何度目かの偶然
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君たちが次に訪れたところは、バターがたっぷりの甘いビスケット、香ばしいコーン、それに── | ||
チョコの香りに満ちた場所だった。 | ||
道がビスケットで出来ているにゃ。 とても立派でしょ。カプリコ城に向かう唯一の道なんですよ。 | ||
彼女の言う通り、長々と続くビスケットの道の向こうには、鮮やかな彩りの大きな建物が見える。 | ||
きっとあれもお菓子で出来ているのだろう。 | ||
そんなことを考えていると、 | ||
あ。あなたは……。 この方々は……ルシエラさんのお知り合いですか? | ||
と、いつか見たことのある天使が君の頭上で羽ばたいていた。 | ||
その腕には、見知らぬ少女が抱えられている。ふたりはゆっくりと君の目の前に降りた。 | ||
えーと……お久しぶりですね……えーと……。 | ||
ウィズにゃ。 | ||
君もそれに続いて、改めて名を名乗った。 | ||
ですよねぇ! | ||
きっと名前を忘れてたにゃ。 | ||
そ、そんなことありませんよ。ウィズさんと……えーと……。 | ||
君は再び名を名乗った。 | ||
ですよねえ! 覚えていましたよ。忘れるわけありません。 | ||
すぐ忘れるにゃ。 | ||
君の知り合いか? | ||
君がうなずく。 | ||
きっとラヴリの魔法で呼ばれたのだろう。 | ||
翼があって、なんだか変わった人ね~! | ||
君はルシエラに事のいきさつを説明した。 | ||
自分たちがやってきたこと。デザートンのことなど、君の知る全てのことを。 | ||
なるほど。たしかに私は魔界のお菓子〈ダークサンブラッド〉を食べている最中でした。 | ||
あたしも、お兄ちゃんとカティア様とおやつを食べていました。 | ||
甘いものを食べていたり、持っていたりする人をこの世界に呼んだというのは本当みたいですね。 | ||
控えめな口調でそう言ったのはルシエラと一緒にいた少女である。 | ||
あ、自己紹介もせずにすみません。あたし、ミレイユといいます。 | ||
どうかよろしくお願いします。 | ||
ミレイユという名の少女は深々と頭を下げた。 | ||
丁寧な子にゃ。どこかの誰かさんも見習ってほしいにゃ。 | ||
ピークさん、言われてますよ。 | ||
ウィズさん、ちょっとしつれーいじゃない♪ | ||
どうしてそうなるにゃ! | ||
デザートンを倒さなきゃ、ずっとこのままの可能性もあります。 | ||
そうですね。ここは楽しい世界だけど……向こうにはあたしの帰りを待っている人がいます。 | ||
あまり心配させたくないです……。 | ||
そういう意味ではルシエラも同じじゃないかにゃ? | ||
ん? あ、すいません。途中から全然話聞いてませんでした。 | ||
集中力なさすぎにゃ。 | ||
ははは……。なんだか変わった人たちが仲間になってしまったな。 | ||
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