天上岬の配達屋
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困った。コイツぁ困ったぞ!
オイラが悪いとはいえ、コイツぁ困った事になった!
「……まったく、これだからカルテロは」
「ブレドって言ったっけ、アンタ。どうするコイツ」
「ロゼッタ、好きに痛めつけて貰って構わないよ」
ちなみに今、オイラはウネウネ動くツタにグルグル巻きにされた上で枝に吊るされている。
なんでこうなったかというと……少し前にちょっとした事故が起きたからだ。
時間は少しさかのぼる。
「くっそ、ブレドの奴、早いな……!」
とこしえの樹へ向かう途中、大きくブレドに引き離されたオイラは超焦っていた。
ここまで遅れちまったのは、だいたいアイツのマドレーヌのせい。
この馬鹿デカい荷物が枝に引っかかってなけりゃ、今頃アイツを追い抜いてるってのに!
「急げラルゴ! あいつに負けたらまたしばらく馬鹿にされるぞ!」
「バウッ!」
そんな感じでフルスピードを出し、草むらを抜け出たところに……
立ち止まっているブレドと、ロゼッタが居たわけよ。
そうなりゃどうなるかは、まぁわかるよな。オイラとラルゴはあいつらに
フルスピードのタックルをぶちかましちゃって、現在に至るというわけ。
ちなみにその時にマドレーヌ入りの荷物は盛大にぶちまけた。
(ま、まぁ、悪いとは思うけど仕方ねーよな……)
ブレドに後で謝っとくか、とかオイラが考えていると、
「ちょっと、聞いてんの!?」
言いながらロゼッタがツタをギューッ! と締め付けてくる。
「ぐえっ! 中身が出るだろバカ!」
「バカはアンタよ! ああもう、私の肌に傷がついたらどう責任とってくれんの!?」
「パンも落としただろ、せっかく作ったのに!」
「いたたたたた、やめろお前ら!」
ブレドはブレドでオイラのことをトングでゴスゴスつつき始めるし!
(あーーもーー困った、超困った! どうすりゃいいんだ!)
オイラが色々と限界を迎えそうになった、その時だった。
「カルテロさん? それにブレドさんと……イヤーーーー! 魔物!」
現れたのは、アネーロ、フェルチ、ベアードの三人。
「アネーロ、ちょうど良かった、オイラを助けてくれ!」
「ヤです! 魔物コワいですもん!」
「ほほう、威薔薇種の守り人じゃないか。なかなか珍しい光景だな」
「言ってないで助けてあげて下さいベアード教授……!」
「いーや、フェルチは甘いね。
カルテロはボクのパンを台無しにしたんだ、このくらい当然だよ!」
「ちょっと、アンタ達私のこと無視しないでくんない?」
「それよりオイラをさっさと下ろせよロゼッタ!!」
思い思いに皆が言いたいことを言いまくっている状況。
もうどうしようも収拾がつかなくなってきたぞ!
……だが、その混乱を破ったのは、意外な人物だった。
「うるさーーーーい!! ソリッサの家の近くで、騒ぐなーーーー!!」
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