コポポル

森の賢者コポポルの話って、あんた、知ってるかい？
聖なる妖精の森に住む、偉大なる知恵者であり魔道士さ。
森のことならなんでも知ってる。おまけに神秘の魔法を使うときた。
噂じゃ、森の奥で眠り、ハロウィンの夜にだけ目覚める
『聖なる森の主』を守っているらしい。

『聖なる森の主』を掌中に収めれば、永遠の繁栄を得られるって話さ。
それを聞いた領主が、以前、兵を動かして、森に攻め込んだそうだ。

ところが、森に入った兵たちはことごとく、罠にかかって撃退された。
森のなかと来りゃ、コポポルの庭も同然だからな。
ついでに、魔獣やらドラゴンやらの幻影を見せられて、震え上がる始末よ。

怯える兵士たちに、賢者コポポルは、命は見逃してやるから森から出て行け、と告げた。
兵士たちは、ほうほうの体で逃げ帰り……
報告を聞いた領主も、さすがにあきらめて、あの森には手を出さないと決めたそうな。

ん？　なんだ。あんた、あの領主ンとこの兵士と仲がいいって？
でも、そんな話は聞いたことがないって？

まあ……なんだ。そりゃあ、そうだろうな。

ぬいぐるみみてぇにかわいらしい賢者に、
手も足も出なかったなんて……誰が話したがると思う？

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