最後の戦い
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それはとても甘くておいしそうに見えた── デザートンという魔物は、そのときに生まれたのかもしれない── デザートンは、欲したのだ。 真心のこもった、何よりもおいしそうな、それを── だが、得ることは叶わず── ……歪んだ。 | ||
![]() またお前たちか……。 | ||
観念してください! 今度はとーっても強い仲間たちも一緒ですよ!! | ![]() | |
![]() | うるさぁい! 足りない……足りないんだ! | |
![]() | まだ……これじゃあ、足りない……。 | |
何が足りないの? | ![]() | |
デザートンの周囲に山のように積まれたお菓子。 | ||
これほどたくさんあってもなお、足りないと言う。 | ||
![]() | 数じゃ── | |
てーい! | ![]() | |
![]() | ||
![]() | ぐふッ……。 | |
何してるにゃ! いきなり魔法を叩きこんじゃダメにゃ! | ![]() | |
話の途中で、突然アリエッタが特大の魔法を打ち込んだ。 | ||
さすがのデザートンも、1歩、2歩と後ずさる。 | ||
![]() | どいつもこいつも……!! | |
![]() | おれを満足させるお菓子はどこだ!! おれは満足したいんだ!! | |
……ったく、なんだよ、こいつ。お菓子食って、ぐうたらしてるだけって。ありえねーっつの。 | ![]() | |
わはは! 一緒! シャルと一緒! | ![]() | |
ちょっと、指差すなし! あたし別にぐうたらしてるわけじゃいやしてるけどそれとこれとは── | ![]() | |
![]() | お前たち……おれの邪魔をするな! おれは、おれは自分の満足するお菓子を食べたいんだ!!! | |
このままじゃ埒が明かないにゃ……。 | ![]() | |
一度、落ち着かせないことには話もできない。 | ||
君はラヴリたちの前に立って、デザートンに向き合った。 | ||
![]() | おれはお菓子が食べたいんだああああぁぁぁ!! | |
(戦闘終了後) | ||
![]() くぅ……こんなところで……。 | ||
デザートンに渾身の魔法をぶつけると、彼はついに崩れ落ちた。 | ||
暴れて手がつけられなかったときと違い、かなり疲弊しているのがわかる。 | ||
どんだけ暴れんだっつーの……。 | ![]() | |
あはは! | ![]() | |
アリエッタとシャルロットは──それほど疲れていないようだ。 | ||
![]() | くそ……くそぉ!! | |
たとえ悪いことをしていた相手でも、こういうのは心が痛むな……。 | ![]() | |
やっつけないの? | ![]() | |
待ってください。話を聞きましょう。 | ![]() | |
……まー、こいつの気持ちもわからんでもないけどさ。 | ![]() | |
きっとデザートンさんは寂しかったんです。ひとりぼっちで、ただお菓子をたべるだけ……。 | ![]() | |
お菓子は、小さな幸せです。でもひとりじゃ満たされないこともあるんです。 | ![]() | |
安心してください。今からデザートンさんに、たくさんの幸せがつまったお菓子を── | ![]() | |
プレゼントしてあげます! | ![]() | |
ここに来るまでに出会った人たちの、幸せな気持ちを集めていたラヴリ。 | ||
それを解き放ては、奇跡だって起こせる。 | ||
歪んでしまったデザートンの心を戻すつもりにゃ! | ![]() | |
![]() | うぐぐぐ……おれは、満足したいんだあああ! | |
キミ、ラヴリが魔法を完成させるまで、デザートンをおさえるにゃ! | ![]() | |
君はウィズの言葉に頷いて、デザートンの体当たりを魔法で受け止める。 | ||
私たちも手伝うわ! | ![]() | |
ああ、この力、使ってくれ。 | ![]() | |
![]() よーし、いきますよー! 甘いの甘いの飛んでけー! | ||
もはや怒号も聞こえず、静まり返った宮殿で、デザートンが涙を流しながらお菓子を口にする。 | ||
![]() うまい……。うまい……。 | ||
ひとつひとつを噛み締めながら、デザートンはぽろぽろと心情をこぼし始めた。 | ||
![]() | おれは……おれは虚しかった……。 | |
![]() | 自分で集めたお菓子も、至るところにあるお菓子も……どれだけ食べても満足できなかった。 | |
![]() | 本当にほしかったのは……そんなひとりきりで食べるお菓子じゃなかったんだ……。 | |
デザートンが求めていたもの…… | ||
それは、誰かがデザートンのためにくれたお菓子だった。 | ||
そして、こうしてみんなでお菓子を囲み、楽しく食べたかった。 | ||
分かち合うことで、心が満たされるから……。 | ||
ただそれだけのことだったのだ。 | ||
みんなの想いがいっぱいに詰まったお菓子を魔法で取り出し、 | ||
それを食べさせることができたのは、ラヴリのおかげだ。 | ||
![]() | ごめんなさい……ひとり占めはもうしません……。 | |
デザートンが頭を下げる。 | ||
わかってくれて嬉しいです! そうです! みんなで食べると、もっともっと幸せが広がります! | ![]() | |
![]() | よくわかったよ……おれはずっと間違え続けてきたんだ……。 | |
![]() | これからは、お菓子をみんなに返しながら……みんなと打ち解けられるよう頑張るよ……。 | |
一件落着にゃ。 | ![]() | |
![]() | これで帰れるのー? | |
もちろんです! デザートンさん、手伝ってくれますよね? | ![]() | |
![]() | ああ……元はといえばおれの責任だから……。 | |
![]() | あれ? 帰りたくなったら帰るってこともできるの? | |
できるんじゃないかしら。 | ![]() | |
前までに会っていた彼ら、いや彼女らがどう思っているかは別だが……。 | ![]() | |
![]() | あたしはもーちょっといようかな? | |
![]() | わたしも! エリスにおみやげ持って行かなきゃ! | |
キミ、どうするにゃ? | ![]() | |
ほかの人たちにこのことを伝えなきゃいけないし、まだまだ帰るわけにはいかなそうだ。 | ||
そういうことならみんなを集めて、私たちのライブでも聞いて行ってもらおうかしら。 | ![]() | |
そうだな。私たちにはそれぐらいしかできないが……。 | ![]() | |
それはすごくいいにゃ。早速みんなを集めるにゃ! | ![]() | |
そうだね、と君は口にする。 | ||
平和の訪れたスィー島。 | ||
君たちがクエス=アリアスに帰るのは、まだ少し先のことになりそうだ──。 | ||
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