元帥と帝王
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ヴィルフリートを連れて、先へ進んでいると── | ||
今度は君の目の前に、痩身長躯の男が現れる。 | ||
あの、歪な戦いの気配が再び君をとらえる。 | ||
![]() 貴君か……。こんなところで会うとは奇遇だな。 | ||
来ていたんだ、と君は返した。声は、震えていなかったはずだ……。 | ||
小声で訊ねるように | ||
どなたですか? | ![]() | |
事情を知らないはずのラヴリですら、彼の雰囲気に戸惑いを隠せない。 | ||
ウィズに彼の素性を訊ねる声は、自然と小声になっていた。 | ||
ディートリヒ・ベルク……。ドルキマスという国の元帥にゃ。 | ![]() | |
そんななか、ただひとりディートリヒの醸し出す殺伐とした気配に気おされぬ者がいた。 | ||
ほう、その眼……。 | ![]() | |
![]() | 貴君、何者だ。誰が私の顔を見ていいと言った。 | |
そしてディートリヒもまた、ヴィルフリートの不穏な気配にまったく動じていなかった。 | ||
無礼者め。 | ![]() | |
![]() 君はにらみ合うふたりの間に割って入り、その場をとりなす。 ラヴリの魔法でやってきたことやデザートンのことなども、一息に説明した。 少し慌てていたかもしれない。このふたりの衝突など想像するだけでも恐ろしかった。 | ||
![]() | 貴君……。 | |
その声はザクリと君の背筋を刺した。 | ||
![]() | 私は暇ではない。我が国は、戦争の只中だ。ここにも、その下らん怪物にも、興味はない。 | |
![]() | 無論、死にぞこないの帝王などにもな。 | |
![]() | ドルキマスへ帰る。案内をしろ。 | |
それだけ言って、彼は先に行ってしまった。 | ||
あ。行っちゃったにゃ。 | ![]() | |
君は慌てて後を追った。なぜかそうしなければいけない。そんな風に考えてしまったのだ。 | ||
![]() ディートリヒ・ベルク。……気に入った。とても気に入ったぞ。 | ||
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