ロニールの純粋な疑問
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![]() アネーロさん、これは、何て読むのですか? これは「じゃこう(麝香)」と読むのよ? ムスクの香りのことね。 | ||
![]() | じゃあ、これは? | |
| 調香について書かれた解説書を抱えながら、次々に質問を投げかける。 | ||
| これは……「かいりこう(海狸香)」ね。うみだぬきから取れる香材のことよ。 | ![]() | |
| 教えて貰ったことを忘れないように、エテルネはメモを取る。 | ||
| こうして調香についての知識が、少しずつエテルネに蓄積されていく。 | ||
| エテルネは、本当に熱心よね。 | ![]() | |
| 本を傍に置いて、エテルネはふうとため息を吐いた。 | ||
![]() | 調香師になるのって難しい。早く、お母様のようになりたいのにな……。 | |
| ファムを見習うのは、やめた方がいいと思うにゃ。 | ![]() | |
| と、ウィズが混ぜっ返す。 | ||
| 余計なことは言わない、と君はウィズの口を塞いだ。 | ||
![]() 黒猫さん嫌い! | ||
| ほら嫌われた。 | ||
| にゃにゃにゃ!? | ![]() | |
| 確かにファムは、あまりいいお手本じゃないかもしれないけど……。 | ![]() | |
| エテルネにとっては、大好きなお母様なのよね。 | ![]() | |
| 口が滑っただけにゃ。許して欲しいにゃ……。 | ![]() | |
![]() | ぷい。 | |
| にゃ!? | ![]() | |
| どうやら、完全に嫌われてしまったようだ。 | ||
| 代わりに君がエテルネにフォローを入れる。 | ||
| お陰でなんとか、機嫌を直してくれた。 | ||
![]() みなさん、お茶にしませんか~。 | ||
| 工房からファムが、お茶のセットを持って出てくる。 | ||
![]() | お母様、お手伝いいたします。 | |
![]() | じゃあ、エテルネちゃん、ここにあるティーカップを運んでくれる? | |
| お茶菓子はどうしますか? アーモンドクッキーか、それとも苺クッキー? 色々ありますよ。 | ![]() | |
| みんな作業の手を止めて、テーブルにつく。 | ||
| ぽかぽかと照らすお日様。 | ||
| 暑すぎず、寒くもない。快適な気候。 | ||
| 幸せだにゃ~。 | ![]() | |
| 美味しいお茶に、美味しいお茶菓子。 | ||
| 多くの草花と、優しい香りに囲まれて……ずっとここにいてもいいかもと君は思った。 | ||
| キミ、もうしばらく、ここに留まるにゃ。急いで戻る必要もないにゃ。 | ![]() | |
| ふあ~、と大きなあくびをしてウィズはごろんと横になる。 | ||
| テーブルの隅で分厚い本を読んでいたロニールが突然顔を上げた。 | ||
![]() | ところで、現在活躍している調香師の中で、一番凄い調香師──調香師マスターは誰なのでしょう? | |
| どうして急にそんなことを? | ![]() | |
![]() | 将来、僕は調香師たちの伝記を書こうと思っているんです。 | |
![]() | だから誰が調香師マスターなのか知りたいんですよ。 | |
![]() 調香師マスターと言われても難しいわね。なにをもってマスターなのかもはっきりしないし。 素材や香水の知識をどれだけ沢山持っているかが、優劣をつけるひとつの基準だと思っています。 | ||
| 私……ではないですね。 | ![]() | |
![]() | ファムさま……と言いたいところですが、フェルチさまかもしれません。 | |
| いいえ。世界には沢山の調香師がいるはずよ。私が一番とは限らないわ。 | ![]() | |
| 旅の途中で出会ったナルナも、素材のことを色々知ってそうだったにゃ。 | ![]() | |
![]() | 世界は広いですね。 | |
![]() | 天上岬にいる皆さんだけじゃ、判断できないということですね……なるほど。 | |
![]() | となると、やはりアレを開催するしかないようですね。 | |
| ロニールは、ぶつぶつとつぶやいている。 | ||
| どうするつもりにゃ? | ![]() | |
![]() | しばらく時間をください。誰が一番の調香師なのか、必ず決めて見せます。 | |
| その表情は自信に満ちているが、それゆえに君の不安をかき立てた。 | ||
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