カーラ

心技体すべてにおいて優れた機械を造り出さんとする異界。
その理念に基づき、これまで多くの機械が生み出されてきた。

「でも、だめね」

ヘッドフォンから流れる音楽に心をゆだねながら、カーラは独白する。

「心があっても、結局は機械。奏でるリズムが正確すぎるわ」

彼女の目の前には、無数の機械の残骸が転がっている。
いずれも戦闘用に開発された兵器だ。
これだけの数を運用すれば、一都市すら制圧できよう。

――だというのに、こんなただの人間の少女に、手も足も出なかった。

カーラは、やれやれとかぶりを振る。

「ああ……くだらない。つまらない。
　これじゃ『最高の機械』を造り出すなんて、夢のまた夢ね」

無造作に残骸を踏みながら、カーラは歩き始める。

「どこかにいないものかしらね。
　私を楽しませてくれるような、そんな機械……」

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