元帥と帝王
(0コメント)| ヴィルフリートを連れて、先へ進んでいると── | ||
| 今度は君の目の前に、痩身長躯の男が現れる。 | ||
| あの、歪な戦いの気配が再び君をとらえる。 | ||
![]() 貴君か……。こんなところで会うとは奇遇だな。 | ||
| 来ていたんだ、と君は返した。声は、震えていなかったはずだ……。 | ||
| 小声で訊ねるように | ||
| どなたですか? | ![]() | |
| 事情を知らないはずのラヴリですら、彼の雰囲気に戸惑いを隠せない。 | ||
| ウィズに彼の素性を訊ねる声は、自然と小声になっていた。 | ||
| ディートリヒ・ベルク……。ドルキマスという国の元帥にゃ。 | ![]() | |
| そんななか、ただひとりディートリヒの醸し出す殺伐とした気配に気おされぬ者がいた。 | ||
| ほう、その眼……。 | ![]() | |
![]() | 貴君、何者だ。誰が私の顔を見ていいと言った。 | |
| そしてディートリヒもまた、ヴィルフリートの不穏な気配にまったく動じていなかった。 | ||
| 無礼者め。 | ![]() | |
![]() 君はにらみ合うふたりの間に割って入り、その場をとりなす。 ラヴリの魔法でやってきたことやデザートンのことなども、一息に説明した。 少し慌てていたかもしれない。このふたりの衝突など想像するだけでも恐ろしかった。 | ||
![]() | 貴君……。 | |
| その声はザクリと君の背筋を刺した。 | ||
![]() | 私は暇ではない。我が国は、戦争の只中だ。ここにも、その下らん怪物にも、興味はない。 | |
![]() | 無論、死にぞこないの帝王などにもな。 | |
![]() | ドルキマスへ帰る。案内をしろ。 | |
| それだけ言って、彼は先に行ってしまった。 | ||
| あ。行っちゃったにゃ。 | ![]() | |
| 君は慌てて後を追った。なぜかそうしなければいけない。そんな風に考えてしまったのだ。 | ||
![]() ディートリヒ・ベルク。……気に入った。とても気に入ったぞ。 | ||
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