コロンの弟分
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ねえコロン、もう少し見たことを教えてくれないかな? | ||
そうにゃ、そうしないと私たちも元の世界に帰れないにゃ。 | ||
……フン! | ||
う~ん、だ、駄目みたい……。 | ||
相変わらず、何も言葉にしようとしないコロン。 | ||
弱ったな、今のところ目撃者らしい目撃者といえばコロンしか……。 | ||
でもこの調子じゃ、話を聞くなんてとても無理にゃ。 | ||
そうなんだよねぇ……。 | ||
うーん、と君たちが頭を抱えた、次の瞬間だった。 | ||
リコに向かって、凄まじいスピードで何かが近づいて来る! | ||
――ッ、姉さん! 危ない! | ||
きゃっ! な、なに……!? | ||
君とリコは慌てて周囲を見回した。……なんと、コロンがどこにも居ない! | ||
一瞬のスキに、リコの腕の中からコロンがいなくなっていたのだ。 | ||
あいつにゃ! あいつがコロンを連れて行ったにゃ、追いかけるにゃ! | ||
ウィズの指す先には、森の奥へと駆けて行く影の姿が見える。 | ||
君たちは互いにうなずくと、その後を追った。 | ||
君たちは森の開けた場所で、影にやっと追い付くことができた。 | ||
影はローブを纏い、君たちに背を向けている。その小脇にはコロンの姿もあった。 | ||
アニキをいじめる輩は、あいつらですか? フンフンフン!(その通りだ!) | ||
プリッツさん、誤解です! 私たちはただ――。 | ||
世界が涙味になった本当の理由を知りたい、だったっけ? | ||
俺としては都合がイイけどね、この世界も。塩味で困ったこと無いし。 | ||
それより……だ。 | ||
ずいぶんと兄貴が怒ってらっしゃるみたいなんだが、事情を知っている人はいるかな? | ||
フン! | ||
どうやら、プリッツの言う「兄貴」というのはコロンのことらしい。 | ||
それに気付いた君は、思わずフッと笑みをこぼしてしまった。 | ||
プフッ、ずいぶん可愛い兄貴にゃ? | ||
フ、フンフン!(わ、笑うな!)。 | ||
……あまり兄貴を馬鹿にしないでもらおう! | ||
言いながら、プリッツは背中の矢に手を伸ばす。一触即発の空気だ。 | ||
あちゃー、こうなっちゃったか……ねえ、またお願いできる? | ||
苦笑交じりに、リコは君を見上げて手を合わせた。もちろん、と君は返す。 | ||
痛い目を見たいようだね、人間の魔法使い。 | ||
俺は他の奴らと違って甘くない……覚悟して、射抜かれなッ! | ||
(戦闘終了後) | ||
ちょっとしたいざこざを越え、君は改めてプリッツとコロンに事情を話した。 | ||
……なるほど、落ち着いて話を聞いてみればそんなことだったのかい。 | ||
兄貴、どうして協力してあげないんですか。 | ||
……フンフンフン! (……別に、協力しないこともないぞ!) | ||
鼻を鳴らしながら、コロンは自慢気に言う。どうやら観客が増えてご満悦のようだ。 | ||
コロコロとよく意見が変わるにゃ……それで、結局コロンは何を知ってるにゃ? | ||
ウィズの問いに、フンフン、という謎の言葉で返事をするコロン。 | ||
プリッツとリコはその言葉に耳を傾け、フムフムと相槌をうちながら聞き入った。 | ||
……。 | ||
数分後。 | ||
……それで、王様が悲しい気持ちになった出来事の原因って、分かったの? | ||
話を聞き終えた二人に、グリがそう尋ねると、一瞬間を置いて二人はこう返した。 | ||
悲劇だ……これは悲劇という他、ない……! | ||
うーん、不幸な勘違いな気もするけど……、私のクチからはいえないなぁ……アハハ……。 | ||
君はプリッツとリコのあまりのリアクションの差に驚きながら、ウィズと目を見合わせる。 | ||
い、一体、二人は何を聞いたのにゃ……? | ||
さ、さぁ……? | ||
く、詳しい話は、また後で聞いてみようか。 | ||
そうだね、と君は返事を返し、改めて周囲の様子を確かめる。 | ||
考え込んだままのリコに、ガックリと膝をついたプリッツと、何故か元気なコロン。 | ||
そして困り果てたグリ、君とウィズを置き去りにしたまま……。 | ||
不思議な物語は、まだ続く。 | ||
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