アリューゼ

――本能と力が全てを支配する異界。

最も原始的で純粋たる衝動である”本能”と、
他者を組み伏せる”力”こそが全てであり絶対的な正義。
強き者が支配し、弱き者は支配されるという弱肉強食の世界。

ここにとある一族が居た。
強き力を求め、異種族である龍と契約を交わし、その身に「龍の力」を宿した一族。

一族の力は強大であり、幾多の国々が彼らの前にひれ伏してきた……
……そのような時代も確かにあった。

時代は移り変わる。
新たな強者達の登場と共に、一族の繁栄の時代は過ぎ去った。

いまでは少数の生き残りを残すのみとなった一族の少女『アリューゼ』。
少女の小さな胸の内には、「一族再興」という名の熱き炎が渦巻いていた。

「ちいさいからって、ナメんなよ!」




――大地が轟き、荒れ狂う焔が空を焼き尽くす。
強大な敵が崩れ落ち、「龍の力」を宿した少女
『アリューゼ・ヴェローナ』はその顔に不敵な笑みを浮かべる。

本能と力が全てを支配する異界。
最も原始的で純粋たる衝動である”本能”と、
他者を組み伏せる”力”こそが全てであり絶対的な正義。
失われた一族の栄華を取り戻すため、
過酷な戦いの日々に我が身を投じ続けた少女は、
大いなる力を得て「火煉爆竜姫」の二つ名で呼ばれるまでに成長を遂げた。

もはや彼女に力で勝る者など数えるほども無く、
その勇名を頼りに各地から一族も集い始めている。
早晩、一族の栄華は取り戻され、
彼女は一族の英雄として未来永劫讃えられる事だろう。

しかし、少女の胸の内では、
満たされぬ想いが新たなる炎となって燃え上がろうとしてた。

――もっともっと強い敵と戦いたい。

闘争の本能によって燃え上がった大炎が、抑えがたい衝動となって少女を突き動かす。

※話の最初に戻る