決断の時
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いつから曲芸団になったんだ、ドルキマスは! | ||
面会の場に着いた早々、君は少女の怒号を浴びることになった。 | ||
彼女はクラリア・シャルルリエ中将。 | ||
我がドルキマス、シャルルリエ軍団の指揮官を務めています。 | ||
にゃ!? 普通の女の子が指揮官なのかにゃ!? | ||
ベルク元帥はいったい何を考えておられるんだ! | ||
吐き捨てるような言葉は悪いけれど、年端もいかない可愛い少女だ。 | ||
あんたが噂の魔法使い殿か。俺はヴィラム・オルゲン。 | ||
どうやら彼が彼女の副官を務めているらしい。 | ||
先ほどからクラリアをなだめようとして、何度も脛を蹴られている。 | ||
あなたが魔道艇を飛ばす魔法使い? | ||
長身の女性が、君に問いかけてきた。 | ||
ずいぶん面白い服を着ているけれど……もしかしてそれ、メルヘンの真似事? | ||
君は違います、と返答する。 | ||
竜騎軍〈ウォラレアル〉を率いるライサ・ナトゥル将。 | ||
ええっと、私はキャナル。キャナル・エアガイツ。よろしくね、魔法使いさん。 | ||
竜騎軍の副官は彼女だ。君はよろしく、とキャナルに返した。 | ||
と、ライサたちの背後に静かに佇む男性……。 | ||
天の使い〈ファーブラ〉を率いるルヴァル・アウルム卿。 | ||
して、用件は? アウルム卿は、お前と違って暇ではない。 | ||
愛想もなく、そう言ったのが〈ファーブラ〉の副官。 | ||
プルミエ・シエルだった。 | ||
先程も話しましたが、貴官は彼らの軍に所属し、〈イグノビリウム〉を殲滅していただきます。 | ||
あなたが本当に魔道艇を使えるのなら、私のもとに来るといいわ。 | ||
使える駒ならわたしがもらう! 貴様らのような野蛮なものに預けられるわけがない。 | ||
お嬢ちゃん、口汚いのは結構だけれど、ならず者を詰め込んだ野蛮な軍はそちらでしょう? | ||
お、お嬢──ッ、き、貴様ッ! | ||
険悪すぎるにゃ……。 | ||
卿ら、不必要な争いを続ける前に多少は建設的なことを話したまえ。 | ||
ディートリヒ・ベルクが求めているのは、〈イグノビリウム〉の掃討。 | ||
卿もそれで利害が重なったからこそ、ドルキマスという小国と共闘すると決めたのだろう? | ||
…………。 | ||
〈ファーブラ〉のリーダーと言われた男性が口を開くと、戦艦の中が静寂に包まれた。 | ||
彼の声は、不思議と君の心を落ち着かせた。 | ||
私も、私の軍もそうだ。卿らにこの軍を預けるのは、目的を同じくしているからに他ならない。 | ||
決して平和とはいえないこの異界。 | ||
いったいどうしてここに来たのか、何故こんなことに巻き込まれたのか……。 | ||
君には考えなければならないことがいくつもあった。 | ||
使える人間なら、わたしのところに来い。戦争の──戦いの本質を知ることができる。 | ||
戦うのなら、私のところがいいわよ。今度は私たちが全て飲み込んであげるわ。 | ||
決めるのは卿次第だが、退くことはできないものと知れ。 | ||
三者の視線を一手に集め、君は所在なさげに上を見た。 | ||
キミ、どうするにゃ? | ||
覚悟を決めるしかなかった。 | ||
…………。 | ||
……。 | ||
人間が行う戦争の重みを、味わわせてやりたまえよ。 |
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