集う調香師たち!
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現役最高の調香師は誰か──? | ||
ロニールは、自著のために世界中の調香師に、こう呼びかけた。 | ||
調香師の道を歩むものよ── | ![]() | |
ここらでひとつ、誰が一番凄い調香師なのか決めませんか── | ![]() | |
調香についての知識が誰が一番深いのかを競い合いましょう! | ![]() | |
最高の調香師を決める大会の開催を、ここに宣言します! | ![]() | |
ロニールの呼びかけは、瞬く間に各地に広がり── | ||
調香師として腕に覚えのある者たちが、続々と名乗りを上げた。 | ||
た、大変にゃ! 知らない人たちが沢山来たにゃ! | ![]() | |
ファムたちがいる天上岬には、ロニールの呼びかけに応じた調香師たちが続々と参集してきた。 | ||
![]() こんにちは。ここがあの伝説の調香師フロリア・リリーの工房だね? | ||
魔道書を持った若い男が、ファムたちの工房を訪ねてきた。 | ||
そうですが……。どちら様ですか? | ![]() | |
![]() | おっと失敬! 我は、ここから山3つほど離れた所にある王国で王宮魔道士の任に就いていた、 | |
![]() | 「結晶の魔道士」──グラ・アクステンドだ。 | |
王宮魔道士の方が、どんなご用でしょうか? | ![]() | |
![]() | いや、違う、違うな……。 | |
違う? | ![]() | |
![]() | 王宮魔道士だったと言った方が正しいな。 | |
はあ……。 | ![]() | |
![]() | 王宮内のゴタゴタに巻き込まれて……いまはフリーさ。 | |
![]() | 王宮は、恐ろしいところだぞ。色々な人間が、常に権勢を競いあっている。 | |
![]() | そんな足の引っ張り合いに、我は疲れたのだ。そんな時、フロリアが作った香水を知って……。 | |
![]() | 我もこんな香水を作る仕事に就きたいと思い、調香師を目指すことにしたのだ。 | |
![]() | リリー姉妹。単刀直入に言う、我と組んで調香師ナンバーワン決定戦に出場せぬか? | |
君の隣で、ウィズが小声で呟いた。 | ||
いつの間に、そんな軽い名前になったにゃ? | ![]() | |
ひょっとしてロニールが、そう名付けたのかもしれない。 | ||
![]() | 我は、調香師としての日は浅いが、魔道については精通しておる。 | |
![]() | だから損はさせぬぞ。さあ、我と共に世界最高の調香師を目指そう! | |
グラは、自信たっぷりにファムとフェルチに迫ってきた。 | ||
![]() | さあ! さあ! | |
あわわ……お姉様、どうしましょう? | ![]() | |
困惑するファム。 | ||
その時、グラとファムたちの間に、剣を持った少女が割って入ってきた。 | ||
![]() ちょっと待ってー! 調香師リリー姉妹と組むのは、このシスルなのぉー! | ||
また、知らない人がきたにゃ! | ![]() | |
両手に剣を持った、およそ天上岬には似つかわしくない物騒ななりの少女。 | ||
![]() | あなたたちが、リリー姉妹ね!? ようやく会えた……ひぐっ。う、嬉しくて涙が……。 | |
フェルチもファムも、突然乱入してきた二刀流少女に目を丸くしている。 | ||
ど……どうも。 | ![]() | |
この子、どうして泣いてるにゃ? | ![]() | |
ファムたちに会えたことを、とても感激しているみたいだけど。 | ||
![]() | ……あ、あの。 | |
どうしたにゃ? | ![]() | |
シスルは、いきなり動きを止めてまごまごし始める。 | ||
![]() | よ……よかったら、サインください! わたし、あなたたちの作る香水のファンなのです。 | |
ファン? ……ええ!? お姉様、この人私たちのファンなんですって! | ![]() | |
面と向かって、ファンと言われるのがはじめてなのか、ファムは滅茶苦茶驚いている。 | ||
こんな私のサインでもよければ! さらさらさら~っと! | ![]() | |
![]() | よかった。もし、ここまで来て、おふたりに会えなかったらと思うと不安で……不安で……。 | |
![]() | 今更田舎に帰ることも出来ないし……どうしようかと……ふ、ふえええんー!! | |
ちょっと、泣くことないでしょ? | ![]() | |
![]() | 生まれつき泣き虫なもので……。ぐすっ! | |
![]() | わたし、とある傭兵団に所属する剣士でした。けど、根っからの臆病者で……。 | |
![]() | こうして剣を持ってますが、人を傷つけるのが嫌で嫌でしょうがなかったんです。 | |
![]() | できれば、ファムさんやフェルチさんみたいな女の子らしい職業に就きたいなと思って……。 | |
![]() | でも、でも──。 | |
シスルは、またしても両目に涙をためはじめた。 | ||
![]() | 傭兵団で昼も夜もずっと剣を握ってきたわたしが、調香師になれるわけないって諦めてたんです。 | |
![]() | そしたら、世界中の調香師が集まる大会があると言うじゃないですか……。 | |
![]() | 迷ったんですが、思い切って傭兵団をやめてきたんです! | |
![]() | この大会に参加すれば、リリー姉妹の弟子にしてもらえるんですよね!? | |
え? そんな話聞いてないわよ。 | ![]() | |
と、フェルチは言うが、シスルの耳には入っていないようだ。 | ||
![]() | わたし頑張ります! ファムさんとフェルチさんの弟子になれるように精一杯努力します! | |
その熱意は嬉しいが……。 | ||
ファムたちの知らないところで、話がどんどん違う方向に進んでいるような気がする。 | ||
![]() うほ! うほっ! | ||
な、なんだにゃ!? | ![]() | |
ゴリラがいる……。 | ||
![]() | まさか、魔物の襲撃ですか!? わたしにお任せを! | |
と、言うなりシスルは、 | ||
![]() | ひぐっ、う……うわああああん! 秘技「泣いて泣いて五月雨斬り」!! | |
両手の剣をめちゃくちゃに振り回して、ゴリラに突進していく! | ||
無茶にゃ! | ![]() | |
待ってください! この人は、魔物じゃありません。 | ![]() | |
シスルを止めたのは、エテルネだった。 | ||
魔物じゃないのなら、そのお方は……? | ![]() | |
このゴゴングさんは、「ゴンリラ王国」専属の調香師だそうです。 | ![]() | |
今回の大会に参加するにあたって、一言、お母様たちにご挨拶したいとおっしゃってます。 | ![]() | |
![]() | うほっ! うほうほっ! | |
……そ、そうですか。そういうことでしたら。ね? お姉様? | ![]() | |
どうか、お手柔らかに……。 | ![]() | |
![]() | うっほっほ! うっほ! | |
健闘を祈ります……と、おっしゃってます。 | ![]() | |
エテルネは、このゴリ……いや、ゴゴングさんの言葉がわかるにゃ? | ![]() | |
実は、わかりません。……すいません。 | ![]() | |
でも、なんとなくそう言ってるような気がするのです。 | ![]() | |
……。 | ![]() |
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