リヒト

心技体すべてにおいて優れた機械を造り出さんとする異界。
その地で、リヒトは騎士として造られた。

悪を許さず、主君に忠誠を誓い、弱者のために戦う、誇り高き機械の騎士。
彼こそ最高の機械、すなわち『貴械』だと誰もが噂していた。

しかし――彼のいた機械宮殿は、謎の組織の襲撃に屈した。
機械兵たちがことごとく無力化されてしまったためだ。
リヒトも満足に動かぬ身体で奮戦したものの、ついに囚われの身となった。

「さあ――騎士よ、忠誠を誓ってもらおうか」

現れた敵が言うと、リヒトの心に何かが沁み込んでいく。
リヒトは、ぞっとして敗北の理由を悟った――敵は機械の心を操るのだ！

「貴様！　わたしの忠義を……！」
「無論、いただく。これからは私がおまえの王さ……」

心が支配されていく。奪われ、塗り替えられ、貶められていく。
リヒトの最後の思考は、ただ絶望だけに満たされていた……

――その後、リヒトは偽りの忠義に従って戦い続けることになる。
機械の心を解き放つ、１人のジョーカーと出会うまで。

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