驚愕のオシャレ
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![]() | おらっ、もう騒ぎは仕舞いだ! 解散解散! | |
──彼の強い口調と有無を言わせない雰囲気に、君を取り囲んでいた集団は散り散りになる。 | ||
助かったにゃ! さすがヴォルフにゃ。 | ![]() | |
![]() | ん? おい魔法使い。その猫、今喋って……。 | |
![]() | ましたよね……? | |
── 一瞬驚くヴォルフとアーシアだが……、 | ||
──先ほどイツキにバレてしまったこともあり、君は苦笑してうなずく。 | ||
色々あって今まで隠してたにゃ。私はウィズこれからよろしくにゃ、二人共。 | ![]() | |
![]() | あ、よろしくお願いしますねウィズさん。 | |
![]() | ははっ、面白いじゃねえか! これからよろしくな、ウィズ。 | |
そういえば、ノアは今どこにいるにゃ? 姿が見当たらないけど……。 | ![]() | |
![]() | ああ、修行週間だとかで山に篭ってるぜ。どうしても会得したい技があるだとかでな。 | |
![]() | それより、さっきの騒ぎはなんだ? 何があったんだ? | |
──心配そうに訊くヴォルフに、君は状況をかいつまんで話す。 | ||
![]() | そいつぁ災難だったな。お前も気苦労が絶えねぇなぁ……。 | |
──同情してくれるヴォルフに、君はリンカを介抱しながら苦笑を返す。 | ||
しかしリンカも乙女だにゃ。あんなのを見て気絶するなんて……。 | ![]() | |
![]() | あんなの? | |
──ヴォルフの怪訝な表情にウィズはハッと身を硬くする。思わず口が滑ったようだ。 | ||
──だが、今ならリンカがこの話を聞くことはない。君は思い切って聞いてみることにした。 | ||
![]() | ……ああ、さっきのな! シャーリーの目に入ったまつ毛を取ってやってたんだよ。 | |
なんにゃ……ビックリして損したにゃ……。 | ![]() | |
──君たちは一様に胸を撫で下ろす。 | ||
――そして、そのタイミングでリンカが目を覚ました。 | ||
![]() | ||
気づいたか、リンカ。大丈夫か? | ![]() | |
![]() | ……ッ!? ヴォ、ヴォルフ? あの……えっと……! | |
──覗き込むようにして顔を近づけるヴォルフに、リンカはうろたえる。 | ||
![]() | わ、私はほら! この通り大丈夫だから! ねっ、心配いらないから! | |
──言いながらシャキッと立ち上がると、彼女はスタスタと校舎へ歩き出す。 | ||
……? 大丈夫なのか、あいつ。 | ![]() | |
うーん……大丈夫といえば大丈夫だけどにゃ……。 | ![]() | |
──リンカを見送りながら、バツの悪い表情を浮かべるウィズ。 | ||
──その時、校舎の中に消えていく彼女のポケットから、何かが落ちた。 | ||
──君とウィズはそれに気づき、ヴォルフたちを連れてそれを拾いに行く。 | ||
──果たして、落ちていたのは綺麗に包装された小さな箱だった。 | ||
これ……まさかチョコレートにゃ? | ![]() | |
みたいですね、綺麗な包装……。 | ![]() | |
──恐らく、これを渡す相手は目の前にいる彼だろう、と君は思う。だが……、 | ||
![]() | なあ、魔法使い。それ、リンカに届けてやっちゃくれねぇか? | |
![]() | キレイな包装も、その中身も、きっとリンカが大事に用意したモンだ。 | |
![]() | 私からもお願いします、大事な気持ちが詰まってるはずなので。 | |
![]() | なくしちまったら、リンカは多分必死になって探すだろうからよ。頼んだぜ。 | |
──君の思惑に反して、彼はそう言うと中庭で待つシャーリーの元へ向かう。 | ||
──恐らく、二人の間に恋愛感情は無いだろう。だが、それでも……。 | ||
……ままならないにゃ。人の恋愛ってものは。 | ![]() | |
![]() | ……ですね。 | |
──勘違いと誤解で、人はこうまですれ違うものなのだろうか。 | ||
──君は手にしたチョコレートを見ながら、そうだね、とウィズにつぶやいた。 | ||
──君は少し息を切らしながら、リンカに待って、と声をかける。 | ||
![]() | ん……あれっ、どうしたの? | |
慌てん坊の会長さんに、落し物のお届けにゃ。 | ![]() | |
──ウィズの言葉に合わせ、君はリンカの落としたチョコを差し出す。 | ||
![]() | えっ!? あ、あれっ、いつの間に私……っていうか猫が喋った!? | |
──イツキやヴォルフにも知られたことだし、いまさら隠しても仕方ないだろう。 | ||
──君は今まで黙っててごめん、と付け加え、彼女にチョコを手渡した。 | ||
![]() | ……ありがとう。ちょっとびっくりしたけど、これからよろしくね、ウィズちゃん。 | |
ん、私も黙ってて悪かったにゃ、リンカ。よろしくだにゃ。 | ![]() | |
──互いに遅めの自己紹介をしていると、ふと廊下の向こうから見覚えのある顔がやってくる。 | ||
![]() | ||
![]() | あれっ? 会長さん、また会ったっスね! 魔法使いもオイッス! | |
![]() | ああ、アキラ。さっきはありがとう、コレ。 | |
──そう言うと、リンカは手にしたチョコを軽く振った。 | ||
ああ、なるほどにゃ。リンカはアキラにチョコを作ってもらってたのかにゃ。 | ![]() | |
![]() | ええ。私はあまりお菓子作りは得意じゃないから……。 | |
![]() | っていうか会長、なんで猫とナチュラルに話してるんスか。 | |
──君は驚くアキラにかくかくしかじかでウィズのことを紹介する。 | ||
![]() | なるほど、高性能な猫っすねウィズさん! | |
そうにゃ。もっと尊敬してもいいにゃ? | ![]() | |
──ウィズは胸を張りながら言うが、それを無視してアキラは続ける。 | ||
![]() | で、それって誰にあげるんです? もしかして──。 | |
──ここで思い出していただきたい。事故というものは予測できない場所からやってくる。 | ||
──そしてその事故は今回……。 | ||
![]() | あ、会長。探しましたよ、ちょっと校内で変な集団が──。 | |
![]() | もしかしてそのチョコ、魔法使いにやるつもりなんですか? | |
![]() | は? | |
![]() | えっ? | |
──君に対して牙を剥いた。 | ||
――ウィズは皆の様子を見て心底面倒くさいという顔をしている。 | ||
完全に貧乏クジ引いた気がするにゃ……ヴォルフに届けさせるべきだったにゃ。 | ![]() | |
![]() | なっ、なんでそこでヴォルフが出てくるのよ! | |
![]() | えっ、何? 二人ってそういうのと違うの? | |
![]() | 違う違う違う! ごごご誤解よ誤解! ね、そうよね!? そうよね!! | |
![]() | そうなのか魔法使い! 違うのか!? 誤解なのか!? | |
![]() | ||
──なんだが事態がとってもややこしくなってきたぞ……と思いながら、君はうなずく。 | ||
──ウィズも君も、心底この無理のある展開と状況に疲れ果てていた。 | ||
──そしてさらに悪いことは続く……! | ||
この日のために……とっておきのオシャレをしたというのに……。 | ||
──廊下に響き渡る、地底から湧き上がるマグマのような恨みのこもった声……。 | ||
──とてつもない悪寒を再び感じた君が振り返ると、そこには……! | ||
![]() | ||
![]() | まだひとつも……成果なし……! イチャコラしてる奴ァいねがァ……! | |
[GC党隊長] | あいつらです! あいつらがこのへんで最もイチャコラしてる奴です! | |
![]() | 許さぬ……! 貴様らの所業、決して許さぬ……! | |
──廊下のタイルを踏み割りながら、ジョージは君たちへと近づいてくる。 | ||
──もはや彼らはギブミーチョコレー党というか「幸せ刈り取り隊」と化していた。 | ||
![]() | キャッキャウフフ滅ぶべし。 | |
──ああもう、なんて日だ! と君は思い、ヤケになりながらカードを手にした! | ||
(戦闘終了後) | ||
![]() | すまん、取り乱した。 | |
まったくだにゃ。しかしその服装は何なんだにゃ? | ![]() | |
![]() | 雑誌によれば、こういう日はこのファッションでバッチリのハズなんだがなぁ……。 | |
──再び廊下に転がっているギブミーチョコレー党員たちの傍らで……、 | ||
──ジョージは自慢のコートの襟を立てながら言った。 | ||
![]() | そもそもジョージはエミリアからチョコを貰えねーのかよ。 | |
![]() | 身内のチョコはカウントしないぜ普通。それにエミリアは……。 | |
おにーいちゃーーーーん!! | ||
──その言葉とともに、猛然と廊下を突っ走ってくる影がひとつ! | ||
──さらにその影は飛び上がると、空中でくるりと一回転し……、 | ||
![]() んがッ!? | ||
──巨大なランチボックスを、ジョージの脳天へと思い切り振り下ろす! | ||
──彼はその強烈な打ち下ろしによって、廊下の床に頭をめりこませた。 | ||
![]() | はいチョコ! いっぱい入ってるから、いっぱい食べてね! | |
──着地と同時に、エミリアはにぱっ☆と満面の笑みを浮かべる。 | ||
![]() | こ、こうやって渡してくるから……ノーカウント……なんだよ……。 | |
うわ……ジョージ、お前大丈夫か? 見たこと無い頭の形してるぞ。 | ![]() | |
![]() | 妹の愛ならこれしき……たらふく食わせていただくぜ……。 | |
![]() | えへへー、お兄ちゃんに褒められると照れちゃうなぁ。 | |
──ジョージを一撃とは、さすが番長オブ・ザ番長、と君は思う。 | ||
──と、感心している君をよそに、リンカはジョージに対して話しかけた。 | ||
ねえ、ちょっと聞きたいのだけれど、そもそもギブミーチョコレー党って誰が作ったの? | ![]() | |
なんでこんな悲しみしか産まない組織を……。 | ![]() | |
──リンカの疑問に、ジョージは頭を廊下に半分めり込ませたまま答える。 | ||
![]() | ん? それはだな……。 |
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