悲しみに暮れる王
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事情を理解しているにせよ、急に王様を訪ねて大丈夫かな……? 大丈夫大丈夫! グリはいつも心配性なんだから! | ||
リコの言うとおりにゃ! 時にはムチャも必要にゃ! | ||
元気なリコとウィズに背中を押され、君たちはいざ王宮へと足を踏み入れた。 | ||
さっすが王宮! 見たこと無いくらい美味しそうなお菓子がい~っぱい! | ||
これは今食べないと一生後悔するにゃ……! | ||
あ、でもそれって……。 | ||
止める間もなく、お菓子をつまみ食いしたリコとウィズはキュッ! と顔をしかめる。 | ||
うえええ、しょっぱい……! | ||
にゃにゃにゃ……!! | ||
……甘いお菓子が食べられるのは、王様に話を聞いた後かな? | ||
そうだといいね、と君はグリに返すと、街を飾るお菓子の数々を見上げる。 | ||
リコやウィズほどではないものの、実は君も甘いものが食べたくなってきていたのだ。 | ||
謁見の間に辿り着いた君たちは、玉座に座る王様を見上げてひざまずいた。 | ||
お目通り叶い光栄です、お菓子の国の王、ジャイアントカプリコ様。 | ||
……ウム、くるしゅうないぞ……。 | ||
見るからに元気のない王様は、悲しそうにため息をついた後、ホロリと一粒涙を流す。 | ||
王様の涙を止めないと国中のお菓子が『涙味』になるなんて……大変な世界にゃ。 | ||
つまらなそうに背伸びをしながら、ウィズはあくびをして丸くなった。 | ||
それにどういう理由なのか解らないんじゃ、そもそもの対処のしようがないにゃ。 | ||
どういう理由なのか。 | ||
君はウィズの言葉を受けて、電撃のように脳裏を走る情報の波を感じた。 | ||
今までの皆の言葉が瞬間的に繋がっていく。 | ||
コロンは、王様のことを『すぐナーバスになる』と言っていた。 | ||
プリッツの言っていた『悲劇』という言葉。 | ||
『アイスの国の姫』が関係しているというビスコの示唆。 | ||
『身分違いの恋』というアイスの実の言葉。 | ||
そして何より、ジャイアントカプリコの『カタチ』……! | ||
あぁ……! | ||
どうやらグリもその真実に気づいたようだ。だが運の悪いことに、ひと呼吸遅れて……。 | ||
なるほどね! 王様は自分をアイスだと勘違いして、アイスの実に告白しちゃったって事? | ||
その真実が、突如として暴露されてしまった。 | ||
空気が、一瞬で凍る。 | ||
……えっ? あれ、あの、私何か。 | ||
はぁ……。 | ||
あちゃあ、と言わんばかりにグリはため息をついた。 | ||
……我輩はアイスだ。 | ||
威厳のある低い声が響き、周囲に魔力が満ちていく。 | ||
……まだ我輩は諦めたわけではないぞ。 | ||
まだ我輩もアイスである可能性がある! それまではこの恋、諦めるわけには……。 | ||
いかんのだぁ~っ! | ||
まさか王様が本当に自分をアイスと思っていたなんて……! | ||
キミ、気をつけて! 王様をお願い! | ||
カプリコの攻撃をかわしながら、キミはリコとグリの声を背中で聞く。 | ||
さあ、さっさと終わらせて……。 | ||
たらふくお菓子を食べるにゃ! | ||
(戦闘終了後) | ||
……はっ! わ、我輩は何を……。 | ||
暴れ回っていたカプリコは、ハッと我に返ると周囲を見回した。 | ||
ちょっとだけ悪い夢を見ていたんだよ! | ||
……本当か? | ||
ええ。それに美味しいお菓子を食べればきっともっと気分が良くなりますよ。 | ||
ね、王様! 食べてみて! | ||
リコが差し出したのは、一本のポッキー。 | ||
恐る恐るそれを口にしたカプリコは、ふっと口元をほころばせた。 | ||
甘くて、美味しいのう……。 | ||
こうして、『涙味』だったお菓子の国は、国に迷い込んだ魔法使いと黒猫の活躍で……。 | ||
めでたく元の甘い味に戻りましたとさ。 | ||
双子の魔法使い、リコとグリも、一人前の魔法使いになるために元気に修行中です。 | ||
世界がもっとおいしくなるように。 | ||
はぁ……あの時食べたお菓子が、もう一度食べたいにゃあ……。 | ||
そんなことを口走るほどに、ウィズはあの世界を気に入ってしまったようだ。 | ||
君も街角で美味しそうなお菓子を見かけるたび、目移りしてしまうほど。 | ||
そんな時、君とウィズは決まって同じ話をする。 | ||
さて、次に食べるお菓子は、何にしようか! | ||
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