優勝は誰の手に
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![]() | モミジ様がなかなか出てこない状況で、私ひとりというのもつらいのですが…… | |
![]() | このあと決勝れえすが始まります。なんといっても注目はミコト選手。 | |
![]() | 喧嘩神輿とうなめんとに続いて、2大会制覇なるか!? | |
![]() | ただ予選での結果後にも関わらず、人気は依然、下位。どう思いますか? モミジ様。 | |
…………。 | ![]() | |
![]() | はー、なるほどこの引きこもり神様は、本気で殻から出てこないつもりなんですね。 | |
![]() | さあ、れえすはまもなく始まります。間違っても座布団などは投げ入れないようにしてください。 | |
カフクさんと、どういう関係だったんだろう? | ![]() | |
![]() | 迷い込んだというわりに、優勝しようとしてるみたいだしな。 | |
![]() | まあ、いいさ。優勝目指してるなら、敵ってことだ。そっちのほうがわかりやすい。 | |
それはそうだが……気にならなくもない。 | ||
とにかく私も優勝しなきゃ、またあるばいと生活に戻っちゃう……。 | ![]() | |
キミも、走り切るにゃ。最後まで落ちない事が重要にゃ。 | ![]() | |
そんな無茶苦茶な……とは言い切れない。 | ||
ウィズ様も気をつけてくださいね。 | ![]() | |
にゃはは、私は平気にゃ! そんなの余裕にゃ! | ![]() | |
少し離れたところに、あのエトワールとメリエルという少女がいた。 | ||
もうちょっと話してみたい気もするけれど……。 | ||
![]() | ミコトちゃん、わたしも本気でいくからね! | |
うん、私も……明日のために頑張るから! | ![]() | |
そうして決勝の火蓋が切られた。 | ||
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![]() | ワパパに乗った――エトワール選手とメリエル選手が後方から差し込みにかかります! | |
![]() | ワパパは穏やかですが、非常に速度があり、硬質なため乗るには向かないという常識があります。 | |
![]() | しかし! エトワール選手とメリエル選手は、見事に乗りこなしているようです! | |
![]() | この点について、どう思われますか? | |
…………。 | ![]() | |
![]() | いやホント何しに来たんだこのぐうたら神様! | |
![]() | 失礼、取り乱しました。ええ、れえすに戻りまして、優勝候補の一角ツクヨ選手。 | |
![]() | 歌と踊りの神様であり、神々の中でも随一の信仰を集める彼女が後方を振り切り優勝するのか。 | |
![]() | 非常に見どころの多いこのミコト杯。個人的にはやはりミコト様に期待したいところです。 | |
オオミコシの速度は一貫して変わらない。 | ||
速くもなく遅くもなく……決勝参加者の中を走っている格好だ。 | ||
きっと力をためているにゃ。 | ![]() | |
そうだといいけれど……キミは不安を掻き立てられていた。 | ||
ウィズ様、お供の方! あとちょっとです! もう少し頑張ってください! | ![]() | |
スウちゃん、セイちゃん……あんな後ろに……。 | ![]() | |
予選からそう時間は空いていない。 | ||
そのせいか、タケミカヅチの体力が尽きかけているのかもしれない。 | ||
おおっと、こんなところに美しい女性がいるじゃあないか。 | ||
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![]() | 君、名前を教えてくれないか? | |
え、ミコトです……。 | ![]() | |
![]() | 僕はスクナって言うんだ。よろしくね、ミコト。 | |
![]() | ……まあ、挨拶もそこそこに君、今夜一緒に宴に参加しないかい? | |
![]() | こう言ってはなんだけれど、僕の社で盛大に行われるんだ。 | |
![]() | お金だけは死ぬほどあるからね。 | |
え、お金……。 | ![]() | |
お金に反応しちゃダメにゃ。ミコトはれっきとした神様にゃ! | ![]() | |
ち、違いますよ! さすがに私、そんながめつくありません! | ![]() | |
![]() | ほら、アツマ君も来るしさ。 | |
その手には乗らないにゃ! っていうかアツマってマトイを騙したあいつにゃ! | ![]() | |
そ、そそ、そうですよ! 私はそんなところには行きません! | ![]() | |
![]() | いやいや、猫神さん、あなたは呼んでないよ。僕はミコトに来てほしいんだ。 | |
君は、なんだか神様のわりに俗っぽい……などと失礼なことを考えてしまった。 | ||
このれえすの最中に、そんな話をする余裕があるということだろうか。 | ||
![]() | さあ! ミコト! 僕と一緒に! | |
しつこいにゃ! ミコトはれえすに集中してるにゃ! | ![]() | |
![]() | ああもう! 君はいったい何なんだ! | |
私はミコトの猫神にゃ! だから見過ごせないにゃ! キミも何か言ってやるにゃ! | ![]() | |
何か言うかはともかくとして、確かにれえすの妨害は許しちゃいけない。 | ||
ルールに則っているとしても、仲間が妨害されているのなら助けなければ……! | ||
![]() | 仕方ないな。僕は荒っぽいことは嫌いだけれど。 | |
![]() | 僕の愛を邪魔する猫神さんとその従者! 僕の力で遠くまで吹き飛ばしてあげよう! | |
(戦闘終了後) | ||
![]() | 勝負ありぃぃぃぃぃッ!! | |
![]() | なんと! なんとなんと!! ここで優勝候補のスクナ様が脱落する番狂わせです! | |
![]() | そしてここでも、猫神様の大活躍! ミコト様の窮地を救いました! | |
![]() | あ、ありがとうございます、ウィズ様……。 | |
お礼なら私の弟子に言うにゃ。 | ![]() | |
![]() | ありがとうございます、お供の方……。 | |
気にしないで、と君は伝える。 | ||
そして、あと少しだから諦めないで頑張ろう、と言った。 | ||
![]() | はい! 頑張ります! | |
最後の追い込み――優勝は誰が手にするのか。 | ||
君も気合を入れて、しっかりとオオミコシに掴まった。 | ||
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オオミコシ様が本気になられました。天晴なれえすであると喜んでおられます! | ![]() | |
神輿座、神輿座オオミコシ! | ![]() | |
は、速すぎるにゃ……! | ![]() | |
乗り心地なんてものはなく、とにかくごーるを目指すだけの力任せの動きに、 | ||
君は吹き飛ばされそうになってしまう。 | ||
![]() | くうぅぅぅ……このままでは負けちゃう……。 | |
![]() | ツツノカミ様……も、もう少し速度を……! | |
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その言葉に反応し、君たちと並走していたツツノカミが頭ひとつ抜け出した。 | ||
ミコトが勝負に出たにゃ! | ![]() | |
ここまできたら負けられない……! | ||
君の気持ちを感じ取ったのか、オオミコシがさらに速度を上げる。 | ||
再びツツノカミ――いや、ミコトに並んだ! | ||
![]() | そ、そうだ・・・・・・こ、こんなときこそ、わ、和歌を詠んで……。 | |
![]() | 筆……ええと、筆は……あった! | |
ちらりと視線を向けると、ミコトがどこからか、大きな筆を取り出していた。 | ||
まずい……もし、ここで神様の力が働いたとしたら……。 | ||
オオミコシ様が傾きになられる! ツツノカミに激突される! | ![]() | |
――そんな声を聞いた途端。 | ||
![]() | うわわ……。 | |
がつん、とツツノカミに体当たりをするオオミコシ。 | ||
オオミコシ様の足がもつれてしまわれた。体力の限界。 | ![]() | |
そうか。ここまで頑張って走ったから、ついに足が……。 | ||
いや、足――!? 足っていったいどこに――! | ||
そんなこと気にしてる場合じゃないにゃ! ごーるは目の前にゃ! | ![]() | |
![]() | ああ、ふ、筆が……! | |
態勢を立て直したミコトだったが、筆が前方に飛んでしまっていた。 | ||
![]() | 筆……私の筆……!! | |
ミコトがぐっと手を伸ばし、筆を掴んだ瞬間―― | ||
![]() これは! 同着! 同着でしょうか!? | ||
君たちはごーるに辿り着いていた――。 | ||
![]() | 今回もウィズ様とお供の方には、本当に助けられてばかりで……ありがとうございました。 | |
くそ! あのおにぎり頭に妨害されるなんて! | ![]() | |
どうやら3着争いで、セイとスオウは競り負けてしまったらしい。 | ||
エトワール、そしてメリエルのふたり組が3着になったと聞いた。 | ||
![]() | ウィズ様……もしかして、機嫌を損ねてしまいましたか? | |
あはは……。 | ![]() | |
拗ねてないにゃ。でも私は納得してないにゃ。 | ![]() | |
まあまあ、と君はウィズを宥める。 | ||
筆差って何にゃ!? 筆ってもはや身体の一部ですらないにゃ! | ![]() | |
そう前方に飛んだ筆……あれがミコトの勝因となった。 | ||
筆の毛先がほんの少し早くごーるについていたこと。 | ||
そしてミコトがそれをしっかり握っていたこと。 | ||
これが勝敗を分けたのだ。 | ||
筆差……筆差ってどういうことにゃ……。 | ![]() | |
ウィズはムスッとしたままだ。 | ||
![]() | ご、ごめんなさい……あの、優勝の褒賞はウィズ様に……。 | |
いらないにゃ! そもそも優勝はみんなに幸せを運ぶ権利って、苦労を背負い込んでるにゃ・・・・・・。 | ![]() | |
ふむ……寄付に寄付を重ねても辿り着けないほどの慈善活動ができるってことだったんだな。 | ![]() | |
ミコト、年越しはできなくなるにゃ。 | ![]() | |
![]() | いえ、私、目が覚めました。自分のことばかりで周りが見えていなかったんです。 | |
![]() | 一応、神様ですからまずは下界……人々のために何かをしなければいけません。 | |
ミコトちゃん……うん、そうだよ。それ、すごくいいことだよ! | ![]() | |
ミコトならそう言ってくれると思ったにゃ。 | ![]() | |
ま、しょうがねえな。勘違いしたのは俺らだし、お前がうまくやれるように手伝うぜ。 | ![]() | |
ああ、そうだな。 | ![]() | |
![]() | ありがとう、ふたりとも……。 | |
すると、君たちの視界が光に包まれ始めた。 | ||
それは紛れもなく…… | ||
ありがとうございました、ウィズ様、お供の方! ![]() またいつか……ううん、必ず来てくださいね! | ||
君は、そのときを楽しみにしてるよ、とだけ伝えた。 | ||
そうして君たちの視界は、真っ白になっていった。 | ||
![]() | ||
![]() | 散々な目にあったにゃ……。 | |
でも楽しかったね、と君は言う。 | ||
![]() | あそこの神様たちは喧嘩したり、れえすをしたり……もしかして暇なのかにゃ? | |
暇かどうかはわからないけれど、神様の遊びというのを垣間見た気がした。 | ||
![]() | せっかくなら優勝したかったにゃ。 | |
だけどそうすると、また大変な日々を送ることになる。 | ||
ウィズは、ただ負けたのが悔しいだけなのかもしれないが……。 | ||
![]() | また次があるなら、絶対優勝するにゃ! | |
君は苦笑しながら、そうなるといいね、と口にした。 | ||
誤字がある紙を握りしめて、君はウィズとともに帰路についた。 |
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