抑えきれない悪意
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ユキヤの姿を求めて、競技場へとやってきた君たち。 | ||
その激しい戦闘の中心に、狂気に満ちた顔つきで大声を上げるユキヤがいた。 | ||
いいぞお前ら! もっと戦え! もっと憎め! | ||
こりゃぁ、相当やばいぜ。 | ||
周りの負の感情を吸いながら増幅している……。これが、闇の力なの……? | ||
ユキヤの放つ魔力のオーラは、水属性魔法のそれとはかけ離れ、ひどく黒ずんだ色になっている。 | ||
ユキヤ! もう止めるんだ! | ||
おお、イツキじゃないか。 | ||
イツキの呼びかけに、振り返るユキヤは冷ややかな笑みを浮かべている。 | ||
見ろよ! この力、グリングラードが束になってかかって来ても、負ける気がしねぇよ! | ||
ユキヤは、その黒い魔力のオーラをイツキたちに向かって激しく放つ! | ||
危ない! | ||
……くっ! | ||
みんなの前に飛び出し、ユキヤの魔力をその身で受けたリンカがその場に膝をつく。 | ||
どうだ? すげぇだろ? いいぜ、お前らも仲間に入れてやるよ! オレに頭下げて頼めばな! | ||
ユキヤ……マジでいい加減にしろよ! | ||
激昂するイツキの全身から、魔力がほとばしる。 | ||
魔力は彼の手にした大剣──「蒼覇剣 マスグレイヴ」に移り、刃に水流をまとわせる。 | ||
イツキ君、ユキヤ君は闇の力に支配されているだけなの……。 | ||
わかってるよ。オレは仲間を斬ったりはしない。 | ||
イツキはエマに微笑むと、ゆっくりとユキヤの方を見すえる。 | ||
ユキヤ、今助けてやる! | ||
そう言って、イツキはユキヤに向かって突っ込んでいく。 | ||
私たちも続くにゃ! | ||
(戦闘終了後) | ||
君がどれだけ魔法を放っても、イツキがどれだけ剣を振るってもユキヤは倒れない。 | ||
いや、むしろ君たちの攻撃を受けるほどに、ユキやの魔力はより強大になっていく。 | ||
どうした? もう終わりなのかよ? え? イ・ツ・キ・く・ん? | ||
何かアイツ、戦う前より強くなってないか? | ||
闇の力の増幅率が高すぎる……。ユキヤ君は単なる宿主じゃなかったんだ……。 | ||
どういうことにゃ? | ||
ダンケル学園長の探している「謎の男」は彼自身が生み出した悪意の集合体だったってこと……。 | ||
生み出した本人に宿ったからこそ、闇の力はダンケル学園長の時よりも急速に増殖してるのよ。 | ||
喋ってる余裕なんてあるのかよ? | ||
と、ユキヤは一際大きな魔力を手の上の鉄球に纏わせた。 | ||
逃げて! あんなのを受けたら……。 | ||
一体どうすりゃいいんだよ……。 | ||
ユキヤの圧倒的な魔力を前に、君たちが屈しかけたその時──。 | ||
イツキ先輩っ! このインパクター改に魔力を込めて下さい! | ||
と、巨大な装置を持ったシャーリーが現れた。 | ||
なんか面白そうなオモチャ持ってきたな! いいぜ! 試してみろよ! | ||
ユキヤは余裕の笑みを浮かべ、両手を広げる。 | ||
その間に、シャーリーは素早くインパクター改の照準をユキヤに合わせる。 | ||
あんまりオレを舐めるなよ! | ||
と、イツキはインパクター改に魔力をこめる。 | ||
行っけー! | ||
シャーリーの声とともに、イツキの魔力をまとったドリル状の光線が発射される。 | ||
光線はそのままユキヤの胸を貫いた──が、 | ||
はぁ? 痛くも痒くもねぇぜ……。 | ||
ユキヤは倒れることもなく平然と立っており、その胸にも傷ひとつない。 | ||
不良品じゃねぇのか? ……ん? | ||
と異変に気付き、後ろを振り返るユキヤ。 | ||
忘れたか? オレの得意魔法は「清め」の水魔法だぜ。 | ||
ユキヤの背後には、イツキたちの放った光線に射抜かれた黒い「何か」が不気味に蠢いている。 | ||
感謝しな。お前の内に巣食う「闇の力」だけを取り除いてやったんだから。 | ||
何だよ……この黒いのは……? | ||
ユキヤ君、それはあなたが「力」と呼んでいたものの正体……色んな人の持つ「負の感情」よ。 | ||
こんなものが……オレの中に……。 | ||
今度は絶対逃がしませんよ! ……ってどんどん大きくなってません? | ||
シャーリーの言う通り、その黒い「何か」はみるみる大きくなっていき……。 | ||
なんか……やばいにゃ……。 | ||
またたく間に見上げるほどに巨大な人型となっていく。 | ||
……これが「人格なき悪意」なの? | ||
ぐぉおおおおお | ||
それは不吉な咆哮と共に巨大な両腕を振り上げ、 | ||
な、なんなんだよこいつは……。 | ||
眼下のユキヤにそれを振り下ろした。 | ||
ユキヤ! | ||
……よもや、これほどまで強大な「負の感情」が集まるとは……。 | ||
あれはダンケル……!? | ||
君とウィズはその光景に目を疑った。 | ||
振り下ろされた「人格なき悪意」の両手をダンケルがひとりで受け止めていたのだ。 | ||
生徒会メンバー諸君、私が時間を稼ぐ。その間に生徒達を避難させるのだ! | ||
ダンケル学園長! | ||
……私なら大丈夫だ。さ、早く行きたまえ! 避難が終わった後で生徒会室で落ち合おう。 | ||
アイツは周囲の「負の感情」を吸収して成長するの。早く生徒を遠ざけないと! | ||
わかったわ。ここは学園長に任せましょう。 |
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