サーヤ
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バレンタインver
№ | 1408 | 3434 | 5734 |
名 | (S)約束の日の金魚師 サーヤ・スズカゼ | (SS)甘き想い贈る サーヤ・スズカゼ | (L)淡く甘い想い出 サーヤ・スズカゼ |
AS | 約束の日の思い出 | 水面に映す想い | 心に広がる想いの波紋 |
SS | 金魚たちの悪戯 | たゆたう彩尾と恋花火 | 夏の夜空の恋色花火 |
3周年記念ver
№ | 5758 | 5759 | 5760 |
名 | (SS)祭りで出会った金魚師 サーヤ | (SS+)本当は遊びたい サーヤ | (L)約束と結ばれた糸 サーヤ・スズカゼ |
AS | 丹精込めた金魚舞踊 | 特別な日を祝う金魚神楽 | 特別な日を祝う金魚神楽 |
SS | 繋がれた二人の絆 | 繋がれた二人の絆 | 再会を誓い合った祭りのあと |
共通情報
名前 | サーヤ・スズカゼ | CV | 植田 佳奈 | 種族 | 術士 |
登場 | - | ||||
世界 | 和ノ国 | ||||
所属 | 金魚師 | ||||
特徴ワード | 和の夏の風雅 | ||||
関連キャラ | サクラ | ||||
セリフ1 | 「なんや、キセキみたいやわぁ」 | ||||
セリフ2 | 「……あんたの名前、一応、覚えといたるわ」 | ||||
セリフ3 | 「あんじょうきばりや~」 | ||||
補足情報 | 着物風衣装を来た魚使いの女の子。 傘の下は水の世界が展開されており、 金魚がひらひらと彼女の周りを舞う。 |
パーソナルストーリー
バックストーリー
夏の夜空を彩る大輪の花。
四季ある異界”和ノ国”に今年もこの日がやってきた。
国中の花火師達が己の腕を磨き、心血を注いだ一品で競い合う「大花火大会」だ。
国宝の花火師であり親友のサクラがこの日の為に用意した花火。
その出番を、縁側に座ってサーヤは待ちわびる。
傍らに居るのは、彼女が操る水の流れに沿って、
空中を自由に泳ぐ”使役された金魚”たち。
新調した着物を見にまとい、彼女は金魚たちに問いかける。
「この日のためにこしらえた一張羅の着物」
「どや? はんなりしたええ色合いの着物やねぇ」
夏を彩る非日常は露と消え、はにかむ少女の火照った頬を秋の予感が優しく撫でる。
時はめぐり、異界「和の国」に葉の色づく季節がやってくる。
祭りの余韻冷めやらぬ夜、手繋ぎ畦道を歩く二つの影。
水気を含んだ大気をかきわけ、豊かに実った稲穂の影から虫の音が響く。
新月の空に輝く幾億の星々、見上げた少女の横顔はどこか儚く……
「短い付き合いやったけど……あんたの名前、一応、覚えといたるわ」
いたずらっぽい笑顔の影で、小さなその手に力がこもる。
色とりどりの金魚たちが、もの言いたげに宙を舞う。
ぎゅっと握られた彼女の気持ちに想いが弾け、君の迷いは決意に変わる。
※話の最初に戻る
バックストーリー(バレンタイン)
遠くへ消えた彼女の影、指切り交わした再開の約束。
また、いっしょに花火を見よう。
――夏が過ぎ、秋が駆け抜け、白の季節がやってきた。
空を覆う灰色の雲、吹き荒れる山風、やむことなく降り積もる雪。
厳しい冬を楽しむために、異界「和ノ国」で催される「雪上の大花火大会」。
世界中から集まった観客の前で、花火師たちが夜空に色とりどりの華を咲かせる。
夏のそれとは趣の異なる、幻想的な空の芸術。
光が舞い散る細雪を照らし、世界は神秘で飾られる。
息をのむような光景の中、君のその目は彼女を探す。
けれど、あまりの人出に身動きもとれず……やがて最後の演目を迎えてしまう。
いくつものハートが浮かんでは消える、可愛らしい大作。
観客が一際わき立ち、誰もが空に目を奪われたその瞬間――
視界を遮る、鮮やかな傘。
「約束、覚えててくれたんや……うれしいわぁ」
背伸びし傘さす、記憶の少女。
見上げる微笑みが思っていたよりずっと大人びていて、君はなぜだか目線をそらす。
澄んだ瞳と栗色の髪、雪降る宙を舞う色とりどりの金魚たち。
夏の淡い想い出が、胸を、身体を駆け巡る。
響く花火の咲く音も、祭りの人々の歓声も……もう、ここまでは届かない。
あの夏よりも、ちょっぴり甘い二人の予感。
それは、ほんの少しの間だけ。
※話の最初に戻る
①金魚と舞う少女
※話の最初に戻る
サーヤとの約束を守れなくて泣き明かした夜から、一年が経過した。 | ||
今年の収穫を祈る祭りが、再び開催される。 | ||
学校の友達は、お祭りで浮かれているけど、僕の心は沈みきっていた。 | ||
祭りの人混みの中、僕は他のことに目もくれず、サーヤの姿だけを探していた。 | ||
約束を破ってしまった昨年のことを謝りたい。 | ||
サーヤは、許してくれないかもしれない。 | ||
だけど一言、ごめんと言わないことには、僕の気持ちが収まらない……。 | ||
おらおら、どけどけ。お嬢のお通りじゃい! | ||
どこかで聞いたことのある声が聞こえて、僕は思わず足を止めた。 | ||
こらっ! カタギの人たちに迷惑かけたらいかんよ! | ||
一年ぶりのサーヤの姿……。 | ||
思わず涙腺が緩みそうになった。 | ||
へい、すいません。お嬢。 | ||
僕は、一瞬躊躇してから、歩を進めた。 | ||
人混みをかき分けてサーヤに近づく。 | ||
なにかを期待していたわけじゃない。ただ一言……。 | ||
「約束を破ってごめん」と謝りたい。それだけだった。 | ||
──待って! | ||
サーヤの背中に向かって僕は声をかけた。 | ||
サーヤは、振り返り……僕と目が合った。 | ||
……あ! | ||
目が合ったのは一瞬。でも、サーヤはすぐに顔を逸らした。 | ||
冷たい態度。 | ||
それでも僕はめげずに、去年約束の時間に待ち合わせの場所に行けなかったことを謝罪する。 | ||
約束守らへん人……嫌いや。 | ||
しばらくの沈黙のあと、頭を下げ続けている僕に、サーヤはそう答えた。 | ||
怒られてもしかたない。僕は、それだけのことをしてしまったんだ。 | ||
でも、あんたが、去年のこと……うちのことを覚えててくれたんは、正直、嬉しい。 | ||
なんや? そんな顔せんといてや。うちみたいな旅の者のことなんて、普通覚えてへんで。 | ||
でも、あんたは覚えててくれた。そして、去年のこと謝ってくれた。それで十分や。 | ||
予想外に暖かい言葉を貰ってしまい、僕は言葉に詰まってしまった。 | ||
でも、お祭り一緒に回れんかったのは残念や。もし、悪いと思っとるんなら、これからでも去年の埋め合わせして欲しいわ。 | ||
も、もちろん……! | ||
ほんまか? 期待してまうで? ええんか? | ||
もう約束は破らない。絶対に守るよ──と、僕はその場でサーヤに約束した。 | ||
サーヤの舞台が終わったあと、僕はサーヤと一緒に夜店が並ぶ参道に向かった。 | ||
うち、一度でええから友達と一緒にこういうところ歩きたかってん。あ、あれ! | ||
サーヤは、綿菓子屋を発見して、子どものように駆け寄っていく。 | ||
これ、いっぺん食べてみたかってん。なあ? これ、買わへん? | ||
断る理由はない。 | ||
でも、ひとりで綿菓子を食べると虫歯になる。 | ||
だから、お互いにお小遣いを出し合って、一個の綿菓子を買った。 | ||
うわー。思ったとおり白くてふわふわや、こんなの見たことないわ。 | ||
じゃあ、食べるで……ドキドキや。……あむっ! | ||
サーヤは、白い綿菓子を一口かじる。 | ||
そして、口の中で味わってから──。 | ||
んー甘い! 想像しとったんよりも、甘いんやな!?こんなん食べたことないわ! | ||
無邪気にはしゃぐサーヤを見て、僕はようやく胸のつかえが取れた気がした。 | ||
次! 次、どこいく? | ||
──そうだね、次は射的でもしようか? | ||
射的!? あの、弓で的を狙い撃つあれやな? まかしといて、うちあれは得意な気するわ。やったことないけど……。 | ||
サーヤは祭りをお客として回るのは、本当に初めてのようだ。 | ||
今まで、友達と一緒に祭りに行ったりしなかったのだろうか? | ||
僕は、なにげなく聞いてみた。 | ||
小さい頃は、友達おったよ。でも、うちが旅回りするようになってからは、一つのところに留まることがなくて……。 | ||
ずっとあちこちを回っていれば、同い年の友達なんて出来るわけない。 | ||
ひとりだけ、サクラちゃんっていう親友がおるんやけど、彼女も花火師として各地を回ってるんや。 | ||
お互い、仕事があるから一緒に遊ぶことなんて滅多にないなぁ。 | ||
友達と遊ぶことなくて、寂しくない? と僕は尋ねてみる。 | ||
サーヤは、少し言い淀んだけど……。 | ||
寂しくないな。うちは金魚師や。楽しんでくれるお客さんがおるなら、それでええんや。 | ||
それにお嬢には、わてら金魚がいます。 | ||
そやな……。でも、人間の友達も欲しいっちゃ欲しいなあ。 | ||
ご、ごもっともで。 | ||
夜空に花火が上がった。 | ||
あれが、今話したサクラちゃんが打ち上げた花火や。一緒に見ようや。 | ||
赤々と夜空を照らす打ち上げ花火。 | ||
他の祭りの参加者たちも、夜空を見上げていた。 | ||
綺麗やね……。サクラちゃんは、毎回いい仕事するわ。 | ||
僕は、花火よりも空を見上げるサーヤの横顔を見つめていた。 | ||
「ちょっとごめんなさい」 | ||
その時、通り過ぎる人に押されて、隣り合って並ぶ僕とサーヤは身体をぶつけ合った。 | ||
ご、ごめんな……急に押されてん。 | ||
──こ……こっちこそ。 | ||
サーヤと急に距離が近付いて……というか、近づき過ぎて、僕の心臓はこれ以上ないくらい高鳴っていた。 | ||
お互いの手が触れあう。 | ||
次の瞬間、どちらからともなく、互いの手を握り合っていた。 | ||
僕は、花火そっちのけでサーヤを見ていた。 | ||
こっちを振り返ったサーヤと目が合う。 | ||
あんたとこんな風に並んで花火を見るなんて……なんや、夢みたいやわ。 | ||
白い歯を見せたサーヤは、照れたように目を逸らした。 | ||
サーヤの頬が、若干赤くなっている。 | ||
それは、花火のせいか……それとも……。 | ||
──夢なら覚めないで欲しい。このままずっと、こうしていたい。 | ||
僕はサーヤにばかり気を取られ、花火にまったく集中できなかった。 | ||
打ち上げ花火が終わり、楽しい祭りも終わりを迎える。 | ||
神社の周辺では、大人たちが露店を畳んだり、舞台を片付けたりと忙しそうだ。 | ||
子どもの僕らが、出る幕はなさそうだ。 | ||
あっという間やったね。もうちょっと楽しみたかったけどな……。 | ||
片づけられていく祭りの名残を眺めながら、サーヤは寂しそうに呟いた。 | ||
ま、しゃあないか。でも、ええ思い出になったわ。あんたには、感謝してる。 | ||
こちらこそ……。去年の埋め合わせになったかな?と、僕は尋ねた。 | ||
去年のことは、もう忘れようや。うちは、もう忘れた。 | ||
そう言って貰えると、凄く気持ちが楽になる。 | ||
でも、これでお別れやな。うち、明日には次の村に向かわなあかんねん。 | ||
サーヤが、僕の村からいなくなってしまう。 | ||
ここで別れたら、次に会えるのは……また一年後? | ||
もし、よかったら見送りに来てくれる? あ、でも学校があるか……。なら、見送りは無理やな。 | ||
サーヤは、学校には通わずにずっと村から村へと渡り歩いている。 | ||
けどサーヤだって、一緒にお祭りに行ったり、遊んだりする友達が欲しいはずだ。 | ||
僕は、思わず「この町で一緒に暮らそうよ」とサーヤに言ってしまった。 | ||
──金魚師としての仕事は、大人になってからでもできる。 | ||
──この村に残って僕と一緒の学校に通って、一緒に勉強する。 | ||
──同じ学校に通えば、僕の友達も沢山紹介してあげられるし……。 | ||
──サーヤなら、きっとみんなと仲良くなれるよ。 | ||
──だから、この村に残ってよ。 | ||
一息で、僕は頭に浮かんだ言葉を、一気にはき出していた。 | ||
……うーん。 | ||
サーヤは、あまりいい表情をしていなかった。 | ||
え、どうして……? | ||
それ、楽しそうやな? あんたと一緒に机並べて勉強する。 | ||
サーヤは、うんうんと首を何度も縦に振る。 | ||
そして休みになったら、友達と遊びに行くんか……。想像するだけでわくわくしてくるわ。 | ||
よかった、やっぱりサーヤも僕と同じ気持ちだったんだ。 | ||
でも、この村にうちの家はない。学校に通えたとしても……帰る家がないわ。 | ||
──僕の家に住めばいいよ。 | ||
え? あんたの家に? | ||
サーヤは目を丸くしていた。 | ||
──母さんに頼んであげる。サーヤは、いい子だからきっとお母さんも許してくれるはず。 | ||
なんの根拠もなかったけど、僕はサーヤを引き留めたくて必死だった。 | ||
そ……そうなん? でも、どうやろなぁ……? | ||
──家に帰って母さんに聞いてみるよ。 | ||
──きっとサーヤを連れてきていいって言うはずだ。 | ||
──だから、ここで待ってて。すぐに戻ってくる。 |
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