ひえひえの夏
(0コメント)![]() んん~♪ 涼しくて良い気分にゃ! | ||
ひんやりとした空気を体中で楽しみながら、ウィズはそう言うと君に笑いかける。 | ||
暑かったからちょうどいいにゃ! | ![]() | |
![]() すぐにそうも言ってられなくなるけどね……。 | ||
懐かしい声に振り返ると、そこには少し肌寒そうにしているリコたちの姿。 | ||
彼らの周りには、以前とは違う顔ぶれもいる。 | ||
![]() | やっ! ひさしぶり~、ウィズちゃんもキミも、元気みたいだね! | |
そう言うリコも元気そうで安心したにゃ。二人にも仲間が増えたにゃ? | ![]() | |
![]() | ああ、そうなんだ。とはいっても、以前からの知り合いではあるんだけどね。 | |
そう言うと、グリは新しい仲間をひとりひとり紹介してくれた。 | ||
![]() この子はその。グリコランドでお茶を専門にした魔法使いをやってるんだ。 はじめまして~、どうぞよろしくね。二人のことはリコとグリから聞いてるよ。 | ||
![]() | そしてこの二人が美雨と咲。彼らは僕らと違って和菓子を専門にしてるんだ。 | |
![]() おせんべいなら、任せて下さいね。私たちとそのさんの相性はばっちりなんですよ♪ 俺たちの魔法とそののお茶の魔法、後で見せてやるぜ。よろしくな! | ||
![]() ……と、三人の紹介が終わった辺りで、君はさらにその後ろに妙な二人組の気配を感じる。 | ||
……あの二人はどういう関係にゃ? | ![]() | |
![]() | あー、そ、その、えーっと……実はとある事情で一緒に行動してるんだけど……。 | |
![]() | 詳しい事情は、また後で話すよ。ここにいると風邪引いちゃうから、行こう。 | |
……確かに、なんだか少しずつ寒くなってきたにゃ。 | ![]() | |
最初の心地良かった涼しさはどこへやら、すでに肌寒さのほうが勝っている。 | ||
![]() | 少し行ったら街に着くからさ、それまでチョコっとだけ我慢しててね! | |
![]() | それじゃあ、しゅっぱーつ! | |
それで、今回私たちが呼ばれたのはどんな理由なのにゃ? | ![]() | |
![]() | よく聞いてくれたね。それなんだけど……この異常気象の原因を突き止めたくてね。 | |
![]() | お菓子の世界にも四季があるんだ。キミたちの世界と同じように。 | |
![]() | でも、今年の夏はちょっと変なの。少し暑くなったと思ったら、急にこの冷え込み! | |
![]() | 夏が苦手なお菓子たちは喜んでるけど、このままじゃ季節感がなくなっちゃうの! | |
季節感? どういうことにゃ? | ![]() | |
![]() | 冬には冬に、夏には夏にピッタリのお菓子があって…… | |
![]() | お菓子たちはみーんな、その季節に合わせて模様替えするの! | |
![]() | たとえば、春はいちごの季節だったり、初夏のあたりは新茶の季節だったりしますね。 | |
![]() | 抹茶関連のお菓子たちが騒ぎ出すのは、その新茶の季節前後だったりするよな。 | |
![]() | はい。そんなわけで、季節感っていうのはお菓子の世界にとってもすごく大切なんです。 | |
なるほど、異界には異界ならではの悩みや季節の感じ方があるのか、と君は思う。 | ||
うーん、結局私たちは、この妙に寒くなっちゃった世界を元に戻せばいいのかにゃ? | ![]() | |
![]() | それもそうなんだけど……もう一つあるの。それも結構重大なミッションが。 | |
突然真面目な雰囲気になったリコに、君はゴクリとつばを飲み込む。 | ||
リコはそんな君たちの様子を悟ったのか、小さな声でこう続けた。 | ||
![]() | この異常気象を引き起こしたとされている人たちの疑いを、晴らして欲しいの。 | |
彼女はそう言うと、君たちの後ろからついてくる謎の二人組をチラリと見る。 | ||
![]() | …………。 | |
![]() | ハーイ♪ | |
厳格な雰囲気のひとりと、少し明るい調子のもうひとり。 | ||
妙な雰囲気を纏ってはいるが、リコが庇う二人だ、悪い人ではないだろうと君は思う。 | ||
……まあ、理由はまたあとで聞くにゃ。それよりも── | ![]() | |
ウィズの声が一段低くなる。それに合わせて、君は周囲を警戒した。 | ||
……敵意、というよりは興味津々の視線が、草むらの向こうからこちらを見ている。 | ||
![]() | このへんのお菓子たちは寒くなってから少しだけ行動的になってるんだ。 | |
![]() | 体を動かして暖を取ろう、って事らしいけど……。 | |
![]() | 少しだけじゃれ方が激しいから、気をつけてね。 | |
グリの忠告に、君は笑ってうなずく。寒い分、肩慣らしには丁度良い運動かもしれない。 | ||
![]() | よーし、それじゃあ、かかってきなさーい! | |
![]() | 僕たちが、相手だ! | |
(戦闘終了後) | ||
![]() | ううぅ……寒いですぅ……!! | |
な、なんか若干寒さが強くなってきてる気がするよね……! | ![]() | |
リコやそのが言うように、だんだんと寒さは強さを増している気がする。 | ||
頬に当たる風は、最初の涼しかった感覚とは打って変わって痛いほどに冷たい。 | ||
![]() | このままじゃ、俺ら揃ってアイスクリームになっちまうぞ! | |
![]() | そろそろ街に戻らないと、ほんとにマズイかも……雪も強くなってきましたし……! | |
……みんなの言うとおりだね。先を急ごう! | ![]() | |
目的地はここからはそんなに遠くない場所だから……みんな、頑張って! | ![]() | |
グリの先導で、君たちは少しずつ勢いを増す寒さの中、一歩一歩進み始めた。 | ||
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……本当に、彼らで大丈夫なのか、ピーク。 | ![]() | |
![]() | あらあら、プレミオは心配性なのね。大丈夫よ~、王様からの紹介だもの。 | |
![]() | きっと、バッチリ解決してくれるわ♪ | |
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