キャナル

ある日見つけた”珍しい鳥の雛”。

最初の印象はその程度だった雛は、
やがて大きく……鳥とは決して呼べないくらい
大きな姿に成長した。

『ドラコ』と名付けたソレは、
他のどんな大人にも懐こうとしなかったけど
私にだけは懐いたんだ。

大人達は口々に「そんな生き物は見たことがない」
「危険だ！」って言うけど、ドラコは私の大事な友達なんだよね。

「行くよっドラコ！」

ドラコの背に乗って遥か大空を翔る。
ドラコとだったら何処でも行ける！
何でもやれる！私たちは最高のパートナーだもんね！




「おまえは……何処から来たのかな?」
ドラコの背に乗る私は、すでに何度めかも覚えていない
同じ疑問の言葉を投げかける。

私はドラコが大好きだ。
これは私が自信を持って言える言葉。
ドラコも私の事を、
私がドラコを好きな気持ちと同じくらい大好きだと思う。
……うん、その筈だ。

――でもね、いっつも不安になるんだ。

これまで見たどんな生き物とも違う姿をしたドラコは、
きっと”この世界とは別の世界”から来た生き物。
いつか……元の世界に帰っちゃう日が来るんじゃないかって。

どこにも行かないよね？約束だよ？

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