解き明かされる真贋の章
(0コメント)謎の女について襲われた人に話を聞くため、三人は山を下り、ふもとの村へと向かった。 | ||
![]() | ||
[村の子供] | わーい、ダムザさんだ! ダムザさんだ! | |
[村人] | おお、ダムザさん! ご無事でよかった! | |
![]() | 今一度、例の女に襲われた者らに話を聞きたくてな。すまぬが、案内を頼めるか。 | |
[村人] | お安い御用でさ! いつもお世話になってんだ、恩返しの機会は逃しませんぜ! | |
![]() | ||
ダムザさんは、村の人気者なんですね~。 | ![]() | |
……あの見た目でねえ……。ていうか、ガトリン。あんたなんでさらっとイメチェンしてんの。 | ![]() | |
いっつも魔力をフルパワーで具現化させてたら、疲れちゃいますから。休めるときは休む派です! | ![]() | |
![]() | おうい、おぬしら。例の女に襲われた武人が、まだこの村に滞在しておる。話を聞きに行くぞ。 | |
![]() | はーい。 | ![]() |
![]() | さて、おぬしを襲ったという女だが── | |
[武人] | ひぃいいーっ! そいつだ! その女だあああ! | |
…………えっ。あたし? ……え!? はあっ!? いやいやいや、この人とは仕合してないんだけど! | ![]() | |
![]() | ガトリンの強制治療ではなかったというのか……。 | |
ほーら、濡れ衣ぅ~。 | ![]() | |
![]() | むう。すまぬ。しかし、そうなるとな……。ここは、同じ女に襲われた村人にも話を聞くか。 | |
[村人] | そ、そ、その女だ! まちがいねえ! ひいー! やめてくれー! 許してくれー! ひいいいー! | |
…………。 | ![]() | |
は~、すごい怯えっぷりですね~。とりあえず、お薬出しておきましょっか。ぞばぞば。 | ![]() | |
あたし、やってないってばぁ……。 | ![]() | |
![]() | わかっておる、リエン。おぬしは、わしに対して仕合の申し入れから入った。それはまちがいない。 | |
![]() | リエンと良く似た何者かが、武人や村人を襲っている……と考えるのが、ここは妥当か。 | |
許せない! 誰だか知らないけど、風評被害よ! ふんづかまえて抗議してやる、ていうか破ぅーる! | ![]() | |
![]() | 当初の予定どおり、わしがオトリとなって、その女をおびき出そう。ガトリンも、それでよいか? | |
ぞば! | ![]() | |
武人や村人たちが襲われたという、村と村を結ぶ道……ダムザは、ひとりでそこを歩き始めた。 | ||
リエンとガトリンは、道の脇に隠れている。 | ||
![]() | ねえ、ガトリン……あたしって、そんな怖い? | |
ぜーんぜん怖くないですよっ? | ![]() | |
![]() | ありがとう……でも、あんたに聞いてもしょうがないよね……はぁ……。 | |
![]() | さて……これで引っかかってくれると良いが……。 | |
い、命ばかりはお助けをぉー! | ||
![]() | 南無三……! オトリの役目を果たせなんだか! リエン、ガトリン、助けに向かうぞ! | |
患者あるところナースあり! ざっくりぞばっと解決するでぞば! | ![]() | |
![]() | 行くわよ! あたしの輝かしい評判を守り抜く、そのために!! | |
![]() | ||
![]() | ふふ……もっと泣きなさい。そしてこの〈煉獄華〉の名を、世に轟かせるのよ……。 | |
[村人] | あ、あうあうあう……。 | |
だ、誰よあれ!? | ![]() | |
似ているどころではない……まさに瓜ふたつぞ! おぬし、生き別れの双子の姉妹でもおったか? | ![]() | |
年がら年中ひとりっ子よ!! | ![]() | |
まずいですね……これは見分けがつかなくなって、どっちも殴ってどうにかするパターンですよ!! | ![]() | |
ンな危険なパターン想定してんじゃないっての! | ![]() | |
こら、そこのあんた! いい加減やめなさいっ! | ![]() | |
![]() | げっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ! こぉ~れはこれは! 本物さんのおでましねぇ~? | |
![]() | ずっと待ってたのよぉ……あんたを倒して本物になる日をねぇ! げっひゃっひゃっひゃっひゃ! | |
……………………。 | ![]() | |
むう……どちらが本物のリエンさんなのか、まるで見分けがつかないですね!! | ![]() | |
![]() | クク……そうだろう? | |
![]() 潰すッ!!! | ||
![]() | ||
はぁあぁああぁああああーっ!! | ![]() | |
リエンは偽物の攻撃を紙一重でかわしながら前進、双の得物を至近距離から叩き込んだ。 | ||
瞬時の重心移動と全身のひねりを合わせ、助走をつけて放つよりなお強烈な威力を一撃に乗せる! | ||
![]() | がはぁああぁああッ……! | |
凄まじい衝撃をまともに喰らい、偽リエンは、力なく大地に倒れ伏してゆく……。 | ||
瞬蓮華……我が流派の、基礎にして奥義よ。 | ![]() | |
然るべき師についた者なら、いなし方を知っていて当然なんだけど……しょせん、まがいものね。 | ![]() | |
![]() | ふむ。接触の砌、魔力を"衝撃"と具現せしめたか。修練と実践を経ずして使う能わざる妙技よ。 | |
ふふ……まあね。だからこいつには使えなかったわけ。加減はしておいたから、活でも入れて……。 | ![]() | |
リエンが偽物を抱き起そうとすると……偽物の身体は、輝く魔力に変わり、雲散霧消してしまった。 | ||
えっ……!? 魔力の具現化だったの!? | ![]() | |
![]() | 具現化の後、独立行動する魔力……幻獣の類か? いや、待てよ。まさかこれは、"象恨呪"──? | |
え? 今の、何かの術だったっていうの? | ![]() | |
![]() | うむ。恨みや恐怖といった負の念を集め、それを元に魔力を具現せしめる呪法の一種よ。 | |
![]() | おそらく、おぬしに破れた武術家らの恨みや恐怖を触媒に、あの偽物を生み出していたのだろう。 | |
じゃあ……だからあんな性格してたわけ? | ![]() | |
何よ何よ! あたしが勝ったのはあたしの方が強かったからじゃん、勝手に恨むとかやめてよもー! | ![]() | |
![]() | 〈煉獄華〉の名はわしも聞いておった。不憫だが、強すぎる者の宿命と思うしかないかもしれんな。 | |
![]() | しかし、この秘呪を使える者が世にあろうとは。ううむ……もしやとは思うが、あやつが……? | |
すねるリエンと考え込むダムザをよそに、ガトリンは倒れた村人に薬をぶっかけている。 | ||
![]() ヨイホムラの塊根を煎じたものです。身体を温め、血行を良くするとともに気つけ効果もありますよ。 | ||
へえ……ガトリン、あんたちゃんとした薬も処方できるのね。 | ![]() | |
![]() | いや、待て……わしも医術薬学には通じておるが、そんな薬草の話は聞いたことがないぞ。 | |
![]() でしょうね! | ||
でしょうねて。 | ![]() | |
わたくしの薬は"そんなのあったらいいな"って気持ちを魔力で具現化したヤツですんで。あは☆ | ![]() | |
![]() | ……妄想から薬効を造り出すといのか……。なんというか、でたらめな精神力をしておるな……。 | |
どぉーう考えても、あたしよりこの子の方が怖いでしょ!? ね!? ねえっ!!? | ![]() |
>>めくるめく激戦の章
コメント(0)