戦神が辿り着いた場所
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なんだお前ら、来てたのかよ。久しぶりじゃないか! | ||
スオウとセイもここにいたのかにゃ。 | ||
俺たちは、来るつもりはなかったんだがな。こいつが強引に。 | ||
えっ! ふたりとも行きたいって言ってたじゃん! | ||
言ってねえよ! お前が来る日も来る日も声かけてきたから仕方なく──。 | ||
やめろ、スオウ。行くと口にしてしまったのは俺たちなんだ。 | ||
どうやらミコトが強引に引っ張ってきた、ということらしい。 | ||
そのわりに私よりお祭り楽しんでたくせに……。 | ||
それはそれ! これはこれだ! な? セイ。 | ||
いや、それには同意しかねるが……。 | ||
戦神のふたりは、暇してたのかにゃ? | ||
おう、猫神様よ。そういう滅多なことは言うもんじゃねえぜ。 | ||
確かに戦神としての仕事はなくなった。だが神としてやることを失ったわけじゃない。 | ||
うふふ、でも私、毎日暇だ暇だって言ってるの聞いたことがあります。 | ||
ばっ──お前、余計なこと言うんじゃねえ! | ||
中には、暇を持て余している神もいる、ということだ。 | ||
事実、"あるばいと"に明け暮れている和歌の神様もいることだし。 | ||
ミコトちゃんと和歌を詠むの楽しんでたもんね~。 | ||
あれはあれで確かに充実していたがな。 | ||
ツクヨ。お前、そりゃ神様としての余裕から出た言葉ってわけか? | ||
うふふ。 | ||
呑気に笑っているけれど、余裕……という言葉が、君には引っかかった。 | ||
ツクヨは、音楽の神なんだ。 | ||
音楽の神様……。 | ||
音楽っていうものは、下界の──いわゆる人間たちの身近にあり続けるものだ。 | ||
つまりそれだけツクヨを崇める数も多いってことになる。 | ||
ツクヨちゃんは神様たちの中でも、5本の指に入るほど"ご利益ぽいんと"を集めたんですよ。 | ||
とうなめんとには不参加でしたけど……。 | ||
そんなにぽいんとを集められたのに、どうしてとうなめんとに出なかったの? と君は尋ねた。 | ||
わたし、切った張ったの戦いは苦手なので。それに叶えたい願いもなかったですし。 | ||
ツクヨちゃんと出ればいけると思ったのに、断られて──。 | ||
あ、でも断られたおかげで猫神様と出会えましたから、悪いことばかりではありませんね。 | ||
おお、そうだ。いい話があるんだ。お前らに会ったから、忘れてたぜ。 | ||
いい話? 私、もしかして年越しできる? | ||
ああ、間違いない。それほど大きな話を聞いた。 | ||
ちょっと待ちなさい、エトワール!! | ||
僕はさ、忙しいの。帰るなら、メリエルひとりで帰ってよ。 | ||
帰れないから困ってるんじゃない! だいたいアンタが紋章術使わなきゃこんなところに──。 | ||
──っていうか何この生き物。大きすぎない。 | ||
わぷぅ。 | ||
文献によると、ワパパっていう神獣なんだって。僕、これに乗るよ。 | ||
いや……アンタね……ワタシもいるんだから、もうちょっと乗りやすいものを……。 | ||
喧嘩をしながら通り過ぎていく人──ではなく、きっとあれも神様なのだろう。 | ||
おかしいな……今の連中……。 | ||
ああ。そうだな。 | ||
ミコトちゃん、このお団子美味しい。 | ||
あ、ほんとだ。 | ||
お前ら、ちゃっかり祭りを堪能してんじゃねえよ……。 | ||
それで、スウちゃんとセイちゃんは何を見つけたの? | ||
ああ、これなんだが……。 | ||
セイは1枚の紙切れを取り出した。 | ||
あ。 | ||
それを見て声を上げたのはツクヨだった。 | ||
羽振りのいいどこかの神様が、多額の寄付をしたことで開催されることになったれえすがある。 | ||
それで優勝することができれば、一攫千金どころか、寄付に寄付を重ねても……。 | ||
年越しができる! すごい! さすがスウちゃんセイちゃん! 持つべきものは友だちだね! | ||
ミコトのためにこんな話を持ってくるなんて、スオウもセイもいい神様にゃ。 | ||
俺たちは少なからずミコトに借りがあるからな。 | ||
だけどミコトちゃん、これって……。 | ||
私、参加する! この機会を逃したら、またあるばいとの毎日に戻っちゃうもん……。 | ||
気づけば話がまとまった、らしい。 | ||
どうやられえすで優勝することができれば、あるばいと生活に終止符を打てるようだ。 | ||
お前ならそう言うと思ったぜ。だけど参加資格ってのがあるんだ。 | ||
えーっと……まず神様であること。 | ||
うん。私、神様。 | ||
神様として、その立場に見合う乗り物に乗ること。 | ||
乗り物……? | ||
だけど、乗れればなんでも大丈夫って書いてあるよ。 | ||
馬……とか? | ||
でもそんなの私持ってないよ……。 | ||
その点はぬかりない。既に俺たちで用意している。 | ||
セイの手際の良さを見るに、もともと参加することを前提に動いていたようだ。 | ||
ほんとに!? よーし、それさえあれば優勝できるんだね! | ||
ただちょっと性格に難がある。とりあえずついてきてくれ。 | ||
それでミコトの乗り物は何にゃ? | ||
それは──。 | ||
あっ、猫だ。 | ||
にゃ!? 私は無理にゃ! | ||
違いますよ、ほら。大きな猫。 | ||
……どこいけばいいの? | ||
巨大な猫と、それに乗った少女。 | ||
……ここどこ? | ||
ここは様々な神が出入りしている。お前はこの場所であるれえすに参加するんだ。 | ||
猫に乗った少女は、そのまま君たちの横を通り過ぎていった。 | ||
ああいう子に乗ってれえすに参加できるのかぁ。 | ||
私、ちょっと楽しみになってきたかも。 | ||
頑張ってね、ミコトちゃん。 | ||
おいおい、ツクヨ。お前も出るんだぜ? | ||
えっ!? | ||
猫神どの、あんたもな。俺とスオウが組んで出れば、とっておいた枠がひとつ空くんだ。 | ||
そうくると思ったにゃ。私はそんなことでは動じないにゃ。 | ||
キミ、頑張るにゃ。 | ||
ウィズの落ち着きっぷりとは反対に、君は驚きを隠し切れない。 | ||
そもそも参加資格の第1項──神様であること、という条件を満たしていない。 | ||
大丈夫にゃ。やればできるにゃ。 | ||
そういう勢いだけで物事を決めるなんて、と言おうとしたが……。 | ||
じゃあ、わたしはこれで~。 | ||
いや、度々帰ろうとしちゃダメにゃ。れえすに参加できるなんて楽しそうでいいにゃ。 | ||
わたし、争いごとはからっきしで。向いてないですから……。 | ||
絶対1位になる……絶対1位になる……。 | ||
ところで乗り物って何にゃ? | ||
よく聞いてくれた。あんな猫なんて目じゃない方にお願いしてるぜ。 | ||
お願いした、というよりも……いや、これは言うまい。 | ||
……どうしよう、ミコトちゃん。こういうの苦手なんだよね、わたし。 | ||
ツクヨは緊張でお腹が痛くなるタイプにゃ。 | ||
君自身もまた、そういうれえすに参加することに緊張していた。 | ||
安心してください、お供の方。神様たちのれえすなんてただの娯楽です。 | ||
目標地点に到達できればいいとしか書いてないよ、ミコトちゃん。 | ||
ほら! 要するに……ええっと、ごーるすればいいんです! | ||
でもそれってつまり、後ろから攻撃して相手を脱落させても……。 | ||
…………。 | ||
さ、さあ、行きましょう、ウィズ様、お供の方! 優勝が待っています! | ||
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