神々の聖戦
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来たわね、ルヴァル・アウルム。 | ||
アルゼンタム卿……。 | ||
〈イグノビリウム〉を退け、辿り着いた先には、美しく白い羽の生えた女性がひとり。 | ||
あなたたちなら、必ずここに来ると思っていたわ。 | ||
ここが敵を食い止める拠点になると気づくと踏んでいたのよ! | ||
ふふふ、ルヴァル! あなたの考えることなんか底が知れているの。 | ||
あ、アルゼンタム卿……何故こんなところに……。 | ||
何故? 何故ですって? プルミエ、あなた、いつからそんな生意気言うようになったの? | ||
君は話についていけず、ルヴァルを見上げた。 | ||
トァラ、アルゼンタム。卿にわかりやすく説明するなら……私の同僚だ。 | ||
同僚!? 君は驚き、声を上げた。 | ||
トァラ。卿、まさか外法に身を売ったのではあるまいな。 | ||
あたしを馬鹿にするのもいい加減にしなさい、ルヴァル。あんなのハナから相手にしてないわ。 | ||
さすがアルゼンタム卿。討滅のために磨かれた剣に、衰えはない……。 | ||
同僚……つまり彼女も天の使いである、ということだ。 | ||
しかし、だとしたら何故? 何故、トァラは皆に剣を向けて立っているんだろう? | ||
あなた、あたしを置いていったじゃない! | ||
あたしも行くって言ってたのに、置いていくなんて信じられない! | ||
挙句の果てに……プルミエなんかと一緒に……! | ||
私はしかし……アウルム卿に言われ、ここに来ただけで! | ||
君は、拍子抜けしてしまった……。 | ||
〈イグノビリウム〉がここにいるというようなことを聞いていたため、 | ||
今、こうして眼前に立つ女性が全く違う存在だったことで、気が抜けてしまった。 | ||
でも考えてみれば、あの子はひとりでここに来たってことにゃ。 | ||
それは要するに、"あの敵艦の大群"を押しのけて、居座っているということになるにゃ。 | ||
君はハッとして、トァラを見た。 | ||
トァラ・アルゼンタム卿。悪を裁く聖なる剣を持つお方です。 | ||
1回斬る! 絶対に斬るッ! あたしを置いていったこと、後悔させてやるわ! | ||
よい。これは一度、仕置きを据えてやらなければならん。 | ||
普段の落ち着いた振る舞いとは違い、ルヴァルはほとほと呆れ返っているようだった。 | ||
……許さない! ルヴァルもプルミエも、そしてあんたも! | ||
君はとばっちりを受け、いつの間にか彼女に狙いを定められた。 | ||
そしてトァラが君に向かって剣を振り下ろす──! | ||
(戦闘終了後) | ||
くぅッ……! | ||
もうおやめください、アルゼンタム卿! | ||
トァラの剣を受け止めたプルミエが、悲壮な表情で叫んだ。 | ||
卿の負けだ、トァラ。 | ||
手強い相手であったことに変わりはない。 | ||
それどころか、軍を相手に一歩も退かず戦い抜いた姿に、ある種尊敬すら覚えるほどだった。 | ||
だがしかし、そこまでだった。 | ||
ルヴァルは剣を収め、既に戦う姿勢を取っていない。 | ||
戻るぞ、トァラ。卿には話して聞かせるほかない。 | ||
……卿。船に運ぶのだ。 | ||
……はい。 | ||
ルヴァル、プルミエのふたりが、頭を抱えている。 | ||
よもやここをひとりで落とすとは……。 | ||
トァラの行いはまるで子どものソレだが、拠点にたったひとりで居座るのはすごすぎる。 | ||
卿、迷惑をかけた。 | ||
大丈夫、と君は告げる。このくらいなら、むしろ少し和んだぐらいだ。 | ||
この後、我らファーブラは、他軍に合流する。まだ戦争は続いている。決して気を緩めるな! | ||
拠点を押さえたことで、心にゆとりができ、君もほかの兵同様、鬨の声を上げた。 | ||
戦いはまだ終わらない。 | ||
貴君らは、期待に違わぬ仕事を果たしたようだ。 | ||
貴様の期待に応えるため、行動したわけではない。 | ||
プルミエ。卿は少し落ち着きたまえ。 | ||
これから我が軍に合流し、さらに奥を攻める。指揮権はアウルム卿、貴君に与える。 | ||
……私の知らぬところで何もかも決めないでもらいたいものだ。 | ||
君は、疲労がようやく抜けたところだった。 | ||
長い戦いが終わった、と思ったところだったが、どうやらまだ少し続くらしい。 | ||
いや、こんなところで休んでいる暇はない。 | ||
まだ大陸──ドルキマス周辺の〈イグノビリウム〉兵を倒しただけじゃないか。 | ||
この程度で落ち着いていたら、今も苦しむ人々に顔向けできない。 | ||
少しでもはやく、彼らを助けなければ……。 | ||
では征くぞ、黒猫の魔法使い。卿の力には、これからも期待している。 |
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