戦争の橋頭保
タグ一覧
>最終更新日時:
敵艦との距離を保ちながら、攻撃のできる君の魔法は、確かに効果的だった。 | ||
しかし、〈イグノビリウム〉はそれすらも凌駕する圧倒的な数量で魔道艇へと迫ってくる。 | ||
キミ、このままだとまずいにゃ。 | ||
たった"一艇"でこの大群の相手をするのはもう限界だった。 | ||
だいたいライサたちはなにをやっているにゃ! | ||
ウィズの言葉に君は天を仰ぐが、〈ウォラレアル〉の本体は沈黙を保ったままだ。 | ||
もしもーし! ライサさーん! | ||
ダメだ。全然応答なし……。故障してるのかなぁ? | ||
しばらく通信機に向かって応援を求め続けていたキャナルも、諦めて君の元へと戻ってくる。 | ||
この戦闘が始まってから、ライサとの通信は途絶え、君は文字通り孤立無援の状況だった。 | ||
ごめんね。力になりたいんだけど、ドラコもこんな様子だから……。 | ||
彼女は怯えきった白いドラゴンを撫でながら、申し訳なさそうに言う。 | ||
敵艦の数はかなり減らしたものの、魔道艇を取り囲まれ、君の魔力は尽きかけていた。 | ||
絶体絶命にゃ……。 | ||
ウィズがそう項垂れた時だった。 | ||
魔法使いさん! あなたの実力は見せて貰ったわ。 | ||
ドラゴンに乗ったライサが、魔道艇の直上にいる。 | ||
ありがとう。あとは私たちに任せなさい! | ||
ライサさん! | ||
さあ、みんな、お腹いっぱい食べなさい! | ||
そんな彼女の声とともに、空母の甲板から〈ウォラレアル〉の竜騎舞台が一斉に降下する。 | ||
統率のとれた一糸乱れぬ動きで、敵艦を覆い尽くし、戦闘は一気に決着を迎えた。 | ||
悪かったわね。あんまりすごい戦いをするものだから、限界まで試したくなっちゃったのよ。 | ||
戦いを終え、魔道艇に降りてきたライサが涼しい顔で言う。 | ||
まさかこのままやられちゃうとは思わなかったけど、今回は流石に心配しちゃいましたよ。 | ||
今回は? ライサはいつもこんな、味方を騙すような戦い方をしているのだろうか? | ||
君はキャナルにそっと尋ねる。 | ||
うん。新しい仲間が加わるとね、ライサさんはいつもこうやってその実力を試すんだ。 | ||
そういうこと。ようこそ〈ウォラレアル〉へ。改めて歓迎するわ。魔法使いさん。 | ||
ライサはそういって優しく微笑む。 | ||
あの男、ティートリヒの言っていたことは正しかったわ。 | ||
確かにあなたがいれば、この戦争を終わらせることができるかもしれない。 |
コメント(0)
コメント
削除すると元に戻すことは出来ません。
よろしいですか?
今後表示しない