嵐の夜に
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そこはクロム・マグナ魔道学園の郊外にあるビーチだった。 | ||
いつもなら、こっそりと学園を抜け出した生徒たちが、何をするわけでもなくぶらついていたり、 | ||
男女で海を見ていたりする姿がちらほらと見られるのだが……。 | ||
折りからの学園中をまきこんだ騒動と、あいにく悪天候のせいで、人影はさっぱりなかった。 | ||
嵐が迫っていた──。 | ||
ついにきた。私の……。 | ||
ワタシの学園最後の晴れ舞台が! 行くよ! みんな! | ||
ミユキの号令に応え、暗雲蠢く砂浜に暑苦しい男たちが現れる。 | ||
クロム・マグナ魔道学園MIU☆MIU特別親衛隊である。 | ||
みんなっ! かかれー! | ||
さあ、さあ急いで! 学園のみんなに見つかる前に完成させなきゃ! | ||
ミユキの指示に従い、男たちは働いた。 | ||
今夜一晩で彼女のための晴れ舞台を完成させないといけないのだ。 | ||
しかも、これから来るであろう嵐に耐えうる代物をである。 | ||
雨も風も次第に勢いを増してきた。 | ||
男たちにはもはやどれが雨で、どれが汗なのか、そして、どれが涙なのかわからない。 | ||
だが、ミユキのために、彼女に全てを捧げた己が青春の終わりのために、働いた。 | ||
完璧だ……。 | ||
男たちの汗と涙とその他諸々の結晶が、眼前にそびえ立っていた。 | ||
でかでかと掲げられた看板にはこう書かれている。「ミス クロム・マグナ」と。 | ||
これが、私の晴れ舞台……。 | ||
彼女が喜ぶ姿を遠目に見つつ、男たちは目からあふれる汗をぬぐった。 | ||
嵐が過ぎれば、必ず晴れる。そして最高の晴れ空の下、最後の声を上げるんだ。 | ||
MIU☆MIU! MIU☆MIU!と。 | ||
黒い雲に光が走る。風雲急を告げるかのように。 | ||
ミス クロム・マグナコンテスト……、 | ||
カミングスーーーンッ!! |
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