遺跡への侵入
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それにしてもすごいね! 魔法の力って! こんな古い船を動かしちゃうんだから! | ![]() | |
![]() | まったく、あの男の持つ運の強さには、いつも驚かされるわ。 | |
![]() | この長い泥沼の戦争で、連戦連勝の負け知らず。その上あなたのような逸材に巡り会うのだから。 | |
ライサさんだって、戦闘で負けたことないじゃないですか。 | ![]() | |
![]() | だけど、里を守ることは出来なかった。 | |
そういって、ライサは寂しそうに天を仰いだ。 | ||
上空には、君を見守るように太陽を背負って航行する〈ウォラレアル〉の船団がある。 | ||
4つの拠点に向けて出発してからというもの、ふたりは本隊である船団ではなく、 | ||
魔道艇に乗り込み、君と行動を共にしていた。 | ||
逃げないように監視するため、ということらしいが、そもそも君にそんな気はない。 | ||
右も左もわらかない異界を彷徨ったところで元の世界へ戻れる保障は何処にもない。 | ||
しかも〈イグノビリウム〉という得体の知れない何かにいつ襲われるとも限らない。 | ||
この世界での戦い方を知るディートリヒやライサたちといる方が遥かに安全だ。 | ||
とは言え──。 | ||
![]() | ああ! まだ着かないのかしら? 早く実戦であなたとこの船の力を見てみたいわ。 | |
また始まったにゃ。 | ![]() | |
ライサさん……また魔法使いさんが怖がってますよ。 | ![]() | |
![]() | ちょっと母艦に戻って、航行速度を上げさせてくるわ。 | |
そう言いながら、ライサは魔道艇の舳先に休ませていたドラゴンに跨って、飛び立っていく。 | ||
……行っちゃったにゃ。 | ![]() | |
君は戦いを好む彼女の性格については、まだ慣れることはできない。 | ||
![]() | そんなに不安そうな顔しないで大丈夫だよ。 | |
君の心中が顔に出ていたのだろう。 | ||
キャナルが君に微笑む。 | ||
![]() | ライサさんはああいう人だけど、戦場で彼女ほど頼りになる人はいないんだから。 | |
![]() | それに、ようやく故郷を取り戻せるかもしれないんだもん。 | |
![]() | 少しはしゃぐくらい、大目に見てあげてよ。 | |
はしゃぐとは違う気がするにゃ……。 | ![]() | |
君はウィズに頷くが、 | ||
![]() | ありがとう。 | |
彼女はそれを自分に対するものだと勘違いしたようだ。 | ||
![]() | 魔法使いさんは、わたしたちの希望なんだ。期待してるよ。 | |
- и - ( 魔法使いさん、聞こえるかしら? ) - и - | ||
魔道艇の通信機を通してライサが君を呼んだ。 | ||
聞こえている、と君は答える。 | ||
- и - ( 魔道艇の速度、もっと上げることってできるかしら? ) - и - | ||
魔道艇の操作にはもう慣れた。もっと魔力を込めれば、いまより速く進むことも可能だろう。 | ||
君はそれをライサに伝える。 | ||
- и - ( 結構。では、全速で目的地に向かうわよ。きつくなったらこの通信機で連絡をちょうだい。 ) - и - | ||
こうして連絡を取ることが出来るのなら、わざわざ母艦へ戻る必要はなかったのでは? | ||
頭上を追い越していく艦隊を見上げながら、君は思わずそんなことを口にする。 | ||
![]() | いったでしょ? ちょっとはしゃぐくらいは大目に見てって。 | |
君はひとつため息をついてから、魔道艇に魔力を込めた。 |
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