シール
(0コメント)| № | 4160 | 4161 | 4162 |
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| 名 | (SS)蒼海夏娘 シール | (SS+)渚色の航海士 シール | (L)夏夢航路の女神様 シール・サンテ |
| AS | 情熱スプラッシュブリーズ | 常夏ビッグウェーブ | 常夏ビッグウェーブ |
| SS | トロピカルイミテート | トロピカルイミテート | オーシャンミミクリー |
クリスマスver
| № | 5201 | 5202 | 5203 |
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| 名 | (SS)聖夜を運ぶ夏娘 シール | (SS+)夏と聖夜の航海士 シール | (L)聖夜航路の女神様 シール・サンテ |
| AS | 雪波テイクオフ | 白雪ホーリーテイルスライド! | 白雪ホーリーテイルスライド! |
| SS | 夏が聖夜で聖夜が夏で | 夏が聖夜で聖夜が夏で | サマーセイヤー!! |
共通情報
| 名前 | シール・サンテ | CV | - | 種族 | 戦士 |
| 登場 | - | ||||
| 世界 | - | ||||
| 所属 | 魔道船、エスターテ号の航海士 | ||||
| 特徴ワード | 常夏常海航海士 | ||||
| 関連キャラ | ピレット | ||||
| セリフ1 | 「んー。気っ持ちいい……。私、やっぱり夏って大好き!」 | ||||
| セリフ2 | 「うーん船長って言葉がいけないのかなぁ……。 提督……ちがうなぁ……親方? うーん。」 | ||||
| セリフ3 | 「そんなサムいこと言わないでさ! 一緒にいこうよ!」 | ||||
| 補足情報 | 海と夏を愛する少女。 話相手として魔道船エスターテ号の船長を募集しているが、 シールの周囲は常時夏であるため、しばらくすると、 みな夏の陽射しに嫌気がさして船を降りてしまう。 | ||||
パーソナルストーリー

ウィズセレクションストーリーズ ~ シール・サンテ編
| ここはとある港町。 | ||
| 陽光を遮る鈍色の雲から降りしきる氷雨が、風景を冬色に染めている。 | ||
| 家々は、まるで氷の魔女から主を匿うかの様に、鎧戸を固く閉ざして冬が行き過ぎるのを待つ。 | ||
| そんな無人の港に、遥か沖合いから1隻の船が真っ直ぐに向かってくる。 | ||
| 船が進むにつれ、まるでその航跡をそのまま映したかの様に、雲が割れ、空が晴れあがっていく。 | ||
| そして町はすっかり「夏」になった……。白亜の魔道船、エスターテ号の入港と共に──。 | ||
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![]() | んー。気っ持ちいい……。私、やっぱり夏って大好き! | |
| そう言って、船を降りてくる彼女の名はシール・サンテ。エスターテ号の航海士である。 | ||
| 夏を待ちわびた町の人々は、彼女を熱烈に歓迎するが──。 | ||
| 毎日毎日夏なつナツナツ……って私もう限界! 夏バテで痩せちゃうわよ! | ||
| シールの後ろから付いてくるエスターテ号の船長はゲッソリとしている。 | ||
![]() | 船長ってば、みんなこんなに喜んでるのに夏バテなんてサムいこと言わないでくださいよ! | |
| さ、寒いって……。だいたい夏が好きって、シールちゃん、夏以外の季節知らないじゃない……。 | ||
![]() | ま、細かいことはいいじゃないですか。私、向こうでフラッペ食べてきまっす! | |
| と、瞬く間に店が開いた町の目抜き通りへと消えていくシール。 | ||
| ……はぁ。シールちゃんと働くのは大変って聞いてたけど……。もう私、夏嫌い……。 | ||
| ──シール・サンテには「夏」しかない。 | ||
| 「自分の周囲を夏にする」 | ||
| そんな力を彼女は生まれながらに持っていた。 | ||
| だから今、こうしてエスターテ号に乗り、各地に「夏」という季節を届けて回る仕事をしている。 | ||
![]() | さっ! もひとつ夏を届けに行きますか! | |
| そして船は出航する。港に夏の匂いを残して──。 | ||
| 夏を曳いて大海を進むエスターテ号。 | ||
![]() | 陸もいいけど、やっぱ海よね! | |
| 海風に髪をなびかせて、シールは舵を握る。 | ||
![]() | ね、船長もそう思うでしょ……ってあれ!? | |
| と、シールはあたりを見回すがそこに船長の姿はない。 | ||
![]() | ありゃりゃ……。また逃げちゃったか……。 | |
| 常に夏と共にあるエスターテ号の船長職は決して楽な仕事ではない。 | ||
| シールの魅力と「夢の常夏航路」といういかにもな謳い文句に惹かれる者は後を絶たないが…… | ||
| しばらくすると、みな夏の陽射しに嫌気がさして船を降りてしまうのだ。 | ||
![]() | あーあ、またひとりぼっちか。まぁいいけどさ。 | |
| 魔力によって進む魔道船は、彼女ひとりでも動かすことが出来るし、元々はそうしていた。 | ||
| しかし、陸に上がっている時間よりも圧倒的に長い時間を海上で過ごす時間の方が長いシールは、 | ||
| 話し相手欲しさに「船長」を募集する様になった……のだが、いつもこうして逃げられるのだ。 | ||
![]() | うーん船長って言葉がいけないのかなぁ……。提督……ちがうなぁ……親方? うーん。 | |
| などと言っていると、前方に小さな船が木の葉の様に波に揺れているのを見つける。 | ||
![]() | おぉ! 話し相手はっけーん! ……でもこんなところをあんな小さな船で大丈夫かなぁ……。 | |
| と、海上から突然魔物が飛び出して、小舟を襲い始めた! | ||
![]() | 大変! 助けなきゃ! 沈没なんてサムいこと、私の航路で絶対起こさせないんだから! | |
| シールの体から夏色の魔力がほとばしり、エスターテ号が加速する! | ||
| (戦闘終了後) | ||
![]() | 大丈夫だった!? お嬢ちゃん? | |
| 魔物を退けたシールは小舟に乗った少女に声をかけた。 | ||
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| ムキー! お嬢ちゃんじゃないっ! 無敵の海賊、ピレット・チャップだ! | ![]() | |
| 確かに小舟には骸骨の描かれた黒い旗が掲げられている。 | ||
| せっかくひとりで倒そうとしてたのに! 初めての魔物だったのに! どうして邪魔したの!? | ![]() | |
![]() | なんか……ごめんね。 | |
| と、シールは謝ってみるが、ピレットの小舟はすでに壊され、航行できる状態ではない。 | ||
![]() | この船、ピレットさんひとりで乗っているの? 実は私も──。 | |
| オマエひとりなのか! ぷっ……笑える! ピレットは違うぞ。モチピと一緒だ。 | ![]() | |
![]() | ……モチピ? | |
| と、船室から金槌をもったこざるが顔をだす。 | ||
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| ウッキ! | ![]() | |
| モチピ、どう? 穴、塞げそう? | ![]() | |
| ウキ……。 | ![]() | |
| とモチピは残念そうに首を横に振る。 | ||
![]() | ……穴って! もう大変じゃない! ピレット、私の船に乗ってよ! 次の港まで送るからさ! | |
| うう……しかし海賊が他人の助けなど……。 | ![]() | |
![]() | そんなサムいこと言わないでさ! 一緒にいこうよ! ちょうど私も船長探してんだ! | |
| 何!? ピレットが船長でいいのか! | ![]() | |
![]() | うん! | |
| それならピレット世話になる! オマエの名前はなんていう? | ![]() | |
![]() | シール・サンテだよ。夏を届けるエスターテ号の航海士! | |
| こうして、シールは新たな話し相手──船長と共に、次の町へ夏を届けることとなった。 | ||

聖夜を運ぶ夏娘
| 小さな島に、〈夏夢航路〉を担う帆船エスターテ号の雄々しくも優美な船体が佇んでいる。 | ||
| 〈夏〉を運ぶ航海士――シールは、その甲板上でのんびり日向ぼっこを楽しんでいた。 | ||
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![]() | いやあ……夏っていいよねぇ~。 | |
| なんだ、いまさら。オマエはいつも夏だろ。 | ![]() | |
| シールには〈自分の周囲を夏にする〉能力がある。彼女の行くところ、春も秋も冬もないのだ。 | ||
![]() | そうだけどさ~。やっぱ、こうしてると、夏っていいなぁ、アツいなぁ、って気持ちになるよ。 | |
![]() | 船長だって、そうでしょ? 最長記録だよ。私といっしょにエスターテ号に乗り続けるの。 | |
| まあ、ピレットは、暑いのへっちゃらだからな。モチピもそうだぞ。 | ![]() | |
| ウッキィ~! | ![]() | |
| でも、この港に来てもう1か月だぞ。次の依頼、まだ来ないのか? | ![]() | |
![]() | う~ん……なんせ〈聖夜〉の時期だからねぇ……〈聖夜〉はやっぱり冬がいい、って人が多いの。 | |
![]() | てなわけで……夏をほしがる港がないから、この時期はいつも、お休み、お休み――…… | |
![]() | んん? | |
| ふと。船の上を通り過ぎたウミネコが、ぽとりと何かを落としていった。 | ||
| 甲板に落ちたそれを拾い上げるシール。革製の筒である。なかに、巻かれた手紙が入っていた。 | ||
![]() | なになになになに~? ……ふんふん。ふうん? ええー!? ホントー!? | |
| なんだ、どうした。なんの手紙だ? | ![]() | |
![]() | いやあ、それがね…… | |
![]() | 〈聖夜〉を運ぶ〈聖夜航路〉の航海士が、風邪で寝込んだから、代わりをやってほしいんだって。 | |
| ……は? | ![]() | |
| 季節を運ぶ航海士はシールだけではない。〈春〉や〈秋〉や〈冬〉を運ぶ航海士も存在する。 | ||
| なかでも特殊なのは、〈聖夜〉を運ぶ航海士だ。 | ||
| 〈聖夜〉は年の終わりの安らぎの日であり、同時に新たなる年のための祝福の日でもある。 | ||
| 年末になると、〈聖夜航路〉の航海士は世界各地と飛び回り、順番に〈聖夜〉を届けていくのだ。 | ||
![]() その航海士さんがダウンしちゃった以上、私たちが、みんなに〈聖夜〉を届けてあげないとね! | ||
| 海原を切り裂いて疾走するエスターテ号の上で、シールは、ぐっ、と強く拳を握った。 | ||
| 手元には魔法陣が浮かんでいる。魔道船は要所を魔法で制御できるため、ふたりでも動かせるのだ。 | ||
| オマエ、〈夏〉以外も運べるんだな。 | ![]() | |
![]() | 基本〈夏〉だけだよ。今は手紙に入ってた〈聖夜〉を受け取ったから、運べてるってだけ。 | |
| その〈聖夜〉を運んでる間って、オマエがいつも運んでる〈夏〉はどうなるんだ? | ![]() | |
![]() | う~ん、説明が難しいけど……今は、私のなかに引っ込んでるって感じかな? | |
| だから、オマエのテンションはそのままなのか。まったくよくわからん体質だな…… | ![]() | |
| まぁ、いっか。それで、そのプレゼントの袋は、いったいなんなんだ? | ![]() | |
![]() | 〈聖夜〉といったらプレゼント! 〈聖夜航路〉の航海士は、いつもプレゼントも配ってるの! | |
![]() | 代役だからって、手抜きはなしだよ! 〈聖夜〉もプレゼントも、ばっちり届けよー! おー! | |
| そんなことを言っていると、マストの上で物見をしていたモチピが急いで降りてきた。 | ||
| ウキッキッキッキ、キキーッ! | ![]() | |
| なに!? 海賊船が近づいてきてる!? | ![]() | |
![]() | 〈聖夜海賊〉だ! | |
| なんだそれ!? | ![]() | |
![]() | 〈聖夜〉の祝福を独り占めしようっていう、サムい連中だよ! あと、プレゼントもね! | |
| ムキー! なんてふざけたヤツらだ! おのれ、不埒な海賊どもめ! やっつけてやる! | ![]() | |
![]() | 船長の前職、なんだったっけ。 | |
| 夢色海賊だ! あんなのといっしょにするなー! えーい、撃っちゃれ、撃っちゃれー!! | ![]() | |
| 風上を取った海賊船が、舷側に備えつけられた大砲から盛んに砲撃を仕掛けてくる。 | ||
| 操舵手も兼ねるピレットは、巧みに舵輪を操り、砲撃から逃れた。船の周囲に水柱があがる。 | ||
| まずいぞ……! ビランチャ岬に追い込まれてる! | ![]() | |
| 岩礁の多い地域だ。水面から突き出した岩に激突すれば、船体が破損し、船が転覆しかねない。 | ||
| 回避に集中させ、座礁に追い込む。あるいは、岩礁をかわすため速度を落とした所へ接近する。 | ||
| それが、海賊たちの狙いなのだろう。 | ||
| そんな手に引っかかってやるものか! シール、次の岩礁はどこだ!? | ![]() | |
![]() | えっとね、目の前。 | |
| そうか目の前……なんじゃとぉ――――!? | ![]() | |
| 失踪するエスターテ号が、岩に直進する……! | ||
| 瞬間。 | ||
![]() レインボォォォォウ、チェイサァァァーッ! | ||
| シールが手元の魔法陣勢いよく前へ放つと…… | ||
| エスターテ号が正面に凝縮した夏の力を放ち――それを、鮮やかにきらめく虹へと変えた! | ||
| は!? | ![]() | |
| 岩礁の上にかかる弓なりの虹の道を、エスターテ号はなめらかに進んでいく。 | ||
| 船はすぐに虹を渡り終え、穏やかに水面に着水。帆に風を受け、再び海を割って悠々と走り始める。 | ||
| 海賊船は、あっけに取られたように砲撃を止めた。互いの距離が、どんどん開いていく…… | ||
![]() | ふう……危機一髪だったね、船長! | |
| なんだ。いまの。 | ![]() | |
![]() | レインボウチェイサーだよ。凝縮した夏で虹を作って、ひょひょーってね。ひょーっと。 | |
| 聞いてない! そんな機能! | ![]() | |
![]() | えっ? 常夏機関を積んだ船なら、常識でしょ? | |
| そんな常識知らんわい!! ていうか、なんだ!? 一体何で動くんだ、その機関は!!? | ![]() | |
![]() | 夏に決まってんじゃん☆ | |
| ムキィーーーーッ!! | ![]() | |
| 海賊船は、とぼとぼと引っ込んでいった。 | ||
※話の最初に戻る
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| 海が、荒れた。 | ||
| すさまじいまでの風が吹きすさび、荒波が甲板にまで押し寄せ、船が木の葉のように揺れる。 | ||
![]() | なんて時化(しけ)……! 帆をたたんどいて、正解! | |
| 高波が叩きつけるような勢いで襲いかかってくるなか、シールはびしょぬれで魔法陣を操作する。 | ||
![]() | えーっと、イカリはもう下ろしてるから、あとは、大砲と積み荷に固着魔法をかけてっ…… | |
| ウ、ウキぃ~! | ![]() | |
| ロープに掴まれ、モチピ! 波にさらわれるぞ! | ![]() | |
| 巨人にもてあそばれているように、船は揺れる。 | ||
| イカリを下ろしても安心できない。あまりの揺れでイカリが抜け、船が流される可能性もある。 | ||
![]() | 船長、モチピ! だいじょうぶ!? | |
| ピレットは船長だぞ! 船がだいじょうぶなら、ピレットだってだいじょうぶだ!! | ![]() | |
![]() | さっすが船長! | |
![]() | ここを切り抜けたら、港までもうすぐだよ……! がんばろうね、ふたりとも! | |
| ここまで来たら、なにがなんでもやってやる! みんなに夢を届けるのが夢色海賊の使命だ! | ![]() | |
![]() | そうだったの!? | |
![]() いま決めた!! よくわかんないけど、アツいよ、船長! | ||
![]() | よーし……乗り切ろう! 〈聖夜〉を待ってる人たちの、アツい笑顔のために!! | |
| なぜ……あらがう…… | ||
![]() | !? この声は…… | |
| なぜ……立ち向かう……それは……おまえたちには、許されざること…… | ||
| な、なんだ!? またユーレイか!? ムキー! どこのどいつだ、姿を見せろ―! こらー!! | ![]() | |
![]() 余は時化。 | ||
![]() | 「余は時化」!!? | |
![]() | お願い、時化さん! ここを通して! | |
![]() | えっ、話すすめるの? | |
| ならぬ……冬だというのに夏の力をバカスカ使いおって…… | ![]() | |
| そなたらのせいで、季節感がめちゃくちゃではないか……これは、その報いと思え!! | ![]() | |
![]() | 正論だ…… | |
![]() | あなたはまちがってる!! | |
![]() | ええっ!? | |
![]() | 季節感がめちゃくちゃだなんて……そんなこと、ぜんぜんないよ! | |
![]() | 笑顔ってさ。アツいでしょ? 見てると、サムい気持ちなんて、吹き飛んじゃうでしょ? | |
![]() | つまりね……笑顔って、夏なんだよ!! | |
![]() | は? | |
![]() | だから――そこに笑顔がある限り、夏は、いつだって夏なんだ!! | |
![]() | その夏を……笑顔を奪おうとするあなたは、まちがってる! 私が、それを教えてあげる!! | |
![]() まちがってるのはオマエだぁ――――!! | ||
| (戦闘終了後) | ||
![]() 余がまちがっている気がしてきた。 | ||
![]() | でしょ? | |
![]() | 錯覚だ!! | |
| 通るがいい……余は、笑顔を長く忘れすぎていたようだ…… | ![]() | |
![]() | 時化さん……ありがとう!! | |
| ……それはいいんだが。シール。 | ![]() | |
![]() | なに、船長? | |
| もう船が限界だ。これ以上、動けんぞ! | ![]() | |
![]() | あ、じゃあ私、サーフボードで先に行ってるね。 | |
| は? | ![]() | |
| 言うが早いか、シールはプレゼント袋を背負うと、サーフボードに乗って船の外に飛び出した。 | ||
![]() | 船、放っといたら、汗かいて勝手に直るから―! じゃー、またねー!! | |
| 船が汗かくってなんだー! おい! こらー!! | ![]() | |
| そして―― | ||
![]() | みんなー! 〈聖夜〉を運んできたよー!! | |
| 寒風の吹きつける夜の港町に、シールはサーフボードを駆り、堂々たる笑顔で乗り込む。 | ||
| すると……夜空に淡くきらめくほのかな白雪が、星の舞い降りるように、しんしんと降り始めた。 | ||
| 闇も穢れも優しく清めるような、白い雪――これこそが、次の年を祝福する〈聖夜〉の証なのだ。 | ||
| 〈聖夜〉だ! 〈聖夜〉の雪だぁーっ!! | [町人] | |
| ねえねえ、航海士さん! プレゼントは!? | [町の子供] | |
![]() | もっちろん、プレゼントもあるよ! それは―― | |
| 袋からいくつもの小箱を取り出すシール。人々が小箱を受け取り、わくわくと開けると―― | ||
![]() 夏だぁーっ!! | ||
| 箱のなかから、カッと照りつける夏の日差しがこぼれ、人々の顔を照らし出した。 | ||
| …………。え? 夏? | [町人] | |
![]() | うん。夏。ちっちゃい夏をね、箱に詰めてきたの! みんな、好きな箱を選んでね♪ | |
| あの……、なんで、夏……? | [町人] | |
![]() | え、だって。 | |
| 降りしきる雪のなか、シールはとびっきりの笑顔で答えた。 | ||
![]() | みんな、好きでしょ? 夏!!! | |
| ――その夜。 | ||
| 人々は、それぞれの家で〈聖夜〉を祝い、窓の外に降る雪を眺めて楽しんだ。 | ||
| 持ち帰った〈小さな夏〉のおかげで、みな、雪が降っていても、ちっとも寒くなかったという―― | ||
| ……で、この船、いつまで汗かいてんの? | ![]() | |
| ウキー…… | ![]() | |
| あと、海の水が塩辛いのは、エスターテ号が汗をかきまくるからだとか、なんとか。 | ||
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