日までは。
「皇の剣」が病に伏し、後を継ぎやってきた若き「剣」。
笑い、怒り、叱り、誉め、教え、育て……「剣」によって与えられた温かき日々は
やがてシャロンの虚空を満たし、彼女の視界は外へと向いた。
「わたし……もっと、色んなところに行って、色んなものを見てみたい」
無表情に、けれど優しくうなずく「剣」を見て、シャロンは無邪気にはしゃぎだす。
彼女に芽生えた小さな意志は、
やがて皇界に大きな時代のうねりを巻き起こすこととなる――
※話の最初に戻る

バックストーリー
柔らかな日差しが降り注ぐ野には、一面の美しい花が咲いていた。
シャロン・イェルグは野に咲いた花へそっと手を伸ばし、
少しの間ためらった後、困った顔をして手を引っ込めた。
「……テオ」
助けを求める表情で見上げられ、テオドール・ザザは微笑みを返す。
そのまま優しい手つきで花を摘むと、彼は何も言わず
シャロンの手元へとそれを運んだ。
「ありがとう、テオ」
まるで不安がほどけていくかのように、シャロンは言いながら柔らかくはにかむ。
対し、テオドールは返事の代わりに再び微笑みを浮かべた。
彼の腕の中に収まるほど小さなシャロンは、
皇界という名の異界に於いては頂点の存在である。
しかし、あまりに幼いうちに玉座へ担ぎ上げられた彼女は、
第三者の評価をして「据え物」--
つまりお飾りとしての価値しかないと目されていた。
つい、先日までは。
(……シャロン様は、変わられた)
シャロンを守るべき「皇の剣」であるテオドールは、改めてそう思う。
皇座を継承した頃のシャロンは役割を果たすためだけの人形のようだった。
自我は薄く、これといった欲求も無く、
放っておけば陽の光に溶けてしまうのではないかと思うほどに
儚い、無気力で無感情な少女--
青い空を仰ぎながら、テオドールは出会った頃のシャロンを思い出す。
「ねえテオ、あの丘の上に行きたいわ」
日傘を透かした光に照らされる横顔には、その頃の面影は既に無い。
穏やかな性格はそのままであるが、彼女の表情は近頃ころころとよく変わる。
テオドールを困らせるようなワガママも、
少し遠慮気味ではあるが、時折口にするようになった。
皇の剣として滅私を誓うテオドールであるが、彼はその変化を心から嬉しく思う。
「……ねえ、テオ」
ゆっくりと花の咲き乱れる丘を、テオドールに抱えられ登りながら、
シャロンは彼を見ずにつぶやいた。テオドールは返事をしない。
「私ね、あなたが居てくれて、本当に良かったと思う」
「……シャロン様」
「ただのお飾りだった私に、テオはいろんなことを教えてくれたよね」
そこまで言うと、シャロンは日傘をたたみ、降り注ぐ陽の光に目を細めた。
ふと、少し強い風が吹く。
テオドールはその風からシャロンを守るように、太陽に背を向けた。
「……まるで、テオは大きな空みたいね。
優しく、力強く、私をいつも見守ってくれる。
私の本当に欲しいものを、いつも何も言わずに与えてくれる」
逆光を背負うテオドールを見つめ、シャロンはそう言いながらはにかむ。
思いがけない言葉に、テオドールは胸を締め付けられるような感覚を覚えた。
「あのね、テオ。私はね……その……」
シャロンは胸につかえた気持ちを、どうにか言葉にしようとした。
だが彼女は、それをどういう言葉にして良いのかわからなかった。
不思議に思ったテオドールは足を止め、シャロンに向けてほんの少し首を傾げる。
「……!」
思いがけずテオドールと目が合い、シャロンは咄嗟に唇を噛んでうつむいた。
顔が熱い。
この気持ちを言葉にしてテオに伝えたい。
でも、どんな言葉を選べばいいのか、わからない。
「ええと……」
どう言えば、この気持ちがそのままテオに伝わるのだろう。
感謝でもなく、謝辞でもなく、もっともっと違う何か……
ああ、でも、早く言わないと、私の言葉をテオは待ってる。
だから、早く--。
「私はね、テオ。私は……!」
心を絞り出すように、シャロンは言葉を紡ごうとした。
だが、テオドールはそっと彼女の唇を人差し指で抑える。
「シャロン様。それ以上は、私には勿体無いお言葉でございます」
言いながら、テオドールはいつも通りに優しく微笑んだ。
シャロンは一瞬きょとんと驚いた表情をして、
それから一度目を伏せると、丘の向こうへと目を流す。
「……見て、テオ。綺麗な海」
「……ええ」
小高い丘の上、潮の香が混じるそよ風を受けて、二人は何も言わずに佇んだ。
水平線に混じる空と海を見つめて。
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バックストーリー
宮廷から程遠くない「霊雪の洞窟」。
聖夜で下界が賑わう中、シャロンは薄暗いその場所で土を掘り返していた。
「あった……!」
彼女がぱっと表情を明るくし、土の中から何かを取り出そうとした、その時。
「シャロン様、ここにいらしたのですか」
息を切らしながら、テオドールが声をかける。
きっとシャロンを探しまわり、方々飛び回っていたのだろう。
彼女は、泥だらけの手を隠しながら、
土で汚れた足のまま、バツの悪そうな笑顔を浮かべた。
「テオ、あの……私ね、ちょっと用事があって……」
「それは私に申し付けて頂ければ済む話です」
「でも……これは私がやらないと、駄目なの」
「泥にまみれることがですか?」
美しいシャロンが自ら進んで汚れて行くことなど、我慢がならなかった。
苛立ちを隠さずにテオドールは続ける。
「良いですか、私と貴女では、住む世界が違うのです。それを……」
だが。
「違わない!」
シャロンはテオドールの言葉を遮り、叫ぶように言う。
「あなたと私の世界は、空も、雲も、大地も、過去も、未来も!
私と何も違わない!」
テオドールは驚きのあまり言葉を失った。
初めてだったのだ。
テオドールの言葉を、シャロンが遮ることなど。
「……テオは言ったでしょ、ずっと一緒に居るって。
それなら、私の見る世界は――未来は、あなたの見る世界で、未来なのよ」
「……!」
彼は、無意識に作っていた自分とシャロンの間に横たわる、
巨大で分厚い見えない隔たりが、彼女の言葉でゆっくりと崩れていく音を聞いた。
彼女は気づいていたのだ、テオドールの作っていた隔たりの存在に。
彼女はか弱い手で、言葉で、行動で
――少しずつ、その隔たりを、壁を、壊そうとしていたのだ。
テオドールは気づく。
彼の作った見えない壁はシャロンを大きく取り囲み、閉じ込めていたのだと。
壁の名は、『鳥籠』。
シャロン様は、心に大きな翼を持っている。
その大きくも優しい翼が羽ばたきたいと願っているのを、
今まで私は『鳥籠』によって固く押し留め、
『皇の剣』という名の逃げ道を作り、見ようともしなかったのだ――!!
(私は……否、私が! シャロン様を閉じ込めていたのか……
逃げながら、逃げながら!)
そしてついに、彼女はその壁を、
今日、今ここで壊したのだ。
感極まったテオドールの頬に、一筋の涙がこぼれ落ちる。
「テオ……? だ、大丈夫? ごめんなさい! あの、私――!」
シャロンは生まれて初めてテオドールの涙を見た。
慌てて、彼女は隠していた霊雪の結晶を取り出す。
この洞窟でしか生成されない、とはいえありふれた、安価な宝石。
「これは……?」
「今日は、下界では聖夜なんでしょう?
下界ではこの宝石を、大切な人に贈る日だって聞いて……」
「シャロン様が……私に?」
「ええ、私がテオに。だから、その……泣き止んで、ね?
どこか痛いの? 大丈夫?」
「……ははっ、はは……シャロン様は、お優しい」
――シャロンに心配されながら、彼はふっと表情を崩す。
それは『皇の剣』ではなく、『彼』が初めて浮かべた、心からの笑顔。
「何よりも嬉しい、プレゼントですよ」
※話の最初に戻る

皇帝と剣
私が「皇の剣」として仕えることになったのは、幼い皇帝、シャロン・イェルグ様だった。 | ||
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![]() | あなたが新しい”剣”? | |
……はい。先の”剣”は任を解かれ、私がそのお役を拝命いたしました。 | ![]() | |
今日より、私が”剣”として陛下をお護り致します。何なりとお申し付け下さい。 | ![]() | |
![]() | ……お名前は? | |
テオドール……。テオドール・ザザと申します。 | ![]() | |
![]() | テオドール……。ならテオって呼んでもいい? | |
テオ……でございますか? | ![]() | |
![]() | ……だめ? | |
いえ、ご随意にお呼びいただければ……。 | ![]() | |
![]() よかった。じゃあ、テオに決まりね。 | ||
そう言って微笑む幼い皇帝の無邪気な顔が、私にはただ不憫に思えた。 | ||
この皇界に生きる全ての存在、全ての国を統べるには、彼女はあまりに幼く無力だ。 | ||
宮廷は、何もかもが用意されていながら、何も与えられることのない孤独な牢獄。 | ||
彼女にとって、「世界」は意識の内側にのみ存在する冷たい虚空に過ぎなかった。 | ||
だから私は、彼女へ全てを捧げることを決意した。 | ||
彼女の「世界」を無限に広げてあげたいと願った。 | ||
「皇の剣」となった私は、シャロン様と行動を共にするようになった。 | ||
その日々の中で、私たちは互いに信頼と忠誠を深めていった。 | ||
それはそんなある日、シャロン様と野原へでかけた時のこと――。 | ||
柔らかな日差しが降り注ぐ野には一面、美しい花が咲いていた。 | ||
シャロン様は野に咲いた花へそっと手を伸ばしたまま、困った顔をして私を見上げる。 | ||
![]() | ……テオ。 | |
シャロン様にとって宮殿の外に出かけることは、未開の地へ投げ出されるにも等しい。 | ||
花一輪、摘むことにさえ躊躇するほどだった。 | ||
私は彼女に微笑んで、そっとその花を摘む。 | ||
![]() | ありがとう、テオ。 | |
不安がほどけていくように、シャロン様は柔らかくはにかむ。 | ||
……シャロン様は、変わられた。 | ![]() | |
出会った頃のシャロン様は、役割を果たすためだけの人形のようだった。 | ||
自我は薄く、欲求も無く、放っておけば陽の光に溶けてしまいそうなほど儚い少女……。 | ||
青い空を仰ぎながら、私は出会った頃のそんなシャロン様を思い出す。 | ||
![]() | ねえテオ、あの丘の上に行きたいわ。 | |
しかし、日傘を透かした光に照らされる横顔には、その頃の面影は既に無い。 | ||
穏やかな性格はそのままであるが、彼女の表情はころころとよく変わるようになった。 | ||
私を困らせるようなワガママも、時折口にするほどだ。 | ||
皇の剣として忠誠を誓っているものの、そういった変化は心から嬉しかった。 | ||
![]() | ……ねえ、テオ。 | |
ゆっくりと花の咲き乱れる丘を、私に抱えられ登りながら、シャロン様はつぶやいた。 | ||
![]() | わたしね、あなたが居てくれて、本当に良かったと思う。 | |
![]() | ただのお飾りだったわたしに、テオはいろんなことを教えてくれた。 | |
そこまで言うと、シャロン様は降り注ぐ陽の光に目を細めた。 | ||
ふと、少し強い風が吹く。 | ||
私はその風からシャロン様を守るように、太陽に背を向けた。 | ||
![]() | ……まるで、テオは大きな空みたいね。優しく、力強く、わたしをいつも見守ってくれる。 | |
![]() | わたしの本当に欲しいものを、いつも何も言わずに与えてくれる。 | |
思いがけない言葉に、私は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。 | ||
![]() | あのね、テオ。わたしはね……その……。 | |
シャロン様は胸につかえた気持ちを、どうにか言葉にしようとしている。 | ||
![]() | わたしはね、テオ。わたしは……! | |
心を絞り出すように、シャロン様は言葉を紡ごうとした。 | ||
しかし、その先の言葉を聞いてはいけない。 | ||
そう思い、私はそっと彼女の唇を人差し指で抑えた。 | ||
シャロン様。それ以上は、私には勿体無いお言葉でございます。 | ![]() | |
シャロン様は、きょとんと驚いた表情をしてから、丘の向こうへと目を流す。 | ||
![]() | ……見て、テオ。綺麗な海。 | |
……ええ。 | ![]() | |
小高い丘の上、潮の香が混じるそよ風を受けて、私たちは何も言わずに佇んだ。 | ||
水平線に混じる空と海を見つめて。 |
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