まっちゃといちご
(0コメント)![]() スィー島の街道を進んでゆくと、小さな村が見えてきた。 | ||
これまで見たところとは、文化や風習が違うようだ。 | ||
とても落ち着きのある長閑な風景が広がっていた。 | ||
![]() | ここはスィー島の中でも、一番時間の流れがゆっくりしている。 | |
ぼんやりとその風景を眺めていると、プレミオがこの場所のことを説明してくれた。 | ||
![]() | まっちゃ村といちご村。派手さはないけど、ずっと居たくなるような場所ね。 | |
![]() | 村人もみんな、穏やかな人たちばかりですよ。 | |
そんな話をしていると、道の真ん中でふたつの集団に分かれ、いがみ合ってる人々がいた。 | ||
![]() 本当に爺さんは毎度毎度渋いことばかり言いなさる。わたしゃほとほと呆れたよ。 わしが何度口酸っぱく言っても、直そうとはせん婆さんの方が悪いんじゃろ! | ||
遠目から聞こえてくる会話はそんな内容だった。どうやら喧嘩をしているようだ。 | ||
あんなに平和ないちご村とまっちゃ村の人たちが喧嘩してるわ。 | ![]() | |
![]() | ともかく! お茶の葉が緑のうちは、けして爺さんのことは許しませんぞ! | |
![]() | こっちだっていちごの粒々を数え終わるまでは、口もききたくないわい。 | |
そう言って、顔をぷいっと逸らすと、お互いの村に別れて行った。 | ||
もしかするとこれもデザートンの影響かもしれない。 | ![]() | |
あんなに仲のよかったいちご村とまっちゃ村が喧嘩するなんておかしいですね。 | ![]() | |
少し事情を探ってみよう、と君は一同に提案した。 | ||
まずはまっちゃ村に行ってみるにゃ。 | ![]() | |
まっちゃ村の茶屋の外壁に巨大なハンマーが立てかけられていた。 | ||
店の外に並べられた縁台には、抹茶をすすり、ほっこりとした表情を浮かべる少女がいた。 | ||
![]() ……はあ。長閑だなあ。……あなたもそう思いませんか? …………。 | ||
私はユッカ・エンデと言います。エターナル・クロノスという所からやって来ました。 | ![]() | |
そこでもお茶はあるんですけど、お抹茶というのは初めて飲みました。 | ![]() | |
使っているお茶の葉は同じらしいので、時計塔のみんなにも教えてあげようと思います。 | ![]() | |
と言っても帰る方法はわからないんですけどね。……どうしようかなあ。 | ![]() | |
![]() | …………。 | |
彼はスッと自分のお茶受けの菓子を少女の方へ押し出した。 | ||
い、いいですよ。自分の分ありますから……。 | ![]() | |
![]() | …………。 | |
少女の言葉に、ゆっくりと首を横に振ると、縁台から立ち上がった。 | ||
なんか、すみません……。 | ![]() | |
いい人がいるなあ。 | ![]() | |
ユッカはまた一口抹茶をすすり、風に流されゆく浮雲を見送った。 | ||
ユ、ユッカ……!! | ![]() | |
![]() | あ、黒猫の魔法使いさん! ど、どうしてこんなところに? | |
少し長くなるけど……と前置きし、君は事のあらましを説明した。 | ||
![]() | なるほど、村同士のケンカか……。それは良くないですね。 | |
ケンカの理由がわかればいいんだけど……何か知っている? と君はユッカに尋ねた。 | ||
![]() | うーん、この村に来てからずっとお抹茶飲んでたからわからないです。 | |
……全然ダメにゃ。 | ![]() | |
仕方ない。いちご村に行ってみようか。何かわかるかもしれない。 | ![]() | |
ところで一緒にいた人は何者にゃ? | ![]() | |
![]() | え? まっちゃ村の人じゃないんですか? 体、緑だったし……。 | |
そういう基準で村人かどうかは決まらないと思う、と君は言った。 | ||
[かっこよさとは] << 目次 >> [争いは続く] |
コメント(0)