恋色の学園
(0コメント)| うう……この空気……なんだかモニョモニョするにゃ……。 | ![]() | |
| ──男子学生は期待の眼差しで女子学生を見つめ……、 | ||
| ──女子学生はウキウキした様子でガールズトークに花を咲かせている。 | ||
| ──うわついている、といえば聞こえは良いが……、 | ||
| ──学内の雰囲気は、いわゆるラブコメディのそれに支配されていた。 | ||
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![]() | おっ!? な、なんで魔法使いがここに……? | |
![]() | いや、むしろちょうどよかった! 助太刀頼む! | |
| ──慌てて廊下の角を曲がってきたイツキは、挨拶もそこそこに剣を構える。 | ||
| ──そして、どうしたのか、と君が聞くよりも先に……。 | ||
| マスグレイヴはあそこだァァ!! 行くぞォ皆の衆! | ||
| 我々の意地と執念と、コテコテに煮詰まったジェラシーを受けるがいい!! | ||
| ──男子学生の一団が、君たちへ向けて魔物を解き放った! | ||
![]() | はぁ……はぁ……やっと撒いたか……。 | |
| ──階段の陰に隠れながら、息を切らして額の汗を拭うイツキ。 | ||
| ──一体何がどうなってこうなっているのか、と君は聞きそびれた質問を彼に投げた。 | ||
![]() | 正直改まって話すのも馬鹿らしい話なんだけどさ……。 | |
| ──と、イツキはかいつまんで状況を話してくれた。 | ||
| ──今日はどうやら、「想い人にチョコを渡すイベント」があるらしい。 | ||
| ──基本的には女性から男性へのプレゼントとされるそのチョコだが……、 | ||
| ──当然、それを貰えない人間も出てくる。悪いことに、そのことを根に持った学生たちが……。 | ||
![]() | ギブミーチョコレー党って組織を作って、『チョコ貰えそうな奴狩り』を始めたんだよ。 | |
| ──そこまで聞いて、君とウィズとイツキは盛大なため息をひとつ。 | ||
| 安直かつ欲求丸出しの党名と、やってることの情けなさ加減が涙を誘うにゃ……。 | ![]() | |
![]() | 俺も最初は笑い話の類だと思ってたんだけどさ……奴ら、マジなんだよ……。 | |
| ──そういうイツキの顔は少し青ざめている。どうやら事態は深刻なようだ。 | ||
| とはいえ、学生たちの悪ふざけに近いにゃ。そんなに心配は──。 | ![]() | |
| [GC党隊長] | この辺りでマスグレイヴの魔力波を検知したぞ! 索敵班、追跡班、陣を敷け! | |
| [GC党索敵班] | 「索敵魔術構築! 回路安定! ……とらえた! 追跡班へレポートを送信します! | |
| [GC党捕獲班] | そこだァァァ!! 階段の陰、マスグレイヴを発見! 班長ォ!! | |
| ひっ! は、話せばわかる! 一度落ち着いて話を……。 | ![]() | |
| [GC党班長] | 問答無用ォ! 捕獲ネット及びロープ用意! いざ確保ォォォォ! | |
| うわああああ!! 離せ! 馬鹿、縛るな! やめろーっ、やめろーっ!! | ![]() | |
| ギブミーチョコレー党員……恐ろしい集団にゃ……! | ![]() | |
| ──一糸乱れぬ組織だった魔術運用に、君とウィズは呆れを通り越して感心する。 | ||
| ──が、連れ去られそうになっているイツキを放っておくわけにもいかない。 | ||
![]() | ま、魔法使い! 助けてくれーっ! | |
| ──彼の言葉に君は立ち上がると、ギブミーチョコレー党へ向かって駆け出した! | ||
| (戦闘終了後) | ||
![]() | た、たすかったよ……まほうつかい……。 | |
| ──驚きのあまり棒読みになりながら周囲を警戒しているイツキを連れ……、 | ||
| ──君たちはとりあえず一息つくために中庭へと足を運んだ。 | ||
![]() | ……というか、魔法使いたちはなんで急にこっちに来たんだ? | |
| 知らないにゃ。いつも通り学生証に呼ばれて来ただけだにゃ。 | ![]() | |
![]() | ……! お、おい魔法使い。その猫喋るのか。 | |
![]() | あ。 | |
| ──しまった、と君は思う。しどろもどろに良い訳をしようとすると、 | ||
![]() | いや、まあ別に驚かないけどな。いつも一緒にいるし、気にはなってたんだよ。 | |
| そう言ってもらえると助かるにゃ。私はウィズよろしくにゃ、イツキ。 | ![]() | |
![]() | おう、よろしくな。というか、俺はてっきり、また招待状でも届いたかと……。 | |
| ──イツキの言葉に、君は首を横に振る。今回は学生証に文字も選択肢もなかった。 | ||
| ──一体、何が君をこの世界に呼んだのか……君たちはうーん、と考えこむ。 | ||
| ──と、その時、見慣れた二人の姿が君の目の端に映った。 | ||
![]() | リンカとアキラか。珍しい取り合わせだな。 | |
| ──クロム・マグナの生徒会長であるリンカと、イツキの弟であるアキラ。 | ||
| ──二人は何かから隠れるようにして、ごそごそと何かをやり取りしている。 | ||
![]() | ちょっと声かけてくる。今回の騒動で手を貸してくれるかもしれないしな。 | |
| ──イツキは立ち上がり、二人の元へと一歩足を踏み出した。 | ||
| ──だが、その足はそこで止まる。 | ||
![]() ……? リンカが何かアキラに渡してるにゃ。あれは……チョコかにゃ? !? リンカはなんだか照れながら渡してるにゃ。アキラもまんざらじゃなさそうにゃ? なっ……!? は……!? | ||
| 照れながらチョコを渡す女子と……まんざらでもない男子……これはなにかあるにゃ? | ![]() | |
![]() | なにか……って……なんでしょうか……。 | |
| なんだろにゃぁ? お姉さんにはサッパリわかんないにゃ。 | ![]() | |
![]() | そうですか……なるほど……そうでしたか……。 | |
| ──何故かウィズに対して敬語を使うイツキを見ながら……。 | ||
| ──おやおやおや、なんだか面倒なことになってきたぞ、と君は思った。 | ||
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