襲来!ジャイアントカプリコ 決戦前
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その日、君を目覚めさせたのは窓から入り込んだ甘い匂いだった。 | ||
にゃ? にゃにゃ? | ||
机の上で眠っていたウィズも、同じように甘い匂いを嗅ぎつけたようで、 | ||
誘われるように、鼻を鳴らしながら窓辺へと軽業的な足運びで進んでいく。 | ||
お菓子の匂いにゃ! | ||
そうやって、こちらを見返す瞳は爛々と輝いている。たぶん連れて行け、ということだろう。 | ||
やれやれといった風に君はベッドから降りた。ふとドアの下に一通の手紙を見つける。 | ||
その手紙は、いつも人知れずドアの下から差し込まれる君の未来を指し示す手紙。 | ||
正確には、世界の未来を見た女性からの手紙である。 | ||
オルハからにゃ……。 | ||
君は手紙を開いた。そこにはこう書かれていた。 | ||
今回、異界の歪みから現れるのは、その世界で王と呼ばれている者です。 | ||
彼の者は、恋に破れ、その世界を塩味に染めたばかりでなく、その世界を覆った時期外れの、 | ||
冬の季節において、越境者の友人に会うことが叶わなかったという理由、ただそれだけで、 | ||
異界の歪みを生み出し、この世界に渡ろうとしております。 | ||
……なんか知っている気がするにゃ。 | ||
彼の者はとても純粋で、寂しがり屋なのです。 | ||
黒猫の魔法使い殿。どうか彼の者の悲しみを少しでも和らげてあげて下さい。 | ||
なんか厄介そうにゃ……。 | ||
追伸、詳しくは境界騎士団の砦にいる異界の魔道士殿にお尋ね下さい。 | ||
ウィズちゃん、キミ! と言うわけでよろしくね。 | ||
カプリコ王様ってば、二人が自分の所に来なかったからってむくれちゃってね。 | ||
勢い余って、こっちに来ちゃったの。 | ||
まあ、来ただけなら歓迎するんだけど……と君は言葉を濁した。 | ||
どうしてあんなに大きくなっているにゃ。 | ||
夏だからだって! | ||
理由になってないにゃ。 | ||
でも本人は、これでワシも本当のジャイアントカプリコじゃー! って喜んでたよ。 | ||
やれやれにゃ。キミ、王様に満足してもらうために頑張るしかないにゃ。 | ||
そうだね、と君はウィズの言葉に返した。 | ||
よろしくね! | ||
目次 >> [襲来!ジャイアントカプリコ 決戦中盤] |
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