戦いの行方
(0コメント)![]() | はあ、はあ、ここまでくれば大丈夫だろう。 | |
| マッハはもうゴールであるカプリコ城の目の前まで来ていた。 | ||
| ゴールまであと少し。審判のラヴリたちの姿もはっきりと見えてきた。 | ||
![]() | はは、ぼ、僕の勝ちだ。僕がナンバーワンだ! ナンバーワンは! 僕だ! | |
| あ、見えてきた。それじゃあ、いきますよ! | ![]() | |
![]() 甘いの甘いの、いらっしゃい! | ||
| にゃにゃ! | ![]() | |
| あ、ここって……ラヴリさん、プレミオさん、ピークさん。もしかして……。 | ![]() | |
| そうです! ゴールですよ。 | ![]() | |
| もしかして私たちを呼び出した魔法で……。 | ![]() | |
| だからお菓子を食べたのか。たしかに一気にゴールに到着したけど……。 | ||
| 君は振り返って、後ろを見た。そこには呆然と立ち尽くす悲しい人影がある。 | ||
![]() | ちょ、ちょっと、ずるくないかい。魔法を使うとか反則じゃないか。 | |
| でも、特にそういうのを禁止するとは言われませんでしたよ。 | ![]() | |
![]() | 言わなかったけど、普通はそうだろ。 | |
| あなたの普通と私たちの普通が同じとは思わないでくださーい。 | ![]() | |
![]() | ひどッ! 君たちにスポーツマンシップというものはないのかい? | |
| スポーツマンじゃないですから。私、天使ですから。 | ![]() | |
| 君も魔法使いです、と答える。 | ||
| 猫にゃ。 | ![]() | |
| どちらかといえば、鳥です。 | ![]() | |
![]() | なんなんだ、君たちは! も、もうこうなったら力押しだ! 覚悟しろ! | |
| 頭に血が上ったマッハは、君たちに向かって猛然とダッシュしてきた。 | ||
| (戦闘終了後) | ||
| 向ってきたマッハを君たちは大人げなくこらしめた。 | ||
| 元々少し足が速いだけなのだ。君たちに戦いで及ぶべくもなかった。 | ||
![]() | 僕の負けか……。これじゃあモテないし、お菓子ももらえない。 | |
![]() | 運動能力が高くても……ダメなのか。 | |
![]() それは違いますよ。 | ||
| 打ちのめされたマッハの顔に、ふわりと白い羽が一枚降りかかった。 | ||
| あなたは……。 | ![]() | |
| 頭が良くないからモテないんですよ。 | ![]() | |
![]() | え? | |
| ついでに言えば、運動能力が高かったらモテるとかそういう発想がちょっと気持ち悪いですね。 | ![]() | |
| ひどい、と君は思った。 | ||
| 折れかけたマッハの心は、ルシエラの遠慮のない言葉でぽっきりと折られ、さらに投げ捨てられ、 | ||
| 埋められて、さらにその上に大きな石を置かれて……。 | ||
| とりあえず、それくらい再起不能にされた。 | ||
| もう、やめてあげるにゃ。……やめてあげてほしいにゃ。 | ![]() | |
| マッハのむせび泣く声が聞こえる。 | ||
| 君は顔をそむけて、ただ早くこの声が止んでくれるのを待った。 | ||
| どうにかしてやりたくても、かける言葉が見つからなかった。そんな時……。 | ||
![]() はい。どうぞ。 | ||
| マッハに手を差し伸べたのはミレイユだった。その手の上にはチョコがある。 | ||
| おいしいですよ。きっと泣きたい気持ちも吹き飛ばしてくれます。 | ![]() | |
| チョコを受け取ると、マッハはむさぼるようにチョコを頬張った。 | ||
![]() | うまい……。人にもらうチョコはこんなにおいしいんだね。 | |
| ええ。そうです。だからあなたもお菓子の独り占めはやめてくださいね。 | ![]() | |
| お菓子はみんなで楽しく食べましょう。そのほうがおいしいですよ。 | ![]() | |
| すでに泣き笑いの表情となったマッハは、うんうんと激しく首を縦に振る。 | ||
![]() | あんたは……天使だ。 | |
| ミレイユは少し悩んでから、答えた。 | ||
| ……いえ、どちらかといえば鳥らしいです。 | ![]() | |
| そこはそういうことじゃないにゃ。 | ![]() | |
| マッハは満足したような笑みを浮かべながら、ほのかな光を放ち始めた。 | ||
| どうやら今回も勝つことができたようだ。 | ||
![]() 彼はようやく、愛されるよりも、愛することが大事だと知ったようですね。 | ||
| ルシエラの言葉に愛はなかったけどにゃ。 | ![]() | |
| 改心したマッハが消えてゆくのを見送り、君たちはスィー島のさらに奥へと進んでいった。 | ||
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